児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ「販売罪」は立法ミス?

 「販売罪」改め「提供罪」というのは正解だったようです。

 やっぱり罪数判断にも保護法益が関係するようですよ。
 児童ポルノ罪の個人的法益を強調すればするほど、販売罪も併合罪ということになりますね。

山火正則「包括的一罪」(『判例刑法研究ー4.未遂・共犯・罪数』P279)
ところで,これは刑法175条における「販売」の意義が,その立法趣旨,保護法益の観点から,上記のように定義されたことによって、認められるものである。「販売」が,不特定または多数人に対する有償譲渡行為であるとすることにより,反覆して行なわれることを予想したからである。しかし,販売罪が一般的につねに職業犯であるというわけではない。販売概念じたいに,「業として行う」という基本的性格がそなわっているとはいえないからである(香川・包括的一罪56頁)。その法の立法趣旨などから、販売の意義について、単に有償譲渡行為だけをさすものであるとの解釈が成り立ちうる場合は,職業犯とすることはできない。しかし,刑法の基本法である刑法典上の「販売」(175条)の意義について,不特定または多数人に対する有償譲渡行為であるという解釈が確立している以上,立法にあたって、職業犯の性格をもたせない単なる有償譲渡行為については,販売という用語をさけることが望ましいと思われる。
なお,販売行為について、職業犯としての性格をもたないとする趣旨における判例として,輸出入品等臨時措置法にもとづく,綿糸配給統制規則4条に関する昭和14年4月14日大審院判決(刑集18・245),鉄鋼配給統制規則2条に関する昭和15年2月24日大審院判決(刑集19・44)がある。いずれも、数個の販売行為について,包括評価をせず,連続犯とした。