児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性犯罪者の再犯率は高くない。

 結局、性犯罪者処遇プログラムの対象者の選定が難しいということです。

太田達也「犯罪白書を読んで②再犯者の実態と刑事政策」法律のひろば 平成20年1月号
その傾向は、再犯者全体と極めて酷似している。つまり、犯歴パターンをみる限り、多様な罪種にわたって犯罪を行っている、いわば多罪種型の犯罪者であり、性犯罪の同種再犯を繰り返す者はむしろごく少数に留まることになる。
このような性犯罪者の実態を考えると、性犯罪省に対する処遇の在り方を検討しなおす必要があるように思われる。即ち、平成18年より矯正施設と保護観察所において性犯罪者処遇プログラムが実施されている。こうしたプログラムの意義は否定すべくもないが、白書で示されているように、性犯罪者の同種再犯率が低く、むしろ再犯は多様な罪種にわたっているという事実があるとすれば'件犯罪者の性犯罪の部分ばかりに目を向けるあまり、却って性犯罪者がもつ問題の他の部分を見過ごすことがないように注意し、多罪種型の性犯罪者に対しては、性犯罪以外の問題性や特性にも配慮した処遇要領や処遇計画を立てる必要がある。
また、自責では、初犯を基準として罪名別の再犯状況の分析を行っているため、初犯が性犯罪であっても'その後の再犯が実に多様な罪種に及んでいるという見方になるが'反対にみれば、初犯が性犯罪でなくとも'将来、性犯罪を行う可能性のある再犯型の犯罪者がいるということである。となれば、本件罪名が性犯罪でなくとも、受刑者や保護観察対象者には性犯罪者に見られるような性的認知の歪みがないかどうかのアセスメントを行う必要がある場合もあろう。