児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童の裸、特に男児の性器を写すことについて

 テレビの入浴シーンなんかは「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ではないので3号ポルノにならないはずなんですが、BPO児童ポルノ該当性云々言い出すと、「児童ポルノ」になってしまいますね。
 誰を基準として「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件を判断するかという問題なんですが、虐待かどうかという虐待受けている側の状況の判断なのに、見る側の嗜好で決めるという点に無理があります。

第2条(定義)
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

http://www.bpo.gr.jp/youth/kenkai/danji.html
青少年委員会では、こうした視聴者意見の動向に注目するとともに、社会的な“児童ポルノ”に対する考え方も勘案して、昨年11月から5回にわたって、この問題を議論してきました。“児童ポルノ”の撲滅を訴えているグループの代表から現状について意見を聞く機会も持ちました。その結果、一般的に児童ポルノといえば女児と思われがちですが、かなりの割合で男児ポルノが含まれていることが明らかとなりました。日本での数値は正確に把握されてはいませんが、違法・有害情報の発信に関する情報収集と対処を目的として、2006年6月に開設されたインターネット・ホットラインセンターに通報されたサイトの20%弱が男児のものでした。また、昨年7月に神奈川県警に摘発された男児ポルノサイトには1日平均6000件、3年間で684万件のアクセスがあったといいます。視聴者意見にもあるように、もはや男児の全裸が“おおらかさ”“ほほえましさ”“開放感”だけを表現するものではなくなってきていることを十分に認識する必要があります。とりわけ、大きな影響力をもつテレビ放送にあっては、この認識が欠かせない段階にすでに立ち至っていると判断いたします。
 なお、テレビで放送された児童の裸体が、インターネットで悪用されたという確証は得られておりません。しかし、インターネット上に男児を含む児童ポルノが氾濫しているのは事実であり、出会い系サイトや盗撮を利用したものに限らず、児童の様々な映像がモーフィング(合成)され出回っていることからも、テレビで放送された裸体や性器が悪用される可能性は十分にあると考え、対処にあたる必要があります。
 一度インターネットに利用されると、その画像は半永久的に残り複製され続けて、児童の成長後に深い心の傷を残すことが懸念されます。また、そうでない場合でも、テレビ画面の中で自分の裸体や性器を写された児童が、後日友だち間でからかいの対象となるなど、著しく羞恥心を感じて傷つくことも考えられます。いずれも児童の人権保障の観点から、十分な配慮すべきことと考えます。

 本委員会は、もとより番組制作者の表現の幅を狭めるつもりはありません。しかし、現在の“児童ポルノ”をめぐる状況を憂慮し、民放連放送基準78条にある「全裸は原則として取り扱わない」とする原則を踏まえて、テレビ映像の悪用を予防する観点から、テレビ関係者に注意を喚起するよう求めることといたしました。
 テレビ制作にあたっては、例え男児であっても児童の全裸、特に性器を番組等で写すことは、表現の目的、必要性に応じて、同じ内容を伝えるためにほかの表現方法がないかなどを、制作、撮影、編集等それぞれの現場において慎重に検討されることを望むものです。