児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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漫画とかアニメの話。

議員立法なので法務省も気楽な答弁。「この法律の立法の目的が児童の権利擁護ということでありまして、描写の対象になった児童の人権を守るということでありますので、実在しない児童のわいせつ画像、アニメ、ゲーム等につきましては、直ちにこれに当たってこない」なんて言ってますね。

168 - 参 - 法務委員会 - 3号 平成19年11月08日
松浦大悟君 無所属の松浦大悟でございます。今日が私にとって二回目の質問ということになります。どうぞよろしくお願いをいたします。
 今日は有害サイト規制について質問をしたいと思います。
 政府におきましては、IT安心会議が有害サイト集中対策を策定し、青少年育成推進本部では来年中をめどに青少年育成施策大綱を改定する方針というふうに聞いております。
 私は、有害サイト規制については条件付き賛成の立場です。ウエブだからといってすべてを放任していいというわけではない、一般の犯罪と同程度の規制は必要だろうというふうに考えています。しかし、今の世論は明らかに過剰反応だとも思います。IT安心会議もこうした世論に左右された議論になっているのではないかというふうに危惧をしています。有害サイトとは何をもって有害とするのか。有害であるものと有害ではないものとの間に線引きをしようというわけですから、そこには必ず恣意性が働く。何が有害なのか、後ほど大臣の御見解も含めて伺っていきたいというふうに思います。
 まず、IT安心会議が規制を強化しようとしている出会い系サイト規制法について伺いたいと思います。
 規制の強化ということでございますが、具体的にはどのようなデータに基づいて規制を強化しなければならないというふうに御判断をされたのかということが一つ。もう一つは、規制の強化は範囲の拡大を意味するのかということ。今現在におきましても、ミクシィやエキサイトフレンズなどのようなSNS、ソーシャル・ネットワーキング・サービスや一般BBS、あるいはプロフといったものの中では一見さんには分からないような形で売買春の交渉が行われている。SOSだとか、三でお願いしますだとか、助けてくださいだとか、私のサポーターになってくれる人といったような書き込みが行われているわけですよね。つまり、児童買春は今や出会い系サイトだけではなくて様々なサイトに分散をしてしまっている。こうした中で出会い系サイトだけを規制しても意味がないんですね。規制を強化するということは、こうしたSNS、ミクシィなどにも規制の範囲を広げようということであるのかどうか、質問したいと思います。
○政府参考人(片桐裕君) お答え申し上げます。
 御案内のとおり、出会い系サイト規制法の附則第二条というのがございまして、この法律の第七条、これは事業者は児童の利用禁止の明示をしなければいけないという規定でございますけれども、これと第八条、業者は利用者が児童でないことを確認しなければいけないという規定でございますけれども、こういう規定につきまして施行後三年を経過した段階で必要に応じて見直しをすべきという規定が置かれているところでございます。その三年が昨年十二月で経過をしたという段階でございまして、したがって、その後我々検討を進めてきたということでございます。
 また、出会い系サイトを利用しての犯罪の被害に遭う児童でございますが、この法律がそもそも施行された後、一時大分減少したんでございますけれども、その後、また昨年からこれは増加をするという傾向にございます。
 こうしましたことから、警察庁では、先般、出会い系サイト等に係る児童の被害防止研究会、これを設置いたしまして、今申し上げました第七条、第八条だけでなく、この法律全体について問題点の洗い出しと、また今後のあるべき対策について御検討いただくということにしているところでございます。
 その論点でございますけれども、警察庁からは主に二点提示しておりまして、一点は、不適切なサイト運営を防ぐための事業者としての責任をどう考えるのかと、もう一点は、児童による利用をどうやって防ぐのかという二点を御提示申し上げておりますが、この中には、出会い系サイトの、今御指摘があった定義の拡大ということは含まれてはおりません。おりませんが、ただ、第一回目の先般の会議の中で、一部の委員からこの点も論点にすべきだという御意見もございましたが、まだこれは論点にするかどうかは決まっていないということでございます。
 私どもとしましては、この点を含めまして今後研究会でどういった議論がなされるか、その行方を私どもから申し上げることは適当ではないと思っておりますけれども、警察庁としましては、今後この研究会での議論を踏まえまして、児童の犯罪被害防止のための実効的かつ相当な対策について検討していきたいというふうに考えております。
