児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

手品用でも硬貨加工駄目 マジシャンらに有罪判決(東京地裁H19.4.13)

 控訴するそうです。
 根拠も不明確な電子マネーが乱立していくと、国家が発行する紙幣・貨幣の信用というのは、相対化しますよね。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007041301000656.html
 手品用に内側をくりぬく目的で500円玉などを集め、台湾で加工して輸入しようとしたとして、マジシャンら3人が貨幣損傷等取締法違反(損傷目的収集)罪などに問われた事件があり、東京地裁(鈴木秀行裁判官)は13日「加工した円硬貨を使う手品は困難になるが、貨幣の信用を保護するためには、やむを得ない」として、3人に有罪判決を言い渡した。
 弁護人の小野智彦弁護士は同法などの規制について「マジシャンへの適用は『表現の自由』の侵害で憲法違反」と無罪を主張していた。
 判決後、小野弁護士は「初めての判断。加工した外国硬貨は使えるが、マジック表現の幅は狭くなる」と述べ、控訴する方針を明らかにした。

 控訴棄却のようです。

東京高裁判決速報 速報番号3363号
貨幣損傷等取締法違反,関税法違反
○判示事項
貨幣を切削等してマジック用コイン(ギミックコイン)とするための材料として,本邦内の銀行に設置された両替機を用いて日本国政府発行の貨幣を収集した上,これを国外に郵送し,国外において,額面の同じ真貨を2枚ずつ削ってくりぬき,一つに組み合わせるなどして加工した変造貨幣を本邦に輸入しようとして未遂に終わった事案につき
1 貨幣損傷等取締法にいう貨幣の「損傷」とは,「地金として販売あるいは使用する目的」でなした行為に限られるものではなく,マジック用コインに加工する目的でなした行為も,同法にいう「損傷」にあたる。
2 マジック用コインに加工した貨幣を本邦内に輸入しようとした行為は,関税法で一律に禁じられた貨幣の変造品の輸入の未遂罪に該当する。
3 貨幣損傷等取締法あるいは関税法の各規定により,日本円の貨幣を材料としたマジック用コインの入手が事実上困難となることになるが,憲法21条1項,31条に違反するとは解されない。
旨判示した事例。