児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

警察実務重要裁判例 児童ポルノのDL販売は販売罪ではない

 「送信行為に着目した処罰が可能になるものと思われる。」っていっても、改正法でも「電磁的記録」って言ってる以上、有体物ベースですけどね。
 判例は、こういうパターンを陳列罪だと判示しているのだから、これを「陳列罪ではなく、提供罪だ」とするには、判例変更が必要になります。
 もう、陳列罪でいいじゃん。

警察実務重要裁判例H16 立花書房
http://tachibanashobo.co.jp/koron/#saishin

コンピュータの記憶装置内に記憶,蔵置された児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態等を撮影した画像データは,それ自体「児童ポルノ」に該当するか。
阪高判平15・9・18(被告人上告後,棄却) 高刑集56巻3号1頁
被告人は,インターネットを利用して児童を相手方とする性交に係る姿態を露骨に撮影するなどした画像データを被告人が契約した会社のサーバーコンピュータのディスクアレイに記憶,蔵置させて児童ポルノを陳列するとともに,購入を希望する者に対しては,自己がサーバーコンピュータ上に開設したホームページのアドレス及びパスワードをメールで送信し,購入者に対してはそれぞれの自宅に設置されたパーソナルコンピュータ内のハードディスク等にダウンロードさせる方法で.児童ポルノである画像データを販売していた。原判決(奈良地判平14.11.26 公刊物未登載)は,児童買春児童ポルノ禁止法7条1項の児童ポルノの販売を認定した。
本判決は,次のように述べて,児童ポルノ販売罪の成立を認めた原判決には誤りがあるとしてこれを破棄した。

中略

3 なお,児童買春児童ポルノ禁止法については,本年6月11日成立,18日公布の改正法案により,電気通信回線を通じて上記2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供する行為を処罰することとされており,本件のような「送信」行為に着目した処罰が可能になるものと思われる。