松浦大悟君 今出会い系サイトによる犯罪の検挙件数が非常に増えているという話がありましたけれども、しかし、この検挙件数と暗数というのは比例しているわけではございませんで、なぜかというと、警察が力を入れれば検挙件数というのは上がるんですね。年末の交通取締りを見れば分かるとおり、警察が力を入れれば検挙件数というのは上がるわけです。例えば、京都府警がウィニーの不祥事が起こった後にサイバー犯罪に対する検挙というのを物すごく力を入れてやった。そのことによってサイバー犯罪の検挙件数がぐんと上がったということがあります。つまり、出会い系サイトの被害児童が増えたという統計データは、ネットユーザーが増えたことによって、あるいは警察がサイバー犯罪に力を入れるようになったことによって上がっているように見えるというふうにも解釈できるわけでございます。
 さて、IT安心会議のホームページを見ますと、自殺サイトや学校裏サイトについても非常に関心が高いように見えるわけでございます。しかし、こうした学校裏サイトや自殺サイトは今回は規制の対象とはなっていない。これはなぜ規制の対象にはならなかったのか、そして今後規制対象とする意図はおありなのかどうか、お聞かせください。
○政府参考人(南俊行君) 内閣官房でございます。私どもで関係省庁さんから成りますIT安心会議の事務局を仰せ付かってございますけれども、今年の十月十五日に、今先生御紹介いただきました様々な関係省庁さんの施策を取りまとめて集中対策として取りまとめをさせていただいたところでございます。
 その中に今御紹介いただきましたいわゆるやみサイトでありますとか学校裏サイトの問題も取り上げてございますが、まずは、その実態が関係省庁も含めましてよく分かっていないという面もございますので、まずはちゃんと実態を把握した上で必要に応じて対応策を検討していこうというところにとどまっているものでございます。
 インターネット上の情報の流通に関しましては、表現の自由でございますとか、やはり通信の秘密といった面についても考慮をする必要があるというふうに考えておりまして、特に発信者側の権利を過度に萎縮させることがないような配慮というのはやはり必要であろうというふうに思っております。
 現在、プロバイダーの業界団体さん等の自主的な民間団体の取組がございますので、そういったものを政府としては側面から実効性が上がるようにサポートしていくという対策をやはり中心に進めることが、このインターネットという事柄の性格上ふさわしいのではないかということで今回の取りまとめに至ったということでございます。
松浦大悟君 自殺サイトですとか学校裏サイトといいますと、マスコミでは負の側面だけが強調されるわけでございますが、しかし別の側面もあるだろうというふうに考えます。
 例えば、自殺サイトでいうと、自殺サイトへアクセスすることによって自殺をする人の数と、そこへアクセスする人の数を比べてみてもらいたいんですね。そうすると、そこのサイトにアクセスしたことによって自殺をした方の数よりも、圧倒的多数の方たちがアクセスをしただけということが分かるんですね。つまり、自殺念慮を抱えている方たちが自殺サイトにアクセスすることによってガスが抜けているという現状があるだろうというふうに思います。自殺念慮を持っている方たちが孤独に陥らないような、そういうコミュニケーションの場でもあるわけです。
 また、学校裏サイトについて言えば、学校裏サイトではいじめの温床になったサイトだけがピックアップされるわけでございますが、それだけの機能ではなくて、普通の学校での日常生活の会話なども行われているわけでございます。一見いじめのように見えるようなそういう書き込みであっても、いじめっ子が書いているのか、あるいはいじめられっ子がその書き込みを行っているのかで文脈は変わってくるわけですよね。いじめられっ子が学校での憂さを晴らすために書き込みをしている、ガスを抜いているというケースもあるわけでございまして、一くくりにできるものではないというふうに思います。小中学生がサイトを作れば、必ずそこは学校裏サイト的なニュアンスを帯びてくるわけなので、これを規制するというのはどうなんでしょうか。子供たちの表現の場を大人が奪うようなことがあるべきではないというふうに私は考えます。
 今後も規制すべきではないというふうに考えますが、御見解をお聞かせください。
○政府参考人(武内信博君) 総務省といたしましても、インターネット上の違法・有害情報の対策は非常に重要な課題であるというふうに考えておりますが、他方、今先生の御指摘もありましたように、この課題の取組につきましては、表現の自由というふうな観点から慎重な検討も必要だというふうに認識をしております。このような観点から、プロバイダーやあるいは電子掲示板の管理者等によります違法・有害情報の自主的な削除の取組の支援ですとか、あるいはフィルタリングというものの普及などに努めているところでございます。
