児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強盗強姦,強盗強姦未遂事件につき、援助交際で出会ったことは被害者の落ち度にならないとされた事例(宇都宮地裁H21.6.4)

 そういっても量刑上考慮されているわけですから、弁護人は主張しなければなりません。

各強盗強姦,強盗致傷,強盗強姦未遂(認定罪名 各強盗強姦,強盗強姦未遂)、覚せい剤取締法違反被告事件
宇都宮地方裁判所判決平成21年6月4日

 (2) 被害結果は,6名の被害者がけがを負い,中でも判示第1の7の被害者のけがは,前歯の脱落を含む加療約4か月間という極めて重いものである。そして,いずれの被害者も,いきなり激しい暴行・脅迫を受けて,痛みや恐怖のあまり抵抗できない状態にされ,前記のような数々の辱めを受けたのであって,その味わったであろう苦痛や屈辱,絶望感等は察するにあまりある。被害者らは被害に遭った後いずれも,夜眠れなくなって医者にかかったり,単独の行動が不可能になったりと,生活上の不便を来している。そして,被害者らはいずれも若い女性(うち5名は当時14歳から17歳の未成年者)であり,これからの長い人生において,どのような悪影響や支障が現れるか,非常に懸念される。これらの被害者が家族共々,激しい被害感情をもち,被告人両名に対して,一生刑務所から出てこないでほしいなどと厳しい処罰感情を示しているのも至極当然といえる。
 (3) 被告人らが本件強盗強姦を計画した経緯はおおむね以下のとおりである。すなわち,被告人X1は,かねて,援助交際目的の女性と性交した後,暴力をふるって代金を支払わないことがあり,それを幼なじみである被告人X2に話したところ,強制わいせつ事件で有罪判決を受けた同被告人が,性的な欲求を満たし,かつ警察に発覚しにくい方法として興味を示した。そこで,二人がかりで,警察に被害申告をしにくい援助交際目的の女性をねらって強姦し,その際被害者の携帯電話機等を奪うという共謀が成立した。そして,その計画に沿って犯行を連続的に行い,起訴分だけでも3年間あまりで8件に及ぶのである。したがって,本件は,被告人両名の常習的犯行の一環として行われたものである。
   これに関連し,弁護人らは,被害者らがいずれも公序良俗違反の援助交際目的の女性であり,おおむね性交については同意をし,被害前に性的な行為を既に行っていたことなどを被害者らの落ち度として主張しているので一言する。
   前記のとおり,被告人らが,警察に発覚することを妨げるために,援助交際目的の女性にわざわざ狙いを定めて行った狡猾な一連の犯行であること,また,そもそも被告人らの行為がいわゆる児童買春行為ともいうべき18歳未満の被害者もいることに照らせば,本件においては,被告人らの行為の悪質さが格段に高いというべきである。本件各被害者に,深夜男性の自動車に一人で乗車するなど軽率な点はあるにしても,弁護人らのいう,援助交際目的であったことなどを被害者の落ち度とまですることはできない。