児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童淫行罪の「させる」とは?

 もともと、児童対成人の関係だけでも、児童が弱いのに、師弟関係・身分関係・契約関係があると、「事実上の影響力を及ぼして児童の淫行に原因を与え,あるいはこれを助長するような行為」というのは簡単ですね。
 しかし、デリヘル事案の量刑を見ると、支配関係も程度問題なので、弁護人としては、細かくチェックする必要があります。

東京高裁平成18年1月10日
論旨は,要するに,家庭教師は,全日制の学校の教師とは異なり,教え子の児童に対して強い支配力がないから,原判決が家庭教師である被告人の行為を「淫行をさせる」と評価したことには法令適用の誤りがある,というのである。
しかしながら,家庭教師であっても,教え子である児童に対して,事実上の影響力を及ぼして児童の淫行に原因を与え,あるいはこれを助長するような行為に及ぶことがあり得ると解されるのであって,原判決もそのような解釈を前提としているものとみることができる(なお,本件関係各証拠によれば,被告人は被害女子児童の性的無知や自己に対する信頼感に乗じて,「」などと言って,従前から同女に性交ないし性交類似行為をさせるなどして本件当日に至ったことが認められ,その事実をみるだけでも,被告人が被害女子児童に対して強い影響力を及ぼしてその淫行の原因を与えたことは明らかである。)。論旨は理由がない。

最高裁判所昭和40年4月30日
家庭裁判月報17巻12号151頁
最高裁判所裁判集刑事155号595頁

児童福祉法三四条一項六号の児童に淫行をさせる行為のうちには、直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をも包含するとした原審の判断は相当である。

東京家庭裁判所平成7年7月6日
家庭裁判月報47巻12号75頁

次に,弁護人も認めるように,最高裁判所判例によれば,淫行罪は,児童に淫行するように強制したり直接的に勧誘する場合のほか,「児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長する行為をも包含する」とされており,当裁判所の見解も,これと同一である。ところで,関係証拠によれば,犯行当日,被告人が,被害児童に対しあからさまに売春を示唆する言動をしたのかどうかについては争いがあるものの,被告人は,前記のようなシステムにより管理・支配していた同女に対し,同女が被告人から客付けされる客との売春により金銭を得たいという希望を持っており,かつ,遊客Bが同女の売春の相手方になりたがっていることを知りながら,Bを同女に客付けしたという事実の限度では,公判廷においても認めているのである。したがって,被告人の客付けによりBとデートした被害児童が,判示日時,場所においてBを相手方として売春したことの明らかな本件事実関係の下においては,これらの事実だけでも,被告人が,前記の意味において,同女に淫行させたと認めるに十分である。

東京高等裁判所判決昭和58年9月22日
高等裁判所刑事判例集36巻3号271頁
家庭裁判月報36巻9号104頁
東京高等裁判所判決時報刑事34巻9〜12号60頁
判例時報1101号123頁
児童の淫行の相手方は、右のようにその関与行為自体によっては処罰されないけれども、その者が、すすんで「児童に淫行をさせる行為」をした者であるときは、児童に対する別個の態様の法益侵害行為として、児童福祉法の前記罰則によって処罰されることは当然である。けだし、「児童に淫行をさせる行為」とは、児童に対し、事実上の影響力を及ぼして、児童の淫行を助長、促進する行為をいうものと解されるところ、児童に対し、このような淫行をさせる行為をした者が、たまたま自らがその淫行の相手方となった場合には、これを処罰しないとする合理的理由は全く存在しないからである。このことは、「児童に淫行させる行為」という文言自体に徴しても明らかであって、右の文言は児童の淫行の相手方が第三者であるか否かを問わない趣旨に解される

仙台高等裁判所判決昭和56年11月24日
児童福祉法34−1
家庭裁判月報34巻4号108頁
そこで法三四条一項六号について考えると、同号にいう行為は、法一条及び二条の法意にかんがみ、たとえ児童が自由意思で淫行する場合であつても、直接たると間接たるとを問わず、児童に対し事実上の影響力を及ぼして児童がその淫行をすることを容易にし、助長し、促進する行為を含むと解するのが相当である。