児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童の人身売買は児童福祉法か刑法か?

http://www.asahi.com/national/update/0817/003.html
刑法に「人身売買罪」創設、最高懲役10年を検討
とのこと。

ところで、
児童の人身売買については法案が審理中で、
提出回次:第159回
議案種類:閣法 34号
議案名:児童福祉法の一部を改正する法律案
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g15905034.htm
 児童福祉法改正案がどうして人身売買や臓器提供に適用されるかについて。こう説明したことがあります。
 法定刑は「三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金」(児童福祉法60条2項)。刑法の方が重いと出番ないかも

奥村回答
児童福祉法改正案と現行法の対照表を見ますと、こうなります

禁止行為として
第三十四条
九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
が加わる。

 受取る行為・買取る行為はこれで処罰できる。

さらに、
第三十四条
九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
と規定されているところ、
 臓器提供は、傷害罪(刑罰法令に触れる行為)とか、「児童の心身に有害な影響を与える行為」と考えれば、その目的の売買や支配は禁止できます


さらに、
第三十四条
九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
については、
国外犯を処罰する。


議定書のこの辺が網羅されているかというと・・・
第3条(立法上・行政上の措置)
1.
(a) 第2条(a) で定義された子どもの売買との関連では、次の行為および活動。
 (i) いかなる手段によるかは問わず、次の目的で子どもを提供し、引き渡しまたは受け取ること。
  −子どもの性的搾取
  −利得を目的とした子どもの臓器移植
  −強制労働に子どもを従事させること
 (ii)養子縁組に関する適用可能な国際法文書に違反し、仲介者として不適切な形で子どもの養子縁組への同意を引き出すこと。

 児童福祉法の改正で行おうとするから、よくわかりませんが、
「養子縁組への同意」は見送りですかね。引渡し時点で処罰するから十分だとか。強要罪とかかも。
「強制労働」もないが、労働基準法違反への引渡し行為でOKか。
「性的搾取」は児童ポルノ法違反でOKなんでしょう。