「風営法の下での勧告があったにもかかわらず何の措置もとらないプロバイダー」は有罪だそうです。
改正法では、プロバイダーは、「その自動公衆送信装置の記録媒体に映像送信型性風俗特殊営業を営む者がわいせつな映像を記録したことを知ったときは、当該映像の送信を防止するため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」(第三一条の八第五項) と規定している。そして、こうした努力義務が果たされない場合には、このプロバイダーの事務所所在地を管轄する公安委員会が、遵守の確保のため必要な措置をとるべきことを勧告できるものとしているが、この勧告に従わない場合について、罰則等の定めは設けられていない。
このような規制の仕組みは、規制の範囲において、かなりの絞りをかけたものとなっている。
第一に、規制対象となる表現内容は、「わいせつ」映像のみに限
定され、しかも、わいせつ映像すべてではなく映像送信型性風俗特殊営業を営む者が記録したわいせつ映像に限定されている。
第二に、プロバイダは、わいせつな映像の記録を「知ったとき」に必要な措置をとる義務を課せられているのであり、この種映像の存在を積座的に調査することを義務づけられているわけではない。
(中略)
たしかに、努力義務や勧告という規制手法では、確信犯的で悪質なプロバイダーへの対策としては不十分であり、規制の実効性を担保するには大きな限界があるといえる。ただ、会員がアップロードしたわいせつ画像をホストコンピュータのハードディスクに記録・蔵置させていたパソコンネットの開設運営者が、わいせつ物公然陳列罪の正犯に問われた事例も存在することからすれば、たとえば、わいせつ表現の存在を知りながら放置し、風営法の下での勧告があったにもかかわらず何の措置もとらないプロバイダーに対しては、同罪による刑事責任が追及される可能性がありうると考えられる。