児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春国外犯千葉地裁H16.5.21売春宿(置屋)・被害児童1名

 端緒となった輸入罪については、先行して関税法違反で罰金50万円らしい。
 売春宿の被害児童1名で懲役2年執行猶予4年。
 (大阪の国外犯は被害児童2名で懲役2年でしたよね。)

 カンボジアの人の年令の立証には苦労しているようで、法人類学者が動員されています。

 国外犯が画像があるものだけになってしまって済みません。


 奥村弁護士児童ポルノ・児童買春事件において動機の正当性を主張したことがないのですが速度超過なら急病だとか危篤だったとか「動機に酌量の余地がある」ことも有り得るのでしょうが、殺人でも、被害者から喧嘩をしかけたとか酌量されうるのでしょうが、そもそも「動機に酌量の余地がある児童買春事件」なんてないですよね。とすると、「その動機は自己中心的であり酌量の余地などない。」などという動機の評価はそもそも失当なのではないかと思うのです。

千葉地裁平成16年5月21日
上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官,弁護人各出席の上審理し,次のとおり判決する。
(罪となるべき事実)
被告人は,平成15年8月15日ころ(現地時間),カンボジア王国プノンペン市ルセイケオ区スワイパー地区所在の置屋において,S(当時16歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対する性交等の周旋をした氏名不詳者に対し,現金の対償を供与する約束をして,同児童と性交し,もって児童買春をしたものである。
(証拠の標目)
大学法人類学研究室助教授H作成の鑑定書

(量刑の理由)
本件は,被告人が,カンボジア王国置屋において,当時16歳の被害児童と性交し,児童買春をした事案である。
被告人は,素朴な低年齢の女性と性行為をしたいなどという自己の性的欲求を満たすため児童買春をしたものであり,その動機は自己中心的であり酌量の余地などない。そして,カンボジア王国渡航した目的は,他国に比して情の通ったサービスをしてくれる少女を買春するためであり,スワイパー地区の置屋を選んだのは低年齢の少女がいるためであるというのであるから,その犯行は周到に準備された計画的なものであったといえる。また,児童買春は,その行為自体,被害児童の心身に有害な影響を与える卑劣な行為であるが,被告人は,その際に性行為の様子を少女に無断でビデオ撮影するなど,女性に対し羞恥心や屈辱感を抱かせる態様をとっており,女性の人格を無視した悪質な犯行である。さらに,被告人の供述によれば,平成11年ころから本件犯行に至るまで合計12回カンボジア王国渡航し、その殆どの機会に買春をしているというのであるから,被告人のこの種事犯に対する規範意識の鈍麻には著しいものがあるといわざるを得ない。

被告人に有利な事情

被告人が当初から事実を認めて反省の態度を示し,
二度と買春行為はしない旨誓約し,
更生の意欲が認められること,
被告人と以前同僚であった教員が出廷し被告人の更生に協力する旨述べていること,
約3か月間にわたり身柄拘束を受け,
勤務していた高校の職も懲戒免職となるなどある程度の社会的制裁も受けていること