児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

一万円札偽造に執行猶予判決 さいたま地裁の裁判員裁判(さいたま地裁H21.10.22)

 こんなものでしょう。
 情状立証は実害填補。
 とはいうものの、真正な紙幣だと固く信じてわいせつ行為に応じたのに、「騙された。タダでやられた!」という準強姦・準強制わいせつ的な側面はたぶん考慮してない。

http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102201000276.html
起訴内容に争いはなく、検察側は懲役3年を求刑した上で「執行猶予も十分考慮に値する」と指摘。弁護側も執行猶予付きの判決を求めていた。
 裁判員は男性4人と女性2人。補充裁判員は男女各1人。
 論告によると、被告は4月、家庭用プリンターで一万円札4枚を偽造。群馬県伊勢崎市のホテルで5月18日、わいせつな行為の対価として女性に2枚を手渡した。

【裁判員 東京地裁】強制わいせつ致傷の被告に執行猶予判決

 性犯罪は、被害者が許すと言えば軽くなります。
 従前通りの量刑ですが、強制わいせつ致傷罪って、なんで裁判員事件なんでしょ?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091022-00000577-san-soci
 後藤裁判長は「自らの性欲を満たそうという被害者を省みない身勝手なもの。動機に汲むべき事情はない」と指弾。一方で、「260万円を払って示談を成立させている」などと執行猶予の理由を述べた。
 判決によると、被告は5月30日早朝、港区六本木の路上を歩いていた女性を近くの駐車場に無理やり連れ込み、下半身を触るなどわいせつな行為をし、首に全治4週間のけがを負わせた。

万引き被害すべて届けて!=書類簡素化で負担軽減−時間、4分の1に・警視庁

 端で見ているだけですが、身分証明書の写しを取るのに、いちいち、任意提出書と還付書を書かせますよね。
 訴訟用の書類って、時間かかりますよね。「要領悪い」って言ってる被疑者も居ます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091021-00000109-jij-soci
同庁によると、昨年の万引き認知件数は1万7816件。ここ数年は年間1万8000件前後で推移しているが、被害を届ける書類作成に3〜4時間かかる場合もある煩雑さを嫌い、警察に届けないケースはさらに多いとみられる。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091021-00000089-mai-soci
警視庁によると、これまでは被害品を証拠として押収する手続きや、店舗責任者から聞き取った被害時の状況などを供述調書にまとめる作業に3〜4時間かかっていた。11月以降は、店に出向いた警察官が被害品を写真撮影して証拠にするほか、被害届をA4サイズ1枚に収めるなど簡易な様式に変更。手続きは1時間以内で済むようになるという。
 警視庁の佐久間正法・刑事部参事官は「積極的に刑事手続きに乗せることで、万引きは犯罪という規範意識を高めたい」と話している。

被害児童側からの相談

   娘が先生と・・・。
   警察でしょうか?弁護士(法テラス)でしょうか?
という相談は、頻繁にあるんですが、犯罪被害ですし、身近で無料だという点では、警察になりますね。
 駅前の交番もあるので、弁護士(法テラス)よりも躊躇しないようです。それでいいと思います。

http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/091022/stm0910221532010-n1.htm
蕨署によると、容疑者は4月に臨時採用され、この高校で教師をしていた。女子生徒の母親から同署に相談があり発覚した。

一審の弁護人が判決書謄本取らないと、法令適用の誤りとか気付かないで控訴せず、間違った法令適用で確定していることがある。

 被告人も弁護人も、量刑しか気にしてないんだ。
 こっちは、どういう法令適用を前提にしてその量刑になっているかを知りたいんだ。

全国の人から頼まれて撮影して売ってた人の捜査は継続中なんだって。

 製造犯は公判始まってますが、捜査は終わらないようです。
 現行法上、既成の児童ポルノの購入行為は不可罰なんですが、「既成品の購入」のつもりが、売り主が撮って送っていれば、2項製造罪と1項提供罪の教唆で捕まる危険があります。気をつけましょう。
 教唆で捕まって罰金払ったんだが、証拠を見ると、既成品の購入だった(よくあるポーズなので、頼む前に撮影されていた)というえん罪もあるようなので、弁護人も注意してください。
 取得行為の摘発って、そういう趣味であることが明らかにされるわけで、思いっきり恥ずかしいですね。売ってる方は営利目的であって、必ずしもそういう趣味じゃないこともあるので。

短期海外滞在でも時効停止 最高裁が初判断

 立法者は今みたいに頻繁に海外に行くことを考えてなかったと思いますが、公訴時効の成立を狭める方向ということですね。

http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009102201000686.html
犯人が海外に数日間いたケースが、公訴時効停止の要件となる「国外にいる場合」に当たるかどうかが争われた詐欺事件の上告審決定で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は22日までに、「一時的な海外渡航でも時効は停止する」との初判断を示した。
 短期の海外滞在には時効停止規定を適用しないとの解釈が学説では有力で、決定は捜査実務にも影響を与えそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091022-00000121-jij-soci
被告は7年間で56回、計324日間海外渡航したが、1回当たりの渡航期間はほとんど10日未満だった。弁護側は「犯人が一時的に国外旅行をしても捜査に支障はなく、10日を超えない程度の渡航では停止しない」とし、起訴時点では時効が成立していたと主張していた。 

刑訴法第255条〔同前〕
1 犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつた場合には、時効は、その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間その進行を停止する。
2 犯人が国外にいること又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達若しくは略式命令の告知ができなかつたことの証明に必要な事項は、裁判所の規則でこれを定める。

条解刑事訴訟法第3版増補版P462
一時的な国外旅行の場合には.住民地が国内にあって送達が可能であることから.この場合を含ませる必要はないと解されているが、訴訟法上の送達は被告人本人に対してなされなければならないことや、犯人が国外にいる以上はわが国の捜査権を実際上及ぼしにくい状況にあることに変わりはないことから. 単に国外旅行の場合も含まれるとの見解もある。