児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

webからのダウンロード販売を「児童ポルノ販売罪」とした事例(奈良地裁H14.11.26 大阪高裁H15.9.18で破棄自判)

http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/webview/27642C03FB01140B49256E6700180854/?OpenDocumentの原判決

 実体法の法令適用を誤っている裁判所に、「犯情悪質である」なんて言われても、説得力もないし、一般予防効果もない。

奈良地裁平成14年11月26日
主文
被告人を懲役2年に処する。
この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。

理由
(罪となるべき事実)
第1
 児童買春
第2 被告人は,
1同年11月21日ころ,買主MHに対して,自己のホームページアドレス及びパスワードをメールで送信して,同人をして、京都市所在の同人方に設置されたパーソナルコンピューター内のハードディスクにダウンロードさせる方法で,児童を相手方とする性交に係る児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ9画像,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ4画像及び衣服の全部又は一部を着けないで性器等を露出した児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ22画像を含む画像データ40画像を,代金5000円で販売し,
2 同月27日ころ,買主NMに対して,自己のホームページアドレス及びパスワードをメールで送信して,同人をして,名古屋市所在の同人方に設置されたパーソナルコンピューター内のハードディスクにダウンロードさせる方法で,児童を相手方とする性交に係る児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ9画像,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ4画像及び衣服の全部又は一部を着けないで性器等を露出した児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ21画像を含む画像データ39画像を、代金5000円で販売し,
3 同月27日ころから同月28日ころまでの間,買主NDに対して,自己のホームページアドレス及びパスワードをメールで送信して,同人をして,静岡県所在の同人方に設置されたパーソナルコンピューター内のフロッピーディスクにダウンロードさせる方法で,18歳未満の者である児童児童K(実名)を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ13画像及び衣服の全部又は一部をつけないで性器等を露出した児童である児童K(実名)の姿態を露骨に描写した児童ポルノである画像データ12画像を含む画像データ36画像並びに児童を相手方とする性交に係る児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ9画像,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ4画像及び衣服の全部又は一部を着けないで性器等を露出した児童の姿態を露骨に撮影した児童ポルノである画像データ22画像を含む画像データ40画像を,代金合計1万円で販売した。

(法令の適用)
罰条
第1 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律4条
第2 包括して同法律7条1項
刑種の選択 いずれも懲役刑
併合罪の処理
 刑法45前段、47条本文,10条(犯情の重い第2の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予 刑法25条1項
(量刑の理由)
 本件は,携帯電話機を対償として供与する約束で児童と性交を行うとともに,インターネットを利用して児童ポルノ画像を3名に販売したという児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反の事案である。
 児童ポルノ画像販売の事案についてみると,被告人が児童買春の際撮影した画像をインターネットを通じて販売したものであるが,その多くが被害児童の性器や被告人との性交場面を露骨に撮影したものであり,しかも,被害児童が所属する学校名等,同児童を特定できるような内容も含むなど,態様は誠に悪質であり,児童の心身に与えた有害な影響には深刻なものがあると思料される。被告人は,販売価格を当初3万円に設定したものの売れないため値段を下げるなど,積極的に犯行に及んでおり,本件により実際に利得している点に照らしても,犯情悪質である。
そこで,主文のとおり判決する。
(検察官伊藤浩之出席)
(求刑懲役2年)
平成14年11月26日
奈良地方裁判所
裁判官品川しのぶ