児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

 刑事損賠命令制度県内申し立て2件 

刑事損賠命令制度というのは、「損害賠償命令制度を利用すれば、刑事事件で使った証拠をそのまま使うことができる。これまでのように半年以上はかかってしまう民事裁判とはスピードが違う」というところまでの制度であって、その程度のものだからすうなり実現した。
 「すべての犯罪被害の賠償を国が建て替える制度」とか「給付訴訟の認容額を国が立て替えてくれる」があればいいんでしょうけど、税金だと抵抗があって、自賠責みたいな掛け金で運用するしかないわけですが、強制しなければそれは加入してくれませんよね。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukui/news/20091204-OYT8T01530.htm
最高裁によると、制度が始まってから今年9月末までの全国の申し立て件数は、163件。このうち実際に審理が行われたのは70件で、審理日数は「15日以内」が24件と最も多く、「1か月以内」は17件だった。福井地裁によると、県内では9月末までに2件のうち1件は審理を終え、残る1件は審理中という。
 審理を終えた事件を担当した被害者代理人の弁護士は「損害賠償命令制度を利用すれば、刑事事件で使った証拠をそのまま使うことができる。これまでのように半年以上はかかってしまう民事裁判とはスピードが違う」とメリットを強調。ただ、審理では被告に賠償金の支払い命令が出たが、被告側からは賠償金はまだ支払われていないといい、「服役中で支払い能力がないのが現状。本当に賠償につながるのか切実な課題」と話している。
 高橋則夫・早稲田大法科大学院教授(刑事法)の話「犯罪被害者を経済的に支える仕組みとしては良いが、まだまだ周知が進んでいない。また、被告に負担能力がなければ支援につながらないので、公的な支援システムがあってもいいのでは」

刑事政策講義第3版P236
ところで、被害者救済のための国家の財政支出を正当化する理論的根拠は何か。これについては、従来三つの観点から理由づけされている。第一は損害賠償的考え方であって、権利補償説ともいわれる。国は犯罪防止の責任を有するから、発生した犯罪に対し損害賠償義務を有するとするのである。第二は社会保障的考え方で、社会保障説とか生活保護説と呼ばれる。被害者の悲惨な状態に対し、社会保障として生活援助をする必要があるというものである。この場合は被害者の困窮の程度を調査することが前提となる。第三は保険的な考え方で、保険説といっている。現在の社会においては一定量の犯罪の発生は不可避の現象であるから、税金の一部を保険掛金としてその損害を社会全体に分散すべきだとする。もちろん税金を支払わない市民も存在するので、一種の擬制的発想ではある。わが国の通説はこの第三の考え方を第一義とし、さらに第一、第二の考え方も加味して被害者補償制度を正当化すべきであると主張している。
一九八一年一月から施行された「犯罪被害者等給付金支給法」は、「人の生命又は身体を害する犯罪行為により、不慮の死を遂げた者の遺族又は重障害を受けた者に対し、国が犯罪被害者等給付金を支給する」(一条)としている。これは、通常、前記三つの考え方の複合形態であるといわれるが、いずれのタイプにも属さない制度という見方もある。諸外国の例と異なり「補償」という言葉を避け、「給付金」の支給としている点にわが国の制度の特徴があるからである。すなわち、わが国の制度は犯罪被害者の現状を放置しておくことによって生じる国民の法制度全体への不信感を除去することを本質とする国の施策であって、給付金の性格も損害の一部填補の要素を含んだ見舞金的なものとされている。それゆえ本制度は、被害者の救済を通じて国の刑事司法制度に対する国民の信頼を確保し社会秩序の安定に寄与するという観点に基づく制度として捉えられる。