児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

2015年01月26日のツイート

SEXTINGの強要罪と製造罪は併合罪(某地裁H27.1.8)

 田中検事の御著書で「児童ポルノ撮影の際,行為者が遠隔地から電話で被害者を脅してポーズ等を指示し,被害者自身に写真撮影させて自己に送信させるなど,強制わいせつに当たらないものの,「姿態をとらせ」たことが強要に当たる場合は,強要罪と牽連犯になる。(性犯罪・児童虐待捜査ハンドブック』訂正及び説明追加)」と書いてあったのでそのまま引用したら、間違ってると言われました。

某地裁H27.1.8
判示第2の1の強要罪と判示第2の2の児童ポルメ製造罪の罪数関係、刑法223条1項の強要罪に該当する行為と上記改正前の児童ポルノ法7条3項の児童ポルノ製造罪に該当する行為とは,一部重なる点があるものの,同製造罪において児童に同法2条3項3号に掲げる姿態をとらせる際,脅迫又は暴行によることは要件ではなく,また,それぞれ片方のみを犯すことが当然にできるのであって,上記両行為が通常伴う関係にあるとはいえない。
また,上記両行為の目的は前者が人に義務のないことを行わせること等,後者が児童ポルノの製造(なお,「姿態をとらせ」る行為は手段としての位置付けはできるものの,単なる製造行為と可罰的製造行為とを分ける要素であって,同製造罪の主要な部分とはいえなし、)という異なったものであり,両行為の性質にも相違があるといえる。
さらに,同製造罪については,複製行為も犯罪を構成し得ると解されるため,かかる場合には,強要罪に該当する行為と同製造罪に該当する行為の同時性が欠けることが甚だしいといえる。
そうすると,同製造罪については,事案によ,つては相当広範囲にわたる行為に(包括)ー罪性を認めざるを得ないことになると考えられるところこれと強要罪との観念的競合の関係を肯定するとすれば,いわゆるかすがい作用により,科刑上一罪とされる範囲が不当に広がるおそれも否定できない。
以上によれば,上記両行為は,自然的観察のもとで社会的見解上別個のものと評価すべきであって,これを1個の行為とみることはできなし、から,上記両罪は,刑法54条1項前段の観念的競合の関係にはなく,刑法45条前段の併合罪の関係にあるというべきである。

脅迫容疑で略式起訴され、昨年10月中旬に長野地裁松本支部で有罪判決が下された事例

 地裁で略式命令は出ません。松本まで行くと、日本の刑事訴訟法まで曲がるんでしょうか。
 児童淫行罪の影響関係が無かったとして、対償が立証できないかったので児童買春罪は立たず、青少年条例がないのて、罰条がないですね。大阪府でも同じです。
 性的関係を続けるための脅迫を強調すると、児童淫行罪とか強姦罪も視野に入りますが、地検はそこまでやる気無し。
 被害児童が救済されない点は、児童買春罪でも、青少年条例違反でも児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)でも同じですから、青少年条例の必要性にはつながりません。

【衝撃事件の核心】「関係続けないと、ばらすよ」中3男子を“買春”した容疑で逮捕された35歳主婦 「淫行条例」ないゆえの“顛末”
2015.1.24 11:00
http://www.sankei.com/smp/premium/news/150124/prm1501240012-s.html
A子を男子中学生を買春した容疑で摘発した長野県警安曇野署=同県安曇野市 長野県内で昨年9月、耳を疑うような事件が起こった。無職女性のA子(35)が男子中学生と性的行為に及んだとして、児童買春・ポルノ禁止法違反(児童買春)と脅迫容疑で、同県警安曇野署に逮捕されたのだ。大人の男が未成年の女子に「みだらな行為」など淫行をはたらく例は後を絶たないが、女が未成年の男子に手を出す例は珍しい。そこで、世間の注目を集めたのだが、女性はその後、児童買春の容疑については証拠不十分として不起訴となり、脅迫容疑で略式起訴され、昨年10月中旬に長野地裁松本支部で有罪判決が下されたが、罪は罰金10万円のみだった。

