児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「女性に対するあらゆる暴力の根絶」について

 単純所持罪が出てきています。
「あらゆる形態のメディアにおける女性に対する性・暴力表現が、重大な人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を阻害する許されない行為である」ということですので、わいせつ図画罪でも個人的法益説を強調してみます。

http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/houkoku/torimatome.pdf
「女性に対するあらゆる暴力の根絶」について
平成22年3月18日
男女共同参画会議
女性に対する暴力に関する専門調査会
本専門調査会においては、女性に対する暴力に関し、男女共同参画基本計画(第2次)に基づく施策の実施状況及び今後の課題について調査審議を進め、「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」についての中間整理に向けて、別紙のとおり取りまとめた。


? これまでの施策の効果と「女性に対するあらゆる暴力の根絶」が十分に進まなかった理

1 現状認識
配偶者暴力防止法を始めとする法制度、行政側の取組や体制整備等は一定程度進展しているが、女性に対する暴力そのものに対する社会全般の認識は必ずしも向上しておらず、様々な形態による被害の発生も総じて高水準にある。
特に、性犯罪・性暴力については、誰にも相談できなかったケース、低年齢時の被害も多く、メディアにおける有害情報の氾濫など情報化の進展による新たな課題も発生している。
2 女性に対するあらゆる暴力の根絶が十分に進まなかった理由は以下のとおりである。
(1) 各種啓発活動を通じた効果が限定的であり、社会全般を通じた暴力そのものに対する認識の向上が依然として不十分であった。
(2) 性犯罪・性暴力に関する法制度及び行政側の取組が、被害の救済に関し十分なものとなっていない。
(3) インターネットや携帯電話等の急速な普及により、これらを介した新たな形態の被害が次々と発生してきた。
(4) 被害者の支援にかかる関係各機関の取組と相互連携の在り方は、必ずしも被害発生の実情や被害者のニーズに即したものとなっていない。
(5) 過去の重大事件等の暴力被害に対する十分な検証・分析がなされず、再発防止につながらなかった。
(6) 経済的・社会的に自立することが困難であることから被害者が暴力を受忍せざるを得ない環境に置かれてしまうケースが多いと考えられる。


4 子どもに対する性暴力の根絶に向けた対策の推進
子どもに対する性暴力の発生を効果的に防止する観点から、身近な者等からの性暴力被害の防止等の対策を重点的に講ずるとともに、被害に遭った子どもの一生に拭いがたい影響を与えないよう、子どもが必要な相談・支援を受けられる環境整備を進める。
児童ポルノや児童買春の根絶に向けて、インターネットや携帯電話の普及等に対応した有効な対策を講ずるとともに、関係法令の見直し等について検討する。
具体的には、
(1) 子どもに対する性暴力根絶に向けた積極的な広報啓発の実施
(2) 子どもが性暴力に遭遇しやすい場所における防犯・安全対策の強化、性犯罪の前兆となり得るつきまとい等に対する捜査・警告を積極的に実施するとともに、これらの前兆行為に関する対応の在り方を検討する。
(3) 身近な者からの性暴力被害が特に潜在化・深刻化しやすいことにかんがみ、児童虐を受けたと思われる児童を発見した者の児童相談所等への通告義務を周知徹底する。また、学校、児童福祉施設等子どもと直接接する業務を行う施設において、子どもが相談しやすい環境を整備するとともに、性的虐待を受けている子どもの示す兆候を把握して児童相談所等と的確に連携するための研修・広報啓発を実施する。児童相談所、警察等においては、潜在化しやすい子どもに対する性暴力・性的虐待の認知・把握に努め、被害児童の保護、加害者の摘発と厳正な処罰等に向けた必要な施策を実施する。
(4) 学校、児童福祉施設等子どもと直接接する業務を行う施設において、職員の採用時等に性犯罪歴のある者を任用権者が把握するための方策を検討する。
(5) 広報啓発活動を始めとする国民運動の実施、インターネット上の児童ポルノ画像の流通・閲覧防止対策等、児童ポルノの根絶に向けた総合的な対策を検討・推進するとともに、併せて児童ポルノ法の見直し(単純所持罪の新設、写真・映像と同程度に写実的な漫画・コンピュータグラフィックスによるものの規制等)について検討する。
(6) SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等非出会い系サイトを介した児童買春の防止のための関係業界による自主的取組の促進と有効な規制の在り方を検討する。
(7) 子ども及び保護者に対するメディア・リテラシーの強化を行う。

(8) 性暴力被害を受けた子どもに対する急性期及び爾後における継続的な専門的ケアの
在り方を検討し、その実施に努める。併せて、専門的知識を備えた人材の育成を推進する。
5 売買春への対策の推進
性を商品化し、人間の尊厳を傷つけることとなる売買春の根絶に向けて、関係法令の厳正な運用と取締りの強化を行うとともに、売買春の被害からの女性の保護、心身の回復の支援や社会復帰支援のための取組、若年層等への教育啓発を促進する。
具体的には
(1) 売買春に関わる女性は様々な支援を必要とする女性であるという観点から、関係機関の対応の在り方を見直すとともに、婦人相談所における自立支援プログラムの見直しを通じた生活再建等総合的な支援の充実を図る。
(2) 売春防止法の見直しを含め、売春の相手方に対する対策や関係法令を厳正かつ適切
に適用し、周旋行為の取締りを一層強化する。
(3) 売買春防止に向けた広報啓発を推進するとともに、売買春防止に関する教育の実施
を推進する。


メディアにおける性・暴力表現への対応
もっぱら女性を性的ないしは暴力行為の対象として捉えたメディアにおける表現は、女性に対する人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものである。
こうした性・暴力表現については、インターネットの普及等を通じて発信主体が社会一般に拡大していることに加え、パソコンゲーム等バーチャルな分野においても、国際的に重大な懸念が表明されるコンテンツの流通が現実問題となっていることから、有効な対策を講じる。
具体的には、
(1) あらゆる形態のメディアにおける女性に対する性・暴力表現が、重大な人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を阻害する許されない行為であることを社会に認識させる観点から、広報啓発及びメディア・リテラシーの向上を図るための取組を推進する。
(2) 性・暴力表現が人々の心理・行動に与える影響についての調査方法を検討する。
(3) ブロッキングの開発と普及促進等インターネット上の児童ポルノ画像の流通・閲覧防止対策を推進する。
(4) メディア産業の性・暴力表現の規制に係る自主的取組の促進、DVDやビデオ、パソコンゲーム等バーチャルな分野における性・暴力表現の規制を含めた対策の在り方を検討する。