児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ致傷:容疑の男性不起訴 裁判員制度適用ならず /石川

 一般論として、致傷罪でも示談すれば起訴猶予になることは多いです。
 しかし、致傷罪でも普通、告訴があって、被害者は刑事処分を望んでいるわけで、
 マスコミが第一号を待望すれば、被害者への圧力になって、起訴前の示談=告訴取り下げに向かいます。
 よく「弁護人から『示談しないと証人尋問で恥ずかしいこと聞かれますよ』と脅されて示談を迫られた」なんて聞きますよね。最近は言わなくてもわかっていただけていてそんな露骨なことは言いませんが。ビデオリンクや遮蔽措置もある。
 それを言わなくてもマスコミが「示談しないと、素人の裁判員の目前で、恥ずかしいこと聞かれますよ。ビデオリンクや遮蔽措置しても、裁判員には氏名も住所も調書の中身も伝わりますよ。しかも裁判員事件第一号ですから注目されていますから傍聴席も満員です。」と大声で言ってくれるわけで、
 間違ってると思う。結局、被害者が泣いて、犯人が助かる。
 罪種を考えずに法定刑で対象事件を決めてしまうからだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090723-00000176-mailo-l17
被害者の女性との示談が成立し、告訴が取り下げられたため。山本真千子次席検事は「被害者の意向を重視した」としている。起訴されれば県内初の裁判員制度の対象事件として注目された。県内では依然、対象事件の起訴はない

伊丹に相次ぐ管制トラブル、構造上の原因か

 RW32Lに降りると、RW32Rを横切ってゲートに向かうというのは元々の構造です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090724-00000063-yom-soci
伊丹空港の場合は基本的に、距離の長いB滑走路は大型機、短いA滑走路は小型機と分けて運用しているため、2本の滑走路で離着陸の両方が行われている。この結果、B滑走路に着陸した航空機は、A滑走路の離着陸機の双方に注意を払う必要がある。

あまり復唱励行させると、

管制塔「RW32R手前で止まれ」
飛行機「RW32R手前で止まる」
管制塔「RW32R手前で止まる件了解!」
飛行機「RW32R手前で止まる件了解の件了解」

になって、面倒です。

衆議院では、サンタフェは3号ポルノではないという行政文書は見つかりませんでした。

 情報公開の対象外なのか、存在しないのかは知りませんが、出てきませんでした。
 出てくればお墨付きとして使えると思ったんですが、ブログのネタで終わってしまった。

衆庶発第452号
平成21年7月22日
奥村徹
                     衆議院事務局庶務部文書課長 
            議院行政文書不開示通知書
 平成21年7月9日付で申出のありました議院行政文書の開示について、下記のとおり開示しないこととしましたので通知します。
                記
1 開示しないこととした議院行政文書の名称
  ある議員の特定の照会について、その内容と法制局の回答内容を記した文書
今回の開示申出文書は、次のとおりです。

 葉梨議員のホームページに
  http://www.hanashiyasuhiro.com/modules/news/article.php?storyid=194
なお、衆議院法制局に問い合わせたところ、その判例に照らせば、「多分『サンタフェ』は現行法の『児童ポルノ』に当たらないのでは」とのことだった。

と記載されていますが、議員の照会内容と法制局の回答内容を記した文書を開示してください。
2 開示しないこととした理由
  開示申出に係る議院行政文書を保有していないため。
  なお、衆議院法制局の保有する文書は、衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程の対象となっていない。
(担当)文書課

「今まで 捕まっていなかったので大丈夫だと思った」という弁解

 件数を増やすと、バレて捕まる方に近づくというのは常識じゃないですか?
 1人目の被害児童は、その後、不特定多数と援助交際を続けるから、発覚する危険は積算して増える。2人目、3人目も同様だから、発覚する危険は鰻上りです。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090724/crm0907241119008-n1.htm
同課によると、女子生徒がインターネットの出会い系サイトに「女、18歳、○○(場所名)で会える人、メール下さい」と書き込んだところ、容疑者から連絡があった。女子生徒はその後、容疑者に自分が16歳であることを明かしたという。容疑者は「制服が好きだった」と話しており、女子生徒にも制服を持ってくるよう指示していた。

 30歳の男は、普通、16歳と話しが合わないでしょ。接触がないから。奥村弁護士が被害児童と話しても苦労します。ところが教員は、日常接しているので、この面のハードルが低いんです。
 その上規範意識が無いとくれば、福祉犯・性犯罪に走りやすいです。教え子を狙っていなくても、職業犯的なところがあります。

なお、教員が自首する場合、教員免許を温存したい場合は、タイミングをみて、自主退職してもらう必要があります。懲戒処分で実名が出たり、教員免状の失効広告で実名が出たりすると意味がないので。

入浴する場面が児童ポルノとされた事例

 児童ポルノ該当性というのは客体の要件ですから、医学・学術・芸術などの撮影目的で児童ポルノ該当性は左右されないです。性欲刺激興奮の要件も一般人基準、つまり、見た人基準。えづらで決める。

 盗撮の場合、撮影されていることを知らないから、特段に性器等を誇張することなく、普通に入浴している場面だと思うんですよ。
   山形地裁 衣類の全部を付けずに入浴する児童の姿態
   横浜地裁 「露天風呂」付近において露天風呂に入浴中の女子児童の姿態(実刑
 これは、3号ポルノ。

