児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

東京地裁H17.3.25不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反被告事件

 判決書を入手しましたが、固有名詞が多いのと、手口が紹介されているので、公開に躊躇しています。
 ただ、東京や京都から数回アクセスしたのを包括一罪としていることは確かです。
 不正アクセス罪の保護法益からみれば正当なんですが、判例違反(発信元が違うと別罪)なんですわ。
 裁判所は罪数判断を避けられない点、保護法益の理解と法律が予定する行為態様はいかなるものかの理解が端的に現れる点で、まず、そこから着目します。

↓原田國男裁判長

東京高等裁判所平成15年6月25日
判例時報1846号155頁
第二 法令適用の誤りの論旨について
 所論は、原判決は、原判示第一の罪と同第二の罪を併合罪としているが、両者の行為は客観的に行為態様及び侵害した法益の点で共通性を有し、時間的にも接着し、主観的にみても「着ボイス」のソースコードフアイルを探すという共通した目的が継続した状態で行われており、侵害法益の個数は実質的に一個といえるから包括一罪と評価すべきであるという。
 しかしながら、原判示第一の行為は勤務先のコンピュータから不正アクセスをしたもので、同第二の行為は自宅のパソコンから同一サーバへのアクセスをしたもので、時間的接着性や犯思の継続性はあるとしても、犯行場所やアクセスの経路が異なり自宅での不正アクセスは、自宅のパソコンにファイルをダウンロードする目的で行われており、不正アクセスによる法益侵害の程度、態様が同一とはいえず、これを併合罪と評価した原判決の判断に誤りはない。
 法令適用の誤りをいう論旨も理由がない。