児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案

 条文が出てない論評ばっかりで困ります。
 「サーバ管理者による青少年閲覧防止措置は努力義務に」って言っても、わいせつ図画・児童ポルノ等の「違法情報」については、名宛人によっては管理者の処罰根拠になります。条文なくても刑法総論で不作為犯として正犯・共同正犯・幇助で有罪になっているわけですから、今回の法律で法的義務の形式的根拠を得たことになる。これまでは条理しかないと言われてきたのにこれからは、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律○条の閲覧防止措置義務違反」と言える。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000009-omn-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000123-jij-bus_all

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080606-00000060-zdn_n-sci
●サーバ管理者による青少年閲覧防止措置は努力義務に
 当初案でサーバ管理者に義務付けられていた青少年閲覧防止措置と通報の受け入れ体制、記録の保管などは全て努力義務となった。有害情報について利用者から通報を受け、そのまま放置したとしても、何ら罰則は科されない。青少年閲覧防止措置が削除を指すのか、PICS(Platform for Internet Content Selection)などのセルフラベル表示などの措置を指すのか、フィルタリング事業者などへの通知を指すのか、特に方法は指定されていない。今回の法律では、悪質な事業者による違法有害情報の放置について、対応の改善を期待することは難しいと考えられる。

 一部の事業者が要望していた違法有害情報の削除に対する責任制限も、今回は盛り込まれなかった。青少年閲覧防止措置に対して積極的な対応をしたいと考える優良な事業者についても、かかる情報を削除した場合に法的リスクが軽減されることはなく、これまで以上に違法有害情報の削除が進むことは期待できないだろう。