児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性的虐待事案における被害者の宥恕(東京高裁H20.9.17)

 これでもちょっとは軽くなってます。
 福祉犯の保護法益を考えると、真の被害回復って、不能ですよね。宥恕を得ても示談しても。

2量刑不当の論旨について
 所論は,被害児童が宥恕している点を重視すべきであるという。
 確かに,被害児童は,被告人の刑を軽くして欲しい旨の嘆願書を書くなどしている。
 しかしながら,この種の事案については,性的被害者にPTSD(心的外傷後ストレス障害)が生じるかは分からないものであるし,性的被害者に対する支配が悪質な事案であればあるほど,その宥恕の意思を得やすいという特徴もある。
 したがって,被害児童の宥恕の意思については,被告人からの支配がなくなり,もはやPTSDが生じる可能性が少なくなった後のものであるか否かを慎重に検討する必要がある。
・・・
 これらの事情からすれば,現在,被告人からの支配がなくなったとか、「PTSD」が生じる可能性が少なくなったとは到底いえない状況であり,このような状況下における被害児童の宥恕の意思は,被告人にとって酌むべき事情として重視すべきものとはいえない。
量刑不当の論旨も理由がない。
平成20年9月17日
東京高等裁判所第9刑事部

「量刑判断の実際」の増補版に入りそうなフレーズですね。