児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

厚生労働通達「婦人相談所における人身取引被害者への対応について」

「婦人相談所を活用せよ」とのこと。
児童なら、児童相談所を活用するんでしょ。
それなら、児童買春被害児童も扱ってよ。
 児童買春なんて、被害者人身の全部又は一部売買。

http://www.pdc.npa.go.jp/pub_docs/notification/seian/seikan/seikan20040816.pdf

都道府県民生主管部(局)長殿
雇児福発第0816001号
平成16年8月16日
厚生労働省雇用均等・児童家庭局
家庭福祉課長
婦人相談所における人身取引被害者への対応について
近年、人身取引の仲介者等が関与して日本に入国した外国人女性等が、暴力団関係者等により監禁されたり、多額の債務を負わされたりした上、売春等を強要されるという人身取引の被害が大きな問題となっています。
人身取引は重大な人権侵害であり、その撲滅と被害者への適切な対応が喫緊の課題となっており、国においても内閣に人身取引対策に関する関係省庁連絡会議を設置し、関係省庁が一体となってこの課題に取り組んでいるところです。
また、今般、平成16年8月16日付で、警察庁生活安全局生活環境課長より各管区警察局広域調整部長、警視庁生活安全部長及び各道府県警察(方面)本部長あて、別紙のとおり通知が発出されており、警察署等から婦人相談所に対し人身取引の被害を受けた女性(以下「人身取引被害者」という。)の保護の依頼がなされる事案も出てまいります。
ついては、これまでも婦人相談所においては保護を要する外国人女性に対し必要な相談、一時保護等が行われてきたところですが、上記のような現状を御了知の上、人身取引被害者について、警察署等を含め関係機関と十分な連携を図るとともに、下記の点に留意いただき、適切に対応されるようお願いします。
なお、本通知については、貴職より、婦人相談所等、貴部(局)所管の関係機関に周知を図っていただき、運用に遺漏のないようお願いします。
この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言です。

第1人身取引被害者が婦人相談所に保護を求めてきた場合

1基本的な対応
人身取引被害者が婦人相談所に保護を求めてきた場合には、速やかに相談を実施して事情の把握に努め、必要に応じて、人身取引被害者出身国の大使(領事)館への連絡、帰国するための手続の説明、一時保護の実施等の支援を行うこと。
人身取引被害者に対し相談等を行うに際しては、これら被害者が不法滞在の状態にあることが多い反面、基本的な人権侵害の被害者として心身共に過酷な状況に置かれていたことにも十分配慮し、心理的なケアを含めきめ細かな対応を行うこと。
なお、婦人保護事業費負担金の中で外国人婦女子緊急一時保護経費として通訳確保のための経費等を計上しているので、必要に応じ通訳等の確保にも配意すること。
2人身取引被害者が不法滞在の状態にある場合の対応
人身取引被害者の中には、不法滞在の状態にある者も多いと考えられる。
そのような場合、最終的には入国管理当局に出頭し不法滞在の状態にあることについて相談する必要があろうが、人身取引被害者は重大な犯罪の被害者であり心身に深い傷を負っている場合も少なくないことから、その心身の状況によっては、即時に入国管理当局に出頭させるのではなく、ある程度の期間一時保護を行い、人身取引被害者の心身の安定を図ることも検討すること。この場合には、あらかじめ人身取引被害者に対し、一時保護はあくまでも一時的な保護であり原則として2週間程度の運用となっていることをよく説明しておくなどして、一時保護の終了が円滑になされるよう心掛けること。
なお、不法滞在の状態にある者については、出入国管理及び難民認定法第62条第2項により入国管理当局に通報することとされているが、この通報義務については、既に「出入国管理及び難民認定法第62条第2項に基づく通報義務の解釈に係る通知の送付について」(雇児福発第1209001号平成15年12月9日当職通知)により通知したとおり、法務省入国管理局から「通報義務を履行すると当該行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合には、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断することも可能である」との解釈が示されているところであるので、即時に通報することにより人身取引被害者の心身の安定を害するなど適切な保護を行うことが困難となる場合には、当分の間通報を差し控えることも可能であること。
3関係機関との連携
人身取引被害者は、組織的な犯罪の被害者であるため、関係する犯罪組織から危害を加えられる可能性も否定できないので、そのようなおそれがうかがわれる場合には、直ちに最寄りの警察署等に相談し、婦人相談所の警備や入国管理当局に出頭する際の警護等を要請すること。
また、人身取引被害者への支援を行うに当たっては、人身取引被害者出身国の大使(領事)館や関係民間団体との連携協力に努めること。
第2警察署等から人身取引被害者の保護を依頼された場合
1警察署等から人身取引被害者の保護を依頼された場合の対応
今般、警察署等における人身取引の被害者の取扱いについて、警察庁より各管区警察局広域調整部長等あてに別紙のとおり通知が発出され、交番、警察署等に保護を求めた外国人女性等が人身取引の被害者であり、他の犯罪の被疑者でもないと認められる場合には、婦人相談所や関係ボランティア団体等に対し保護を依頼すること等の指示がなされたところであり、警察署等から婦人相談所に対し人身取引被害者の保護の依頼がなされた場合には、依頼元の警察署等関係機関ともよく調整した上、できる限り当該人身取引被害者を受け入れるよう努めること。
2人身取引被害者を受け入れた場合の対応
警察署等からの依頼に基づき人身取引被害者を受け入れた場合においても、採るべき対応は、基本的には第1の1から3で述べた対応と同様であること。
ただし、警察署等において既に出入国管理及び難民認定法第62条第2項の通報がなされている場合には、重ねて通報する必要はないこと。
なお、警察署等が人身取引被害者の事情聴取を希望する場合には、被害者本人がこれに応ずる意向であることをよく確認した上で、事情聴取に適切な場所を提供するなど、事情聴取が速やかに行われるよう協力すること。