児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

[その他]刑事控訴事件のとっかかり

 年末の原判決に、年明けに控訴したんですが、判決書がまだできません。
 控訴というのは原判決に対する不服なんですが、控訴期限(2週間)内には判決書は届かない事が多い。

 一審から係属して受任していれば、原判決を詳細にメモしているから、控訴理由を検討したり、資料集めたりできないことはないが、控訴審から頼まれたときには、原判決を聞いていないから、控訴理由は判らない。

 なら、控訴すべきかどうかという相談をうけたらどうするかというと、

 迷っているのなら、控訴しておいて下さい。
 刑事事件は控訴期間内の時点では被告人の記憶に頼って、控訴するしないを決めることになって、控訴審の弁護士には事件の内容がわかりません。それでいて控訴しないと確定してしまいます。
 刑事事件の控訴審については判決書と記録は、控訴期間経過後になるので、あまり深刻に考えずとりあえず控訴して、1か月後くらいして判決書と記録が届いたところで本格的に検討して、それまでよく考えて頂いて、控訴審を続行するメリットデメリットを考えて頂いて、場合によっては控訴取下で確定させるという選択も可能です。

と説明します。

それでも迷っている人には、

 後から控訴すればよかったと悔やまれるのが辛い。 
 すくなくとも判決書と記録が届くまでの間は、弁護士に騙されたと思って控訴しておいてください。
 控訴したが、判決書と記録を検討して控訴のメリットがみつからなくて控訴取下した場合は、確定が遅れたことについては、弁護士を恨んでいいです。謝ります。

という折中案を示します。
 被告人のみ控訴の場合は、重くなることはないんだからそんなに迷うことはないと思います。
 実際、記録検討後に控訴取下という事件は多いです。

刑事訴訟法
第402条〔不利益変更の禁止〕
被告人が控訴をし、又は被告人のため控訴をした事件については、原判決の刑より重い刑を言い渡すことはできない。

 控訴については、御上に盾突く感じがするというので躊躇する被告人が多いですね。
 犯罪の責任というのは反規範的人格態度に対する制裁なので、すでに法規範に対して盾突いているのに、いまさら、躊躇するというのです。



 なお、刑事事件の控訴申立は紙一枚・無料です。

事件名・罪名:

                  平成  年  月  日
高等裁判所 御中

                 被告人         印

              控訴申立書

 上記の事件について、平成 年 月 日、  地方裁判所が言い渡した
              懲役 年
の有罪判決は、全部不服であるから控訴を申し立てる。