児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

共犯従属性

 共犯論を論じさせていただきます。

 こういう面から考えたことはありますか?
 こういう事例で、児童に責任能力があって間接正犯にはならないいとして、被害児童の1項提供罪+2項製造罪の正犯責任について、被害者の自傷行為・自殺行為だから不成立だとすると、その教唆犯も処罰されません。

 論じますっ!

被告人は,A子(平成5年月日生,当時16年)が18歳に満たない児童であることを知りながら,別表記載のとおり,平成21年8月21日午後11時57分ころから同月11日午前零時17分ころまでの間,沖縄県の同児童方において,同児童にその乳房,陰部等を露出させる同表画像内容欄記載の姿態をとらせ,これを同児童の携帯電話機付属のカメラにより静止画として撮影させた上,その静止画像8枚を同児童の携帯電話機から被告人の携帯電話機に電子メールの添付ファイルとして送信させ,そのころ兵庫県内においてこれを受信して,同年8月22日午前零時6分ころから同日午前零時17分ころまでの間,兵庫県内において,同静止画像8枚を被告人の携帯電話機本体に装着された電磁的記録に係る記録媒体であるマルチメディアカードに保存した。

 一見すると、児童が撮影・送信しているのであるから、被害児童が1項提供罪と2項製造罪の正犯のようにみえる。
 しかし、3項製造罪の個人的法益を重視するならば、被害児童自身が撮影する場合には、被害児童の行為は自損行為であって正犯とならない。
 条文的には、「児童の姿態」を「他人の児童の姿態」と解釈して、構成要件該当性が欠けることになる。

第7条(児童ポルノ提供等)
児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

 このとき、児童を撮影を依頼した者は、1項提供罪と2項製造罪の教唆犯のようにみえるが、児童が構成要件該当性が阻却されて正犯とならないので、処罰されない。