 全国の都道府県で唯一、未成年に対する淫行の禁止などを定めた「青少年健全育成条例」を持たない長野県。ある捜査関係者は「もし条例があれば、買春の証拠が不十分でも淫行容疑で起訴できたはずだ」と話す。長野県に同条例がないことによる弊害を象徴する事件となった。

 逮捕容疑は昨年7月、A子が当時15歳の男子中学生B君に、現金数千円を渡す約束をして自宅に連れ込み、みだらな行為に及んだというもの。その後、「縁を切りたい」と言ったB君に、A子は無料通信アプリ・LINEを通して「私との関係を続けないと、今までのことを知り合いにばらす」などとメッセージを送って脅した。A子に脅されて不安になったB君が家族に話し、家族から県警に相談があり事件が発覚した。

 県警によると、同県内で女性による児童買春行為を立件したのは、平成11年の児童買春・ポルノ禁止法施行以来、初めてのことだという。

 A子は約4年前から、中学生の長女と小学校低学年の長男と3人で、安曇野市内のアパートに暮らしていた。被害にあったB君は長女の同級生。以前から、現場となった築28年で間取りが2DK、家賃4万5千円のアパートに、B君が頻繁に出入りする姿が近隣住民らに目撃されていた。

 B君がA子の家に繰り返し出入りするうち、2人の関係は、性行為に及ぶ関係になった。A子の親族がA子から聞いたところによると、「A子はB君から『セックスを教えて』『やりたい』などと頼まれて行為に及んだ」という。

 また、A子が当時、B君に現金を渡したのは「地元の祭りで使うための小遣いとしてほしいと言ったから」で、「性行為をするための対価として金を渡したのではないと話していた」と明かす。

 A子とB君の関係について、近所に住む男性(73)は「姉弟2人と中学生ぐらいの男の子が、家の前でボールを蹴ったりして楽しそうに遊んでいる姿を見かけることがあった。子供たちは仲よさそうでしたよ」。

 また、近所の女性(62)は「去年の冬の大雪の時も、若い男の子が一緒に雪かきをしていた。家に出入りしているのは知っていたが、まさか中学生の男の子とそんなことをしているとは」と驚きを隠せない様子。別の40代主婦は「A子さんは髪は茶髪で服装も少し派手な印象があったが、すれ違えばあいさつもするし、普通の主婦という感じだった」と話す。

 A子の親族によると、A子は長野県松本市で生まれ、高校を退学後、同市内のレストランにアルバイトとして勤務。その後、同じく同市内で約2年間、水商売の仕事に就き、20代前半で結婚して長男が生まれたが、夫婦関係の悪化から20代後半で離婚。その後は別の男性と同棲していたこともあったという。

 一方、A子の事件が注目を集めたのは、A子が当時、生活保護を受けており、買春の費用に生活保護費を充てたのではないかという見方からだった。この点について、A子の親族は「A子は生活保護を受けていたのは約7年前の半年間ほどのことで、事件当時は受給していないと話していた」として、生活保護費の流用を否定する。

 しかし、ある捜査関係者は「A子が当時、生活保護を受けていたことは確認している」と証言。安曇野市福祉課に取材してみたが、回答は「個人情報なので答えられない」というもので、真相は定かではない。

 現在のA子の様子について、近所の40代女性は「たまに親子3人で仲よさそうに歩いているのを見かける。平穏に暮らしているみたいですよ」と話す。

 普通の生活に戻ったA子だが、B君が受けた心の傷は癒えたのか。淫行を処罰するための条例がない長野県では、性的被害を受けても行為者が処罰されず、悩み続ける子供がいる。B君は今、どうしているのか。気がかりでならない。(長野支局 三宅真太郎)

Amazonマーケットプレイスで児童ポルノが売買された場合、アマゾンは注文の取次・代金回収だけを担当しているので、児童ポルノ提供の実行行為はなく、幇助の問題だけになるんだが、中立的幇助の論点なので、よくわかんないんだけど、アマゾンが具体的な商品について児童ポルノだという認識がなければ、幇助には問えないと思います。

