児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童は撮影時点で実在すればいいのか? 提供等の行為時に実在することを要するのか?

 保護法益については、極端な個人的法益説は通じなくて、個人的法益+社会的法益の混合だと説明しているわけですが、児童が死亡していたらどうなのよという問題があります。
 個人的法益は残らないから、社会的法益のみになるのか?
 生存児童ポルノの場合とは違うから、普通なら、230条後段のような規定を設ける。

第230条(名誉毀損) 
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。

 しかし、外部的評価というのは死んでも残るから保護の対象となり得ますが、裸体を見られて傷つくことがない利益というのは、死んだら保護のしようがないので、説明難しいですよね。

判例コンメンタール刑法3巻P76
1説 死者に対する遺族の敬愛の情と解する見解、
2説 死者自身の名誉と解する見解
とが対立している。
1説では、死者に遺族がいない場合に本罪が成立しえないという不都合があることから、近時は2説が有力である。2説は、人の名誉は死後においても不当に侵害されてはならない(真実の摘示は許されるが、死後も、故人が有していた外部的名誉が虚偽の事実によってれてはならない)、と解するものである 。

 わからないときは、ちょっと、手持ちの控訴事件で裁判所に聞いてみます。