児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童淫行罪と業とする児童買春周旋罪は観念的競合で、どっちを起訴しても両方起訴してもいい(大阪高裁H21.5.14)

 一応聞いてみました。

第2 控訴趣意中,法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反の主張について
 論旨は,要するに,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律5条2項違反の罪(以下「児童買春周旋を業とする罪」という。)は,児童福祉法60条1項違反の罪(以下「児童に淫行させる罪」という。)の特別法に当たるから,児童買春周旋を業とする罪が成立する場合には同罪のみが成立し,児童に淫行させる罪は成立しないと解されるところ,本件にあっては,児童買春周旋を業とする罪が成立していると考えられるから,児童に淫行させる罪は成立しないのに,同罪の成立を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあり。また,児童買春周旋を業とする罪の事物管轄は地方裁判所であるかち,家庭裁判所である原審が審理したのは不法に管轄を認めたものであって,訴訟手続の法令違反(刑訴法378条1号の絶対的控訴理由)があるというのである。
そこで,記録を調査して検討するに,児童に淫行させる罪と児童買春周旋を業とする罪とは,互いにその処罰根拠を異にし,規制態様にも差異があることからすると,事実が両罪の刑罰法規に触れる場合にはいずれの刑罰法規も適用されるという関係にあり,児童買春周旋を業とする罪が成立する場合に児童に淫行させる罪め刑罰法規が適用されないというような関係にはないと解される。
したがって,児童に淫行させる罪の成立を認めた原判決に法令適用の誤りはなく,また,家庭裁判所である原審が審理したことが不法に管轄を認めたことになるものでもない。論旨は理由がない。