 全品チェック義務があるとも思えませんが、残るとすれば、不注意で見逃したという道義的責任の問題だけですよね。

https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201451370
出品者の配送料と配送条件
Amazon.co.jp で販売している商品とは異なり、Amazonマーケットプレイスで取り扱う出品商品の発送や返品作業は、出品者が直接行います。Amazonマーケットプレイスの商品の配送料には梱包材、梱包や発送の手数料が含まれています。

永井善之「「中立的行為による幇助」について −Winny事件最高裁決定を中心に―」
(1)客観的帰属論に基づく見解
松生光正教授は、中立的行為による不可罰な常助の範囲を画するには行為の表現的意味に着目せざるをえず、正犯行為を促進するとの社会的意味をもつ関与行為のみが幇助犯として処罰されるべきであるとされ、そのような意味に係る具体的基準として、業務的行為のような社会的に通常的で行為予期の存在する行為については、行為がなされた具体的状況下でそのような通常的業務行為を逸脱しているとみられるか否か、を挙げられる
山中敬一教授は、この問題の本質は関与者と正犯者の各行為聞の客観的帰属関係にあるとの観点から、どのような事実的要素にどのような意味づけが与えられるかの検討が重要であるとされ、本論点に係る場合の具体的類型化、即ち、正犯が実行に至る以前の、原則として意思の連絡のない、正犯者が関与者の幇助の故意を知らない場合であることを前提とした、関与者が偶然に正犯の犯意を知った場合と単にそれを予測したのみの場合との区別をされ、後者の場合でも正犯の実行が切迫し明白であれば関与は可罰的であり、明白でなければ関与者の提供する物や役務による類型化が必要である、とされる
松宮孝明教授は、例えば恐喝のための脅迫状の内容を偶然に認識したがこれを配達した郵便係員が恐喝罪の共犯に問われないのは郵便配達が社会における当然の出来事だからであるとされ、このような日常取引は因果関係を超える帰属基準のーつたる許されない危険の創出を欠くとされる。よって、日常的な取引行為は外見上平穏である限り、犯罪に利用される未必的な認識が取引行為者にある場合でも幇助にならない、あるいはこのような取引行為は所与の前提として、その犯罪惹起力は無視されるという帰属ルールがあると解すべきこととなる、とされる
豊田兼彦教授は、許きれない危険の創出を共犯の一般的成立要件とされたうえで、正犯の犯罪計画ないし犯罪行為に適合すべ〈関与者が自己の行為を形成すること、即ち「正犯行為との特別な適合」が肯定される場合に可罰的幇助を基礎付ける許きれない危険の創出が認められる、とされる
上野幸彦講師は、職業的な交換取引の円滑性のためには提供者は容による適法行為への信頼を法的に保証されるべきであるとされ、提供者にはこの意味で、の行為予知の保護、即ち信頼の原則の適用があるべきとされる。また、提供者が正犯の犯行決意を知っている場合や認識可能な犯罪傾向が客観的に存在する場合には本原則は適用されず、この場合には犯罪意味連関、即ち正犯の犯罪目的への促進的寄与があれば可罰的制助となるとされる
・・・・

