児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

提供罪

 他の罰則の「提供」を借りてきますから、「利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為」ということになります。
 他の法令の場合は有体物の提供をいうわけですが、データとしての児童ポルノを利用可能にするというのは、リンク貼ったり、URLをメールで送ったりというのも入りますよね。
これまで陳列罪の幇助だと思っていたのが、提供罪の正犯か?
 サイバー犯罪条約9-1bに対応したと説明すれば、条約上はリンク集も含まれることになる。

http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/jfba030506syber.htm
b 「提供」("offering")は、EM95によれば、「他人に児童ポルノを取得するよう誘うこと("soliciting") をカバーする」とされていることから、勧誘行為を意味すると解される。
 「利用可能にする」("making available")は、EM95によれば児童ポルノサイトの設立やそのようなサイトへのリンクを設けることを意味する。

 条約は国会承認済みでしたね。

島戸P91
イ 「提供」の意義
第7条第1項、第2項、第4項及び第5項の「提供」とは、当該児童ポルノ又は電磁的記録その他の記録を相手方において利用し得べき状態に置く法律上・事実上の一切の行為をいい、有償・無償を問わない(刑法第163条の4、薬物四法による資金等提供、売春防止法第8条、第11条、第13条における「提供」の字義と同様である。)。必ずしも相手方が現に受領することまでは必要ではない。
具体的には、児童のポルノに係る電磁的記録の提供であれば、プロバイダーを経由する場合、児童ポルノを内容とする電磁的記録を電子メールで相手方に送信し、プロバイダ内で相手方の受信箱に入れる行為がこれに当たる。
り 旧法の「頒布」、「販売」、「業としての貸与」との関係
今回の改正において、児童ポルノを他人に取得させようとする行為については、相手方の特定・不特定や多寡、有償・無償、所有権の移転を伴うか否かにかかわらない「提供」行為を中心に構成しているところ、「頒布」、「販売」、「業としての貸与」は、いずれも「提供」に含まれることになるため、これらの文言を削ったものである。