児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

<労役場留置>10年で2.8倍 モラル崩壊顕著に

 「モラル崩壊」っていっても、法律を守らない犯罪者の話ですから、いまさらな感じです。
 略式手続の上限が上がって100万円までになって、支払困難というのも増えたんじゃないですか?
 児童買春罪の罰金は30〜100万円なんですが、払えないこともあって、事実上分納(分割払い)している人もいます。意外にモラルあるんです。
 モラルのない人は、高額の罰金を目にして、「それなら公判請求されて執行猶予の方が良かった」と言いますね。「執行猶予」って後がないことを実感してない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080511-00000010-mai-soci
<労役場留置>10年で2.8倍 モラル崩壊顕著に
5月11日2時31分配信 毎日新聞
罰金執行件数と労役場留置件数
 交通違反などで命じられた罰金刑を支払わずに刑務所や拘置所で働く「労役場留置」の件数が急増している。法務省のまとめでは、97年度の2661件が06年度は7376件と10年間で2.8倍になった。罰金刑の件数(執行件数)そのものは同期間で約4割減少しており、罰金刑に占める割合は4.5倍に跳ね上がった計算になる。専門家は、罰金高額化の流れの中で払えない経済的困窮者が増加したことに加え、「払わなくていい」というモラル崩壊で強制的に収容されるケースが多いと指摘している。

 民事でも刑事でも無担保の場合の債権回収って大変なんですよね。
 サラ金の回収担当者並に、執拗に執行すれば、執行率は上がると思います。
 そもそも罰金を100万までにするのなら、一括支払不能を想定して、執行方法も多様化(分納・延納など)する必要もありますよね。クレジットカードでリボ払いとか。

追記

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080513-00000030-mailo-l04
◇「収容状」には周到準備
 通常、身柄を拘束し、強制執行する場合には、事前に周到な準備が必要だ。同地検では、少なくとも2回以上の督促状を送付。通知を無視したり、払うと約束しながらほごにした場合のみ、財産の差し押さえで対応できないか資産を調査する。一連の手続きを踏んだうえで、ようやく身柄拘束のための「収容状」を執行する。
 だが、実際に身柄を拘束されてはじめて、家計を共にしない親族が、あわてて借金をして納付する場合も多い。同地検は「それなら最初から払ってほしいと思うが、生計を一にしていない親族の資産状況まではわからない」と徴収作業の難しさを語る。
 多重債務問題に詳しい釧路弁護士会の今瞭美弁護士は「罰金を払うために消費者金融から金を借り、多重債務に陥るケースもある」と指摘する。
 罰金の納付は、原則的に一括納付しか認められていない。個別の相談で分割に応じる例はあるものの、広く知られていないため「高額すぎてどうせ払えない」と支払う意思が失われてしまう例もあるという。今弁護士は「分割納付の制度導入について議論を始めてもいいのではないか」としている。

 親族が払うと、刑罰としての一身専属性が失われますね。
 刑罰ですから、回収コストは考慮しませんよね。労役場留置も1日5000円ですが、衣食住まかなって5000円も残るような作業はできないでしょう。
 そうであれば、資力に応じてぼちぼち支払って、感銘力を深めるような執行方法を作るべきですね。