児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

プロバイダも処罰する?

「性、暴力、自殺、売春、麻薬、いじめに関する表現で「青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」を阻止しないと懲役ですって。
 もう、なんでも来い!

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008030501000782.html
青少年のアクセス防止法案 有害サイトで自民、罰則も
2008年3月5日 19時29分
 18歳未満の青少年による有害サイトへのアクセスを防ぐため、自民党の青少年特別委員会(委員長・高市早苗少子化担当相)が作成した「青少年の有害情報閲覧防止法案」の原案が5日、明らかになった。
 プロバイダー(接続業者)、インターネットカフェ事業者らに、サイト上の有害情報を18歳未満の者が閲覧できなくするような措置を義務化。国などの是正命令に従わない場合には最高で「6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処する」との罰則規定を設けているのが特徴だ。
 ただ、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いから政府、与党内では有害サイトの法規制に慎重論が根強い。自民党内では原案に関して「『有害情報』の定義があいまいだ」との批判もあり、議員立法にこぎつけられるかは見通せない。
 原案は有害情報について性、暴力、自殺、売春、麻薬、いじめに関する表現で「青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」と定義。
(共同)

 奥村の見解も聞きたくないこと書いているので有害情報かもしれません。早速shugiin.go.jpからアクセスがありました。
 児童ポルノを放置した管理者は公然陳列罪の正犯(懲役5年)です。問題になっている削除義務(作為義務)を法定するのかと思いきや、そこまではしないんですね。ここはもうちょっと議論してほしいところ。児童ポルノについては、陳列状態が違法なのだから、個人でも法人でも、削除を拒めないはず。
 他方、違法でない有害情報(自殺・暴力)について、書き込んだ人は処罰されないのに、削除しなかったプロバイダが削除させられ処罰されたりすることになりますが、これでいいんですか? それとも書き込んだ人も処罰するんですか?

続報

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080306k0000m010162000c.html
法案は「有害情報」について(1)性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼす(2)残虐性を著しく助長する(3)犯罪を著しく誘発する(4)薬物乱用など健康を害す行為を著しく誘発する(5)特定の青少年へのいじめに関する情報で著しく心理的外傷を与える恐れがある(6)家出した青少年に非行などを著しく誘発する−−と定義した。
これをもとに、具体的な基準を作成するため内閣府に「青少年健全育成推進委員会」を新設し、ネット上の情報を「選別」する。

 その上で、基準に該当するとみなした情報が書き込まれたサイトの管理者には、閲覧を18歳以上の会員制にするよう義務付ける。インターネットの接続プロバイダーにも、サイト管理者に会員制化を促すよう求める。インターネットカフェには、18歳未満の客にフィルタリングソフト付き端末を利用させるよう義務付ける。

 さらに、総務相は、違反したプロバイダーや携帯電話会社に是正命令を出せると規定。従わない場合は「6月以下の懲役か100万円以下の罰金」とした。ただしサイト管理者は、「個人で運営し、サイトに書き込まれた情報をすべて把握できないケースがある」として罰則の対象から外した。