児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

罰金分納の根拠条文は刑法18条6項

 http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20080129#1201599517の続き。
 相変わらず分割払いとか延期とかの相談は多いですね。

 文献は専修大学にあります。
「一部納付」というそうです。
 会計法だとか聞いたこともありますが、徴収事務解説でじゃ刑法18条6項を挙げています。

7訂 徴収事務解説p64
第7 一部納付(規程16)
1 徴収金のうち,罰金及び科料の一部納付については,刑法第18条第6項ないし第8項の解釈からこれが許されることは明らかであるが,その他の徴収金のそれについては,法理論的には疑問を残しながらも,その特質並びに現実の問題として,全額を一度に納付させることが困難な場合には,その一部の金額を収納することも差し支えないとの見解の下に規定も定められている。
(1)納付義務者から納付すべき金額の一部につき納付の申出があったときは,徴収主任は,まず,その事情を調査し,事由があると認めるときは,検察官あての一部納付願を徴して検察官の許可を受ける。その事由がないと認めるときは,一部納付願を徴する必要はない。なお,この事情の調査方法は,納付義務者から直接聴取する程度で足りるであろう。
この一部納付についての検察官の許可は,必ずしも分納の都度一部納付願を徴して行う必要はなく,包括的に,例えば,3回に分けて納付することを許可する場合には,あらかじめその旨の記峨のある一部納付願を徴すれば足りる。
(2)納付義務者から納付すべき金額の一部が郵送された場合においても,持参された場合と同様その手続を行う。しかし,この場合,やむを得ない事情があるときは,一部納付願を徴する必要はないとされている。
この「やむを得ない事情」とは,例えば,納付義務者が郵送により納付を申し出た後,直ちに遠洋漁業等に出発してしまい一部納付願を徴することができないときなど,事実上それが不可能な場合がこれに当たるであろう。
なお,送金の封書等に添付してある書面により一部納付願の趣旨が認められ,かつ,それが許容し得るものである場合には,改めて一部納付願を徴する必要はない。
(3)納付義務者の依頼を受けた代納者から一部納付の申出があった場合には,その一部納付願は納付義務者から徴すべきである(注1)
 なお,この場合,納付義務者から一部納付願を徴することができない事情があるときは,代納者からこれを徴することなく,徴収主任において,徴収金原票の備考欄に,その経緯を記載するとともに,検察官の押印を受ける(注2)。
(注1)昭32検務実務家会同徴収事務関係9問答(例規集1301ページ)
(注2)昭47検務実務家会同微収事務関係2問答,昭47検務実務家会同徴収事務関係3問答(例規集1301の2ページ)

行刑
第18条(労役場留置)
6罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置一日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に一日未満の端数を生じるときは、これを一日とする。)とする。

徴収事務規程(法務省訓令)
最終改正 平成20年11月28日法務省刑総訓第1624号
(平成20年12月1日施行)

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji19.html
(一部納付の申出等)
第 16条 徴収金について納付義務者から納付すべき金額の一部につき納付の申出があったときは,徴収主任は,事情を調査し,その事由があると認めるときは,一部納付願を徴して検察官の許可を受ける。徴収金が送付された場合において,その金額が納付すべき金額の全部に満たないときも同様である。ただし,この場合において,やむを得ない事情があるときは,一部納付願はこれを要しない。
(納付延期の申出等)
第 17条 前条前段の規定は,徴収金について納付義務者から納付延期の申出があった場合に準用する。ただし,この場合において,過料,没取,訴訟費用,費用賠償,犯罪被害者等保護法第11条第1項の費用又は民訴第303条第1項の納付金に係る徴収金について時効を中断する必要があると認められるときは,納付義務者から納付延期願を徴する。
2  前項の規定による納付延期の許可があったときは,徴収係事務官は,徴収金原票にその旨を記入する。

 こういう根拠があるから分納に応じろというのではなく、検察官殿にお願いするという姿勢が大事でしょう。