児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

プロバイダーの刑事責任について〜川崎友己サイバーポルノの刑事規制 同志社法学52-1

 ボランティアに監視させて、見つけたら削除していく?
 大変だな。

川崎友己サイバーポルノの刑事規制 同志社法学52-1
有害ポルノ規制の課題 
ただし、現段階の技術水準では、ネットワーク上で相手方の年齢を確実に把握することは難しい。このため、今回の風適法の改正がどの程度の実効性を確保できるかは、今後の展開を見守らなければならない。また、ポルノ画像データを無料で提供している場合の規制は、風適法では不可能なことから、今後は、イギリスを始めとした国際的な動向などを参考にしながら、青少年の保護を目的として、刑法上サイバーポルノを包括的に規制する必要が本当にあるのか、包括的な規制が表現の自由の不合理な制限につながらないかといった点について議論していく必要があろう。
他方において、こうした法的規制と平行して、サービス・プロバイダーによる自主規制を求めることも検討に催しょぅ。前述したように、イギリスでは、インターネット・サービス・プロバイダー協会が、自らインターネット監視財団を設立し、有害ポルノの自主規制に乗り出している。わが国でも、警視庁からの依頼を受け、民間の防犯ボランティア組織であるガーディアン・エンジェルス束京支部が、市民モニターからの違法右苦情報に関する通報を集約し、有害情報を発信しているサービス・プロバイダーに勧告する「サイバーウォッチネット7ク」を発足させた。
イギリスとは発足の経緯が異なるため、今日までのところ「サイバーウォッチネットワーク」とサービス・プロバイダーとの関係は必ずしも緊密とは言い難い。しかし、表現の自由の法的制限をこれ以上招かないためにも、サービス・プロバイダーが、可能な限り有害ポルノの削除に取り組む姿勢を示すことが求められているのは間違いない。しかし、大規模なサービス・プロバイダーは、膨大なコンテンツを抱えており、その内容を一つ一つ厳格にチェックすることは物理的にも難しい。そうした中で、サービス・プロバイダーが実施可能な有害ポルノ対策として、「サイバーウォッチネットワーク」による勧告を活用することは有意義であると思われる。