児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・強姦・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(強姦罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例違反)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

悪質な強制わいせつ致傷とそれほどでもない強制わいせつ致傷

 3年〜無期懲役という極めて広い処断刑期の中で、量刑を決めろと言うことになって、従前の裁判所の量刑物差しでは
  着衣の中に手を差し入れ>着衣の上から
  陰部弄ぶ>胸をもむ
  凶器使用>素手
ということになるんですが、素人的にみると暴力的なわいせつ行為で怪我させているという点でひどい奴なわけで、素人の裁判員がこんな要素を知っているわけないわけで、かなり裁判所に誘導されているか、量刑資料にとらわれているような感じです。

強制わいせつ致傷被告事件/静岡地裁浜松支部刑事部/平22・4・22
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100514142935.pdf
一方で,弁護人が主張するとおり,被告人は,被害者に抱き付いてコートの上から胸を数回揉んだにとどまり,それ以外に積極的な暴行や脅迫は加えていない。
この点では,例えば,着衣の中に手を入れて胸や陰部を弄んだり,刃物等を用いて暴行,脅迫を加えたりした事案等と比べて,特に悪質性が強調されるべき事案ではない。また,検察官は,被告人が帽子やマスクで顔を隠している点で「狡猾な犯行」であると主張する。しかしながら,証拠上,被告人が,当初から顔を隠す目的で帽子等を自宅から持ち出して準備していたとは認められないことからすると,犯行自体は計画性に乏しく,犯行時に顔を隠している点をもって,「狡猾」とまで強く非難すべき事案とは考えなかった。さらに,検察官が指摘するとおり,犯行場所が固い舗装道路であったことからすると,被害者の抵抗次第では,同女が頭を打つなどしてより重いけがを負うおそれがあったことは否定できないものの,道路が平坦であったことや,被告人が被害者にけがまで負わせるつもりはなく,殊更転倒させようとまではしていないことに照らすと,危険性が高い手口とまではいえず,この点も特に悪質な事情とは考えなかった。

第181条(強制わいせつ等致死傷)
1 第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。

 なお、こういう要素で量刑が決まるので、強制わいせつ罪自白事件の犯罪事実としても
  着衣の中に手を差し入れ>着衣の上から
  陰部弄ぶ>胸をもむ
  凶器使用>素手
が争われることがあります。