 総務省といたしましても、引き続き、こういう表現の自由等についての議論にも十分配慮した上で、ガイドライン等の運用ですとかあるいは周知の支援、あるいはフィルタリングサービスの一層の普及というものにつきまして、業界ですとかあるいは関係機関との連携を引き続きやってまいりまして、今後とも違法・有害情報の問題に総合的に対応してまいりたいというふうに考えております。
松浦大悟君 次に、児童買春、児童ポルノ禁止法について伺います。
 これは議員立法で成立したものでありますが、法務省として改正する意図というのはあるんでしょうか。もしあるのであればどういう内容なのかを教えていただきたいと思います。
 私は、写真やビデオと違って、被害者のいない漫画やアニメ、それからゲームに対する規制の強化が行われるのではないかというふうに危惧をしています。法律を改正するならば、改正するに見合った立法根拠が必要だと思っておりますが、このような有害と言われるメディアが犯罪を増やしたという調査結果はあるのかないのか、お聞かせください。
○政府参考人(大野恒太郎君) ただいま有害メディアが具体的な犯罪を増やしたという統計があるかどうかということでございますけれども、済みません、私が今知る限りにおいてはそのようなものは承知しておりません。
 それから、児童買春、児童ポルノ禁止法の見直しの関係でございます。
 先ほど委員御指摘のとおり、十六年の改正で三年後の検討ということが求められております。したがいまして、当局といたしましても、社会意識の状況等を見まして、また、今後におきます国会における議論等にも注目させていただきまして、その上で検討を進めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、ただ、その中で議論が出てまいりますのは、例えば、実在しない児童のわいせつ画像を取り扱ったアニメやゲームについても、これは青少年の育成上問題があり、あるいは児童を性の対象とする風潮を助長するんじゃないかというような御議論がございます。
 この辺りは、この法律の立法の目的が児童の権利擁護ということでありまして、描写の対象になった児童の人権を守るということでありますので、実在しない児童のわいせつ画像、アニメ、ゲーム等につきましては、直ちにこれに当たってこないし、また、表現の自由ですね、表現の自由との関係がございますので、慎重な考慮を要するのではないかと、このように考えております。
松浦大悟君 御答弁にありましたとおり、メディアの悪影響論についてはアメリカの社会学者のクラッパーが実証的に否定をしております。しかし、そうした中においてアニメの悪影響論が語られているという現状があるわけでございます。
 大臣、児童のアニメといっても、写真の被写体と違いまして、アニメのキャラクターに戸籍など年齢確認することはできないんですね。にもかかわらず、そうすると、これは児童ポルノだ、これは違うという形で、すべて警察、検察の恣意的な運用に任せられるということになってしまいます。特に日本のアニメというのは成人と児童との区別が付かない、そういう表現が行われているわけでございます。特徴的なわけでございます。なので、恣意的な運用が懸念をされるわけなんですね。
 過度なわいせつ物などはわいせつ物頒布罪などの現行の法体系で取り締まることが可能ですから、立法根拠のない法改正はすべきではないと私は思います。特にアニメやゲームというのは日本のコンテンツ産業の軸でもありますから、こうした産業育成の面からも、それから表現の自由の面からも、できる限り守られるべきであろうというふうに思います。
 ローゼン閣下とも呼ばれ、アキバの皆さんにも大変人気がある麻生太郎自民党幹事長と盟友であられる鳩山大臣に、前段で質問した有害サイト規制なども含めまして御見解をお聞きしたいと思います。お願いいたします。
○委員長(遠山清彦君) 鳩山法務大臣、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
国務大臣鳩山邦夫君) 私は麻生太郎さんの選対本部長だったんですが、麻生さんのようにそういうことに詳しくはないんです。ですから、今の松浦委員のお話をずっと承っておりまして私なりに勉強しました。表現の自由の問題、我が国における、それは児童ポルノを処罰するという法律があるけれども、それを余り振りかざされると我が国独特の文化にも影響があるというようなことが御主張だと思いますし、まして実在をしない漫画的ポルノというんでしょうか、そういうものをどう考えるかということについても委員のお話をこれから参考にしていきたいと思っております。
 ただ、私はインターネット社会が来るなんて全く思っておりませんで、この間まで自民党選挙制度調査会長をやっておりまして、インターネットを選挙運動に使っていいというふうにすると何が起きるかと。これは、なりすましだとか、要するに選挙妨害みたいなものがわっと押し寄せてきて何の規制もできないと。国内で規制しても外国へ行って飛んでくると。だから、恐ろしい時代になったなということを考えておりますので、すべて慎重に判断しなければならないと思いますし、松浦委員のお考えはよく分かりましたので参考にいたします。