児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ図画罪の罪数=数回まとめて包括一罪・単純一罪

東京高等裁判所判決/昭和41年(ラ)第1702号
昭和41年11月29日
高等裁判所刑事裁判速報集1554号
東京高等裁判所判決時報刑事17巻11号245頁
      判例タイムズ207号158頁
       判 決 理 由
 被告人に対する原判決を閲するに、原判決は、判示第一において同被告人が昭和四十年九月二十四日頃石川泰弘に対し男女性交等の場面を露骨に撮影した八ミリ映画フイルム二巻を販売した事実を、同第二において同被告人が昭和四十一年二月十二日頃販売の目的をもつて前同様の八ミリ映画フイルム十巻を所持した事実を、更に右二個の行為の中間において昭和四十年十月四日東東地方裁判所の言い渡した薬事法違反罪による懲役六月、四年間執行猶予の判決が同年十月十九日確定したことを夫々認定した上、判示第一及び第二の各所為は包括して刑法第百七十五条に該当する一罪であるが、包括一罪の場合であつても本件の如くその中間に確定判決の存する場合には、右確定裁判のあつた時を境としてその前の罪と右確定裁判を経た罪とは刑法第四十五条後段の併合罪の関係にあるとして、判示第一の罪と同第二の罪とを各別に処断し、主文において二個の刑を言い渡していることは、所論のとおりである。よつて先ず、原判決が同被告人の原判示各所為を包括一罪と判断したことの当否について案ずるに、刑法第百七十五条にいう猥襲文書図画等の販売とは、これらの物の不特定又は多数に対する有償譲渡を指称するのであるから、同条前段特定の販売罪は、右有償譲渡行為が多数回反覆されることを当然予定しているものと解すべく、亦同条後段所定の販売目的所持罪は、販売の準備行為を処罰の対象とするものであつて、同条の叙上法意にかんがみるときは、販売の目的をもつて猥褒文書図画等の所持を開始した者が、その一部を他に販売し、残部をなお手許に所持している場合には、既に販売した分について既往の販売目的所持の点が右販売行為に吸収されることは勿論、残部の販売目的所持の点も右販売行為と包括して同条前段及び後段に該当する包括一罪を構成するものと解するのが相当である。

東京高等裁判所判決/昭和44年(う)第2734号
昭和45年4月1日
刑法一七五条後段の販売目的をもつてする所持とその罪数
高等裁判所刑事判例集23巻2号287頁
東京高等裁判所判決時報刑事21巻4号151頁
      判例タイムズ252号230頁
       理   由
まず職権により調査すると、原判決は被告人の判示第二及び第三の各わいせつ図画販売目的所持の所為を併合罪として処断しているが、記録によると、被告人の所持した本件わいせつ写真は、被告人が原審相被告人玉木志和から、販売の目的をもつて一括して買い受けた約九四〇枚の一部であつて、そのうち約四〇〇枚を原判示の日に販売の目的をもつて高林明男ほか二名とともに、東名高速道路浜名湖サービスエリア構内において携帯(原判示第三の事実)する一方残余の三九九枚を同様の目的をもつて同日原判示被告人の自宅に蔵置(原判示第二の事実)していたものであることが認められる。ところで刑法第一七五条前段にいわゆる「販売」とは不特定又は多数の者に対して反復の意思をもつて有償譲渡することをいい、その日時、場所、相手方売却の態様を異にする場合も、これが単一の意思に出でその日時において近接するときはこれを包括的に観察して一罪を構成するものと解するのが相当であることにかんがみ、同条後段にいわゆる、販売の目的をもつてする「所持」についても、これと同趣旨に解すべく、すなわち右所持とは、販売の目的をもつてこれを事実上の支配下におくことをいい、事実上の支配関係が、その日時、場所、態様を異にするときも単一の意思に出でその日持において近接する限りこれを包括一罪をなすものと解するのが相当であるから、前示事実関係の下における被告人の本件わいせつ写真所持の所為は、単一の意思に出で包括一罪をなすものと解すべきである。されば原判決がこれを併合罪として処断したのは法令の適用を誤つた違法があり、この誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、原判決中被告人に関する部分は、破棄を免れない