児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年条例違反(いん行)で逮捕、製造罪で再逮捕された事例(福島県警)

 児童淫行罪とは観念的競合というのなら「いん行又はわいせつ行為」とも観念的競合でしょうね。同一公訴事実なので原則として再逮捕できない。当番弁護士の活躍に期待します。
 なお、撮影→PCに取込というのは、取り込んだ時に姿態を取らせていなくても包括一罪。

http://www.pref.tochigi.jp/reiki/reiki_honbun/e1010310001.html
栃木県青少年健全育成条例
(いん行等の禁止)
第十九条 何人も、青少年に対していん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

http://www.fukushima-minpo.co.jp/news/kennai/20060710/kennai-20060710105700.html
児童ポルノ製造で大学院生を再逮捕/白河署
 白河署は9日、栃木県青少年健全育成条例で逮捕していた会津若松市神町の大学院生(25)を児童買春・児童ポルノ行為等の処罰と児童保護等に関する法律違反で再逮捕した。調べでは、大学院生は5月中旬ころ、栃木県那須町のホテルで白河地方の女子中学生(14)の裸体をデジタルカメラで撮影。さらに自宅で撮影した映像を自分のパソコンに取り込み、児童ポルノを製造した疑い。同署は6月下旬に大学院生を逮捕していたが、その後の捜査で児童ポルノ製造を突き止めたため再逮捕した。

24時:中学生にみだらな行為で逮捕 /福島
 大学院生、容疑者(25)を栃木県青少年健全育成条例違反容疑で逮捕した。同月ごろ、栃木県那須町のホテルで、県南地方の女子中学生(当時14歳)にみだらな行為をした疑い。(白河署)
毎日新聞 2006年6月30日

http://www.pref.tochigi.jp/reiki/reiki_honbun/e1010310001.html
栃木県青少年健全育成条例

(いん行等の禁止)
第十九条 何人も、青少年に対していん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、又は見せてはならない。

刑訴法第199条〔逮捕状による逮捕〕
③検察官又は司法警察員は、第一項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。

罪数というのは、捜査の最先端に影響するので、きっちり解釈を決めてから立法してください。

 再逮捕の判例

東京高等裁判所昭和48年10月16日
被告人に対する二度の逮捕が同一の被疑事実によるものであるとしても、捜査主体の変更、新たな捜査主体と被告人の居住地との地理関係、第一次逮捕後の日時の経過、捜査の進展に伴う被疑事実の部分的変更、逮捕の必要性等の諸点からして、再逮捕をするにつき相当の理由がある場合に該当すると認められ、本件再逮捕は違法ではないと解される。ただ、前記碑文谷署の司法警察員は、先に大阪において第一次逮捕がなされたことを了知していながら、裁判官に対して逮捕状を請求するにあたり、刑訴法一九九条三項、刑訴規則一四二条一項八号各所定の事項を逮捕状請求書に記載しなかったことが、記録上明らかである。右の各条項によれば、第二次逮捕の被疑事実が第一次逮捕のそれと同一であると否とに拘らず、第一次逮捕の際の逮捕状発布の事実を第二次逮捕の逮捕状請求書に記載すべきであるから、その記載を怠ったことは右の法や規則の定めに違反したものであり、第二次逮捕はその手続に違法があったといわなければならない。しかしながら、右刑訴法や規則の定めは、理由のない逮捕のくり返しを防ぐためのものであると解されるところ、既に検討したとおり、被告人に対する再度の逮捕が理由のない不当なものであったとは認められないのであるから、右手続の違法の点のみを理由として第二次逮捕を違法とし、その逮捕中に作成された供述調書の証拠能力を否定することはできない(最高裁判所昭和四二年一二月二〇日決定、刑事裁判集一六五号四八七頁参照)。

広島高等裁判所平成元年2月16日
 所論は,(1)憲法及び刑事訴訟法は再度の逮捕,勾留を許していないと考えられるし,(2)特別の事情があるときには,例外的にこれが許されると解し得るとしても,本件においてはそのような特別の事情はない旨主張するので,この点につき若干補足すると,憲法には再逮捕,再勾留を禁ずる規定はなく,令状主義の原則の範囲内でこれを法律に委ねているものと解すべきところ,刑事訴訟法199条3項,刑事訴訟規則142条1項8号は再逮捕が許されることを予想した規定と解され,したがって明文の規定はないけれどもこれに続く再勾留についても法は必ずしもこれを禁止するものではないと解すべきであるが,同一の被疑事実による再度の逮捕,勾留を何らの制約なしに認めることは,逮捕,勾留につき厳格な時間的制約を定めた法の趣旨を没却することになるから許されず,事案の軽重に応じて,先行する逮捕,勾留期間の長短,その間の捜査経過等に徴して,社会通念上捜査機関による捜査の続行がやむを得ず,これが身柄拘束の不当な蒸し返しとは認められない等特別の事情があるときに限り例外的に許されると解すべきである。そしてこれを本件について見るに,原判決がその補足説明として説示しているような事実経過=すなわち被告人が出頭した当時の異常な言動,その後の取調べにおける不自然な供述内容,勾留期間を延長しての精神衛生診断医による診断と県知事への通報,さらに精神衛生鑑定医による診察及び診断とそれに基づく措置入院,病状回復後の再逮捕とそれに続く3日間の再勾留による取調べ後の起訴=に加えて,その当時の被告人の不安定な身上関係,本件事案の罪質,態様等に徴すると,本件においては右のような特別の事情があったものということができ,そこに本件公訴提起を無効ならしめるような手続違背は認められず,所論は採用することができない。