児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

西森菜津美「表現の自由と著作権−パロディ表現物に関する憲法学的検討」立命館法政論集 第6号

 憲法上の位置づけとしては、財産権しかないでしょうね。
 とすると、事前抑制の根拠としては弱いですよね。

西森菜津美「表現の自由著作権−パロディ表現物に関する憲法学的検討ー」立命館法政論集 第6号
以上の議論を踏まえ,実際に憲法21条1項により保障されている表現の自由著作権との調整が必要と思われる著作権法112条1項についての合憲性を検討する。
まず,著作権法112条1項による差止請求が認められるためには,他者の表現が著作権侵害と評価されることが必要である。そして,侵害といえるためには,原著作物もしくは原著作物に依拠して作成された原著作物と類似の範囲内にある著作物に,行為者が依拠して,著作権法21条から27条, 113条I項, 2項に規定される行為が行われることが必要であると解されるo
パロディ表現の場合,著作権侵害とされる可能性があるものは,同一性保持権(著作権法20条l項),翻案様(27条),複製権(21条, 28条)である。そこで,それぞれの権利侵害について112条1項による差止めが合憲と言えるかどうか検討する。
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そこで,同一性保持権に関しては,表現内容に対する規制ととらえ直して,合憲性を「やむにやまれぬ(高度に重要な,必要不可欠な,という意味)公共的利益(compelling public interest) の基準で判断するのが適当と考える
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次に,翻案権,複製権侵害を認める要件については,第2章第2節で述べたように,形式的な要件のみで,表現物の内容にまで踏み込んだものではないので,内容中立規制として,より制限的でない他の選びうる手段の基準(Iess restrictive alternatives) を用いる。
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複製権,翻案権は憲法29条1項から保障される財産権と解するなら,財産権上の損害はその後の損害賠償で回復するからである。よって, 112条I項に基づく差止め請求については複製権,翻案権を根拠とする場合も違憲と考える。