裁判所の判断がないと動かないんでしょ。
行政が決めて、動いてくれるかどうか。
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200606300599.html
02年施行のプロバイダー責任制限法では正当な理由があればインターネット接続業者などに開示を請求できるとしているが、請求が受け入れられる例は少ない。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/01pol002.htm
しかし、児童ポルノや麻薬売買広告などの情報については、「違法かどうか自社で判断できない」と接続事業者側の迷いも多く、必ずしも削除に至らないケースもある。
報告書案では、事業者がこうした違法情報に的確に対処できるような支援態勢の構築を求めている。
具体的には、どのような情報が違法に当たるかの具体事例や判断基準を示すとともに、警察などから発信者情報の開示を求められた場合の対応手順などが分かる「違法情報への対応ガイドライン」を策定すべきだとしている。
ということは、
①民事の関係では、ガイドライン違反で放置すれば、プロバイダ責任制限法3条各号に該当する
②刑事の関係では、ガイドライン違反で放置すれば、各種流布犯の不真正不作為犯になる
という理解でいいでしょうか?
名古屋地裁とか高裁で考えてもらっている掲示板管理者の削除義務なんかはどうしますかね?
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO137.html
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
(平成十三年十一月三十日法律第百三十七号)
(趣旨)
第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利につき定めるものとする。
(損害賠償責任の制限)
第三条 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
追記
掲示板の管理者で逮捕され有罪判決を受けている人も続々いるというのに、いまさら「今後の裁判例等の動向を注視する必要がある。」といわれてもなあ。
しかも刑法総則の話を総務省のガイドラインで決められるのもなあ。
インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書案」に対する意見募集
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060630_11.html#bs1
(刑事上の責任)
裁判例によれば、電子掲示板の管理者等が違法な情報の流通を放置したことにより刑事責任を問われるには、単に違法性を認識しながら放置しただけでは足りず、情報の流通に積極的に関与していたことが求められていると解される。ただし、どの程度の関与があれば責任を問われるかについては明らかではなく、今後の裁判例等の動向を注視する必要がある。
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060630_11_1.pdfをみても、管理者責任については高裁の判例なんか2件しかなくて、東京高裁事件は上告中(名古屋高裁は差し戻し)という状況で、東京高裁の事案のように、被告人は違法画像を認識していないのに未必の故意で正犯にされてしまったのを「情報の流通に積極的に関与していた」と評価するような研究会では、なんでも「情報の流通に積極的に関与していた」とされてしまうような気もするが。
追記
この報告書に対する弁護士の反応としては、プロバイダに責任と手間が掛かる方向での改善には反対という方が多いみたいです。そっち向いてる。
刑事責任については、「そんなはずはない」って、まともに東京高裁の判決を読まれた人はいないようです。