西貝吉晃 中立的行為による幇助における現代的課題
認識の具体性をどこから獲得するか,という問題もある。例えば,運送配達人が配達物の内容について,具体的に認識していることは稀であろう。一般的には,運送配達人には,運送品として記載されている物が入っていることの具体的認識ができるとしてよい場合もあろうが,それ以外の場合には,認識の具体性を肯定することは困難である。
中身を見てもいないのに,送り主から「この宅配物の中身は実は拳銃なのです。」といわれたからといって,直ちに運送人に運送品が銃であることの具体的な認識を肯定することは困難だろう。冗談かもしれないし,運送人にわざわざ言うべきことでもないからである。しかし,運送人が,「銃を今来た宅配便で送った」という電話を偶然聞くなどしたときには,実際に当該銃を見なかったとしても,発言の真摯性から,事実認識の具体性を認められる場合もある。このような場合には,現実の占有の移転(譲渡)を処罰する類型の犯罪の故意が認められることになる169)。
ただし,拳銃の存在についての具体的認識が肯定された場合において,その拳銃が強盗に使われる予定であることを聞いたとしても,運送自体が強盗罪の幇助になるか否かについては,別問題である。自力で拳銃の譲渡は可能であるとすれば,拳銃の到達時点の問
題に帰着されるため,原則的にはいつ拳銃が届くかという問題と,強盗罪の容易性とは関係がないことであるから,物理的促進を肯定
するためには,機会の提供として機会を基礎づける事実の認識も要求されるというべきであるため,強盗罪の幇助の故意を肯定しづら
いと思われる。

 利用者からのクレームを以て、児童ポルノ性の認識があるというわけにはなりませんからね。
 不注意があっても過失の幇助は処罰されません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150125-00000009-mai-soci
<アマゾン>児童ポルノ出品、09年に指摘 東京のNPO
毎日新聞 1月25日(日)7時26分配信
 自社の商品サイトへの児童ポルノ写真集出品を放置し、販売を手助けした疑いがあるとして、愛知県警がネット通販大手「アマゾンジャパン」(東京都目黒区)を児童ポルノ禁止法違反(提供)のほう助容疑で家宅捜索した事件で、同社が2009年、性的被害の救済活動をするNPOから児童ポルノの可能性がある商品の販売取りやめを要請されていたことが24日、分かった。県警は昨夏以降、アマゾンに出品された児童ポルノ写真集を発見しており、NPOは同社の対応が不十分だと指摘している。

 NPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」(東京都)は09年、アマゾンの出品状況を調べ、水着姿の女児や半裸の男児の写真集、DVDなど136点を見つけ、アマゾンジャパンに対し、児童ポルノに該当する疑いがあると指摘した。同社から正式な回答はなかったが、後日、商品の約6割がサイトから削除されたのを確認した。

 アマゾンは個人や商店が出品した商品を販売し、出品規約で「商品は児童買春・児童ポルノ禁止法等、日本の法令を順守しているものでなければならない」と定めている。

 しかし、県警は、アマゾンのサイトに複数の児童ポルノ写真集の出品を発見し、昨年9月に出品していた古書店の経営者の男ら2人を児童ポルノ禁止法違反容疑で現行犯逮捕するなど全国約10業者を摘発した。捜査関係者は「児童ポルノに該当すると認識しながら出品を放置していれば、ほう助容疑にあたる可能性が高い」としている。

 NPOの藤原志帆子代表は「09年に要請したにもかかわらず、状況は変わっていない。違法かどうかの線引きは難しいが、子どもが性的商品にされ、大人が利益を得ている状況だ。出品への規制をもっと厳しくすべきだ」と話した

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150125-00000040-mai-soci
販売を手助けした疑いがあるとして、愛知県警がネット通販大手「アマゾンジャパン」(東京都目黒区)を児童ポルノ禁止法違反(提供)のほう助容疑で家宅捜索した事件で、摘発された業者が「他の通販サイトでは出品できなかったのでアマゾンに出した」と供述していたことが捜査関係者への取材で分かった。

 県警は昨年夏、アマゾンのサイトに児童ポルノ写真集があるのを発見。9月以降、出品した古書店など約10業者を同法違反容疑で摘発した。捜査関係者によると、「アマゾンのチェックが甘い」との趣旨の供述をする業者がいたという。

 アマゾンは「商品は日本の法令を順守しているものでなければならない」と規約で定めている。同社は毎日新聞の取材に「独自のシステム・プロセスを通じて当サイトにおける規約に違反する商品の販売を禁止し、該当商品を排除している」と説明したが、家宅捜索について「捜査中につき、コメントは控える」としている。

 県警は押収した資料などから、出品商品のチェック体制や児童ポルノの出品が放置された背景を調べている。