児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

学校のトイレの看守者は通常は校長である〜看守者である校長を校内トイレへの建造物侵入で逮捕したのは群馬県警の勇み足

 報道の小学校のことは知りませんが、普通は学校のトイレの看守者は校長です。
 学校の女子トイレは刑法130条の関係では「人の看守する建造物」などうかの問題なんですが、「他人が看取する建造物」で要件あって、「自分が看取する建造物」であれば建造物侵入にはなりません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140608-00000004-mai-soci
勤務先の小学校のトイレで女性教諭を盗撮したとして、小学校校長を県迷惑防止条例違反と建造物侵入の疑いで逮捕した。容疑を認めているという

判例コンメンタールP141
(イ) 邸宅・建造物等の場合
a 承諾権者たり得る「看守者」 とは、当該建造物等の管理権者である。
判例は、?町役場の建物は町長(大判昭5 . 12 ・13 刑集9 ・89) 、?警察署庁舎は警察署長(東京高判昭27 ・4 . 24 高刑集5 ・5 ・6) 、?大学の建物は学長(前掲最判昭51 ・3 ・4 [東大地震研事件) 、?郵便局は郵便局長(前掲最判昭58 ・1・8 [大槌郵便局事件]) 、?駅舎は訳長(前掲最判昭59・12 ・18) がそれぞれ管理権者であるとしている。

第130条(住居侵入等) 
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

金沢地方裁判所平成25年4月23日
(罪となるべき事実)
 被告人は,いずれもA(第1及び第2の当時28歳,第3の当時29歳)の姿態等を撮影してのぞき見る目的で,正当な理由がないのに,
第1 平成24年7月20日午前10時26分ごろ,金沢市(以下略)金沢市立◇◇小学校2階印刷室において,同校長Bが看守する同室内に無施錠の引き戸から侵入した上,女子更衣室で水着を着替え中のAの姿態を隣接する男子更衣室の間仕切りの上方からデジタルカメラで隠し撮りをして録画し,
第2 同年8月23日午前10時50分ころ,同所において,同様に侵入した上,同様に隠し撮りをして録画し,
第3 同年9月5日午前9時31分ころ,同所において,同様に侵入した上,同様に隠し撮りをして録画し,
もって,いずれも更衣場を密かにのぞき見したものである。


追記
 上記の理由でやっぱり建造物侵入は起訴されませんでした。
 建造物の看守者を建造物侵入で逮捕してしまったというのは一種の誤認逮捕なんだけど、マスコミは指摘できていません。

トイレ盗撮の校長 懲戒免 罰金50万円の略式命令=群馬
2014.06.19 読売新聞
 県教委は18日、県迷惑防止条例違反(盗撮)などの疑いで逮捕された小学校の校長(56)を懲戒免職処分にした。高崎区検は同日、校長を同条例違反で高崎簡裁に略式起訴し、同簡裁は即日、罰金50万円の略式命令を出した。
 県教委などの発表によると、校長は5日、同小の1階女子トイレの個室にいた20歳代の女性教諭を隣の個室の上からスマートフォンで撮影した。県教委に対して「出来心だった。全ての方々に迷惑をかけて申し訳ない」と話している。

 ◆条例改正 校内盗撮 罰則対象に
 高崎市立大類小学校長が県迷惑防止条例違反(盗撮)で逮捕され、罰金50万円の略式命令を受けたのは、同条例が昨年10月に改正され、学校のトイレでの盗撮行為の罰則が設けられたためだ。
 県警によると、改正前は、利用者が限られている学校のトイレなどでの盗撮は罰則の対象外。盗撮しても、建造物侵入などが適用されていた。ある捜査関係者は、「条例改正がなければ、学校の最高責任者である校長の盗撮行為そのものを罰することができなかった」と明かす。現在は同条例の改正によって、一般住宅や学校の部活動で使う更衣室、病院の診察室など衣服を脱いだ状態で過ごす場所まで適用範囲が広がっている。

群馬県 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
http://www3.e-reikinet.jp/cgi-bin/gunma-pref/D1W_resdata.exe?PROCID=976352344&CALLTYPE=1&RESNO=85&UKEY=1403230664858
(卑わいな行為の禁止)
第二条の三 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、人に対し、みだりに、著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせるような次に掲げる行為をしてはならない。
一 人の身体に、衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接、触れること。
二 衣服等で覆われている人の下着若しくは身体をのぞき見し、若しくは撮影し、又はこれらの行為をしようとして、鏡、写真機等を衣服等の下に差し出し、置くなどすること。
三 写真機等を使用して透視する方法により、衣服等で覆われている人の下着又は身体の映像を見、又は撮影すること。
四 前各号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣場、便所その他通常人が衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所において当該状態でいる人の姿態を、のぞき見し、又は撮影してはならない。
(罰則)
第十条 第二条の三又は第九条の三の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 常習として第二条の三又は第九条の三の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
全部改正〔平成一六年条例三七号〕、一部改正〔平成二五年条例五二号〕