児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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パロマ判例

札幌地方裁判所判決平成10年7月28日
判例タイムズ1040号247頁
二 被告らの責任原因
 前記一で認定した事実を前提に被告らの責任原因を検討する。
1 被告パロマの責任
(一) 原告らは、本件湯沸器には、はんだ割れにより強制排気装置が作動しない 疵と追加配線を施して安全装置が機能することなく点火燃焼する瑕疵があった旨主張する。
 しかし、原告主張の瑕疵を認めることはできない。その理由は、次のとおりである。
(1) 本件湯沸器て使用されたはんだが通常のガス器具で使用されるはんだより耐久性に劣っていたとか、湯沸器では通常より耐久性の勝るはんだを使用することが可能でありそうすべきてあったとかの事情を認めるに足りる証拠はないし、もともと、本件湯沸器は、強制排気装置が作動しなければ排気あふれ防止装置によって燃焼が停止される仕組みになっていたから、本件湯沸器のはんだつけ部分にはんだ割れか生じたことをもって、本件湯沸器の販売時の瑕疵である、と認めることはできない。
(2) また、追加配線により安全装置が作動することなく点火燃焼するようになった点については、販売当時に追加配線が施されたものではないし、販売当時に右のような追加配線が施工されることが予想できた、とも認められないから、追加配線がされたことをもって、本件湯沸器の販売当時の瑕疵である、と認めることはできない。
(二) とすれば、被告パロマが原告主張のような内容の瑕疵のある欠陥商品を販売提供したことを前提にする被告パロマの賠償責任は肯定できない。また、右のような危険な追加 線をする修理が実施されることをあらかじめ予測できた、との事情を認めるに足りる証拠もないから、本件のような追加配線の危険やその実施を禁止する説明をする義務が生じていた、と認めることもできない。商品の欠陥を原因とする事故が生じた場合にその情報を提供する義務についても、本件事故の発生を阻止できる時期に本件のような事故が発生するおそれのあることを知らせる情報が提供できた、と認めるに足りる証拠はない。
(三) したがって、原告の被告パ口マに対する請求は理由がない。

札幌高等裁判所平成14年2月7日
  そこで,本件湯沸器につき,製品としての瑕疵(欠陥)の有無を検討するに,まず,本件湯沸器が出荷・販売された当時に,そのコントロールボックスの制御基盤にはんだ割れが生じていたことを認めるに足りる証拠はない。また,その後,経年使用することにより制御基盤にはんだ割れが発生すること自体は,温度変化のあるところでは,ある程度不可避的に生じる現象であるから(I証言),そのことをもって瑕疵ということもできない(本件湯沸器で使用されたはんだが通常のガス器具で使用されるはんだより耐久性に劣っていたとか,湯沸器では通常より耐久性の勝るはんだを使用すべきであったとかの事情を認めるに足りる証拠もない。)。なお,もともと,本件湯沸器は,強制排気装置が作動しなければ排気あふれ防止装置によって燃焼が停止される仕組みになっていたから,本件湯沸器のはんだ付け部分にはんだ割れが生じたことをもって,本件湯沸器の販売時の瑕疵であると認めることはできない。
また,本件改造による追加配線により安全装置が作動することなく点火燃焼するようになっていたことについては,そもそも販売当時に追加配線が施されたものとは認められず,販売当時に右のような追加配線が施工されることが予見できたとも認められないから,追加配線がされたことをもって,本件湯沸器の販売当時の瑕疵であるということはできない。
したがって,第一審被告パロマが瑕疵のある湯沸器を販売したことを前提とする損害賠償請求は理由がない。(なお,これらを瑕疵と認めることができないから,製造者に準じる責任(請求原因(3)ア(ウ))の有無も問題にならない。)