児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

裁判員裁判:強制わいせつ致傷罪の被告、別の5件で懲役15年の判決 /岐阜

 一般論として、だいたい、刑法47条とかが適用されないので、処断刑期が法定刑の単純足し算になるのが不平等ですよね。量刑の問題ではなく、処断刑期の計算間違いとして控訴理由に入れるべきですよ。

第46条(併科の制限)
併合罪のうちの一個の罪について死刑に処するときは、他の刑を科さない。ただし、没収は、この限りでない。
2 併合罪のうちの一個の罪について無期の懲役又は禁錮に処するときも、他の刑を科さない。ただし、罰金、科料及び没収は、この限りでない。
第47条(有期の懲役及び禁錮の加重)
併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
第48条(罰金の併科等)
罰金と他の刑とは、併科する。ただし、第四十六条第一項の場合は、この限りでない。
2 併合罪のうちの二個以上の罪について罰金に処するときは、それぞれの罪について定めた罰金の多額の合計以下で処断する。
第49条(没収の付加)
併合罪のうちの重い罪について没収を科さない場合であっても、他の罪について没収の事由があるときは、これを付加することができる。
2 二個以上の没収は、併科する。

 奥村の経験では、控訴審でたまたま同一の裁判体に係属しても、併合審理されませんね。前例もないし。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100127-00000017-mailo-l21
最終的な刑期は、二つの裁判の判決を合算して決まる。弁護人によると、今回の判決が控訴された場合、一つにまとめて「併合審理」を行うか、分離したまま控訴審を行うかは刑事訴訟法に明確な規定がなく、裁判所の判断に委ねられるという

 しかし、裁判員対象外の事件が強制わいせつ罪100件で、併合罪加重の上限に張り付いている場合、軽い致傷罪と併合審理されると、統一処断刑形成説で、処断刑期が無期懲役まで広がりますから、15年を超えて無期懲役に近づきます。分離していることで、軽くなっていることもあるんです。