児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ公然陳列罪は継続犯か状態犯か?


掲示板管理者の刑事責任なんですが、
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/020924chiba.htm
UL者は陳列罪の正犯として処罰されていること
児童ポルノの陳列が児童虐待であるとすれば、陳列の継続=虐待の継続だから、継続犯と理解されること
から、管理人の責任は、せいぜい幇助じゃないかと思うのですよ。 どうなんでしょう? 判決は6/23。

控訴趣意書から。
3 陳列罪継続犯説
 公然陳列罪は継続犯だとする裁判例がある。着手時期についても判示がある。
大阪地方裁判所第二刑事部、平成10年(わ)第6382号 わいせつ図画公然陳列被告事件、平成11年2月23日判決(確定)
「わいせつ図画の陳列行為は閲覧可能状態になった時点で既遂に達しうるものの、閲覧可能状態になった後も犯罪は継続している」
「わいせつな画像のデータのアップロード行為、すなわち、わいせつ図画の設置行為について実行の着手があり」、
 これもやはり、画像が無い状態から有る状態にすることを陳列罪の実行行為とするものである。
 弁護人の見解(状態犯)とは異なるのだが、継続犯であれば、被告人の行為は幇助である。
 さらに同判決は、陳列罪の重要部分はアップロード行為にあると判示している。
4 弁護人の主張(3)について、刑法1条1項にいう「日本国内において罪を犯した」場合とは、犯罪構成事実の全部が日本国内で実現した場合に限られず、その一部が日本国内で実現した場合も含むと解される。
 本件においては、日本国内において、わいせつな画像のデータのアップロード行為、すなわち、わいせつ図画の設置行為について実行の着手があり、また、右画像を不特定多数人に閲覧させるための会員制度の設営行為も日本国内からなされ、現実に日本国内において不特定多数人が右データを再生閲覧しているのであるから、犯罪構成事実の重要部分が日本国内で実現しており、刑法1条1項に規定する国内犯に該当するということができる。

 被告人の行為に正犯性は認められない。
 この点については園田教授も同旨である。
園田 わいせつの電子的存在について 
関大法学論集47巻4号1997年


4 まとめ
 被告人の行為を陳列罪の正犯であるとした原判決には法令適用の誤りがあるから、原判決は破棄を免れない。