法2条
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの

 じゃあ、これを親が娘の入浴シーンを同じ構図で撮ったとしたら、やっぱり、3号ポルノですよね。まあ、製造罪の要件を満たさないので現行法では処罰されないですが、物としては児童ポルノに該当する。
 でないと、仮に盗まれて陳列・提供されたりしたときに、児童ポルノ罪に問えないですから。

 理解できない人に説明しておくと、「児童ポルノ」というのは、物の属性ですから、持ち主によって、児童ポルノであったり、なかったりすることはない。

 例 娘の入浴シーン
   親が撮影・所持 3号ポルノ
   ↓
   盗まれて陳列・販売された・・・3号ポルノ公然陳列罪・提供罪
   ↓
   警察が押収した 3号ポルノ
   ↓
   親が取り戻した 3号ポルノ
   ↓
   また盗まれて陳列・販売された・・・3号ポルノ公然陳列罪・提供罪
   ↓
   警察が押収した 3号ポルノ
   ↓
   親が取り戻した 3号ポルノ

又は、

 例 娘の入浴シーン
   親が撮影・所持 3号ポルノ非該当とすると
   ↓
   盗まれて陳列・販売された・・・3号ポルノ非該当
   ↓
   警察が押収した 3号ポルノ非該当
   ↓
   親が取り戻した 3号ポルノ非該当
   ↓
   また盗まれて陳列・販売された・・・3号ポルノ非該当
   ↓
   警察が押収した 3号ポルノ非該当
   ↓
   親が取り戻した 3号ポルノ非該当


 森山・野田は心配ないというのですが、これで興奮する人がいるから、温泉盗撮というアダルトビデオのジャンルがあるのですから、この説明は現実に合いません。しかも、成立しないと断定しているわけでもないです。

森山野田「よくわかる改正児童買春ポルノ法」P201
Q49
第7条第3項で、他人に提供する目的がないのに児童ポルノを製造する行為を処罰することにすると、親が自己の子どもの入浴、水遊びの情景を写真撮影する等の行為についても処罰の対象になるのではないですか。


このような情景を撮影した写真に関しては、現行法第2条第3項第3号に該当するか否かが問題とされるのかもしれませんが、同号については、その要件として「性欲を興奮させ又は刺激する」との要件がついており、子どもの入浴、水遊びの情景を見て通常、一般人は性欲を興奮させ、刺激するというところまで至らないと思いますので、このような写真は児童ポルノに当たらず、その撮影行為についても改正後の第7条第3項の犯罪が成立しない場合が多いのではないかと思われます。

 3号ポルノの定義をそのままにして、与党案のような単純所持罪を設ければ、親の場合でも、児童ポルノ該当性を認めた上で、性的好奇心や正当行為などの要件で切ることになると思います。
 これは危険な解釈ではなく、法文の普通の解釈です。
 こういうのを世論に迎合して「入浴とか噴水は児童ポルノにはなりません。ご安心を」というのは、どっかで解釈を曲げているので、かえって予見可能性を害します。
 間違った説明の例 娘の入浴シーン
   親が撮影・所持 3号ポルノではない
   ↓
   盗まれて陳列・販売された・・・3号ポルノ公然陳列罪・提供罪
   ↓
   警察が押収した 3号ポルノ
   ↓
   親が取り戻した 3号ポルノではない
   ↓
   また盗まれて陳列・販売された・・・3号ポルノ公然陳列罪・提供罪
   ↓
   警察が押収した 3号ポルノ
   ↓
   親が取り戻した 3号ポルノではない

 間違った説明の例 医学書の写真
   医師が撮影・所持 3号ポルノではない
   ↓
   盗まれて陳列・販売された・・・3号ポルノ公然陳列罪・提供罪
   ↓
   警察が押収した 3号ポルノ
   ↓
   医師が取り戻した 3号ポルノではない
   ↓
   また盗まれて陳列・販売された・・・3号ポルノ公然陳列罪・提供罪
   ↓
   警察が押収した 3号ポルノ
   ↓
   医師が取り戻した 3号ポルノではない

 同じ画像が児童ポルノになったりならなかったりというのはこういうことです。

 児童の心臓手術の写真やビデオとかは、誰がみても性欲刺激要件に欠けるから、誰が持っても児童ポルノではないと言えそうですが、それで興奮する人が多数いるとアウト。
 これが現行法です。
 まあ、そんなのを検挙しなくても、援交ものの取り締まりで手一杯なので、そこまでは検挙してないですけど。

追記
 上記の裁判例京都地裁h12.7.17との関係については、ともに地裁の裁判例なので、優劣関係はありません。実際、京都地裁h14は児童ポルノ該当性と芸術性は別次元だと判示していますし、さらに、大阪高裁H14.9.12の「性欲を興奮させ又は刺激するものと感じる者が多数いると考えられれば,それで足りる」によれば、親が撮影したものでも学術でも芸術作品でも「性欲を興奮させ又は刺激するものと感じる者が多数いる」ことになると児童ポルノ性を備えることになることになって、京都地裁H12.7.17の手法がそのまま追認されたわけではないです
 最近は製造元や被害児童を突き止める捜査はそこそこにして、見た目で判断してますので、見た目でわからない製作意図は考慮していません。
 今後、仮に、親が撮ったほほえましい裸の写真が流出して、流出先でdvdとかにされて売られた事件が立件されて控訴されて「どこの人かは知りませんが、親が撮ったほほえましい裸だから、児童ポルノではない」と主張すれば、それが初の判例になります。