児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

女性被疑者が女児に児童淫行罪

 児童淫行罪の実行行為は、「性交又は性交類似行為」でして、性交はできないわけで、性交類似行為は可能ということでしょうか。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090210/crm0902101954038-n1.htm
 同課の調べによると、容疑者は昨年9月18日ごろ、当時住んでいた神戸市西区の自宅で、宝塚市内の中学2年の女子生徒=当時(13)=にわいせつな行為をさせた疑い。「何も知らないので調教しやすかった」と容疑を認めているという。

東京高裁平成 8年10月30日
 1 「淫行」について(所論(1))
 児童福祉法三四条一項六号にいう「淫行」には、性交そのもののほか性交類似行為をも含むものと解される(最高裁判所昭和四七年一一月二八日第一小法廷決定刑集二六巻九号六一七頁参照)。ところで、同法は、すべての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、かつ、育成されるよう努めなければならないこと、すべて児童は、ひとしくその生活を保護され、愛護されなければならないこと、国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負うことをもって、児童の福祉を保障するための原理とし、この原理は、すべて児童に関する法令の施行に当たって、常に尊重されなければならないと規定している。そして、同法三四条は、このような基本理念に基づいて、児童を保護するための各種禁止行為について規定しているが、なかでも同条一項六号は、児童が精神的にも肉体的にも性的に未成熟であるため、そのような児童に淫行をさせる行為は児童の心身に与える有害性が特に大きいとみて、これを規制する趣旨であると解される。右のような児童福祉法の基本理念や同法三四条一項六号の趣旨目的に照らせば、児童の相手方がバイブレーターを自らの手で児童の性器に挿入する行為が性交類似行為に当たることは、多言を要しないが、仮に相手方が自らの手でバイブレーターを児童の性器に挿入しない場合であっても、バイブレーターを調達して児童に交付した上、自己の面前において児童をしてこれを性器に挿入させる行為も、相手方が自らの手でバイブレーターを児童の性器に挿入する場合と、児童の心身に与える有害性は異ならないものと認められるのであって、性交類似行為に当たるものと解するのが相当である。
 本件においては、被告人は、被害児童に対し、自ら購入しておいたバイブレーターを示し、スイッチを操作するなどしてその使用方法を説明した上、これを自己の性器に挿入して自慰行為をするよう勧め、よって、同児をして、被告人も入っている同じこたつの中に下半身を入れた状態で、右バイブレーターを自己の性器に挿入せしめて自慰行為をさせ(原判示第一)、あるいは、被害児童に対し、自ら注文して入手したバイブレーターを示し、スイッチを操作するなどしてその使用方法を説明した上、同児がこれを使用するであろうことを承知していながら、これを同児に手渡し、よって、同児をして、被告人も入っている同じベッド上のふとんの中で、右バイブレーターを自己の性器に挿入して自慰行為をするに至らしめた(原判示第二)というのであって、右のような被告人と各被害児童との間の行為が前記性交類似行為、すなわち「淫行」に該当することは明らかというべきである。