政治責任の議論は構いませんが、海事補佐人から言わせてもらえば、海難の原因の細かい議論は海難審判でやることになっています。
http://www.mlit.go.jp/maia/index.htm
乗船経験が無い人は用語も不正確だったりするし。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080222-OYT1T00435.htm
漁船が多い千葉県房総半島沖であたごが自動操舵(そうだ)をしていたことに関し、石破防衛相は22日午前の衆院安全保障委員会で、「一般論としては適切ではないのではないか」と述べ、あたごの行動への疑問を示した。
同省によると、あたごは事故の1分前に回避行動を取るため自動操舵から手動操舵に切り替え、急制動をかけたが、間に合わずに清徳丸と衝突した。
石破防衛相は、「こういう海域においては、手動で運航すべきと考える」としたうえで、「何が適切だったかこれから捜査がなされると思う」と話した。
そういっても、刑事責任は刑事裁判、民事責任は民事裁判で、微妙に結論が異なることがあります。
奥村の経験では、死亡海難で、海難審判で無責→刑事は有責・略式命令→民事訴訟は有責で和解となったことがあります。
海難審判法
第一章 総則
第一条 この法律は、海難審判庁の審判によつて海難の原因を明らかにし、以てその発生の防止に寄与することを目的とする。
第二条 左の各号の一に該当する場合には、この法律による海難が発生したものとする。
一 船舶に損傷を生じたとき、又は船舶の運用に関連して船舶以外の施設に損傷を生じたとき。
二 船舶の構造、設備又は運用に関連して人に死傷を生じたとき。
三 船舶の安全又は運航が阻害されたとき。
第三条 海難審判庁の審判においては、左の事項にわたつて、海難の原因が、探究されなければならない。
一 人の故意又は過失に因つて発生したものであるかどうか。
二 船舶の乗組員の員数、資格、技能、労働条件又は服務に係る事由に因つて発生したものであるかどうか。
三 船体若しくは機関の構造、材質若しくは工作又は船舶のぎ装若しくは性能に係る事由に因つて発生したものであるかどうか。
四 水路図誌、航路標識、船舶通信、気象通報又は救難施設等の航海補助施設に係る事由に因つて発生したものであるかどうか。
五 港湾又は水路の状況に係る事由に因つて発生したものであるかどうか。
第四条 海難審判庁は、海難の原因について取調を行い、裁決を以てその結論を明らかにしなければならない。
○2 海難審判庁は、海難が海技士(船舶職員及び小型船舶操縦者法 (昭和二十六年法律第百四十九号)第二十三条第一項 の承認を受けた者を含む。以下同じ。)若しくは小型船舶操縦士又は水先人の職務上の故意又は過失によつて発生したものであるときは、裁決をもつてこれを懲戒しなければならない。
○3 海難審判庁は、必要と認めるときは、前項の者以外の者で海難の原因に関係のあるものに対し勧告をする旨の裁決をすることができる。