児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

泥酔して出廷「ぶっ殺す」「飲んで悪いか」→拘置します(佐賀地裁武雄支部)

 刑訴法の勾留じゃないですよね。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090327/trl0903272039019-n1.htm
 道交法違反(無免許運転)の罪で在宅起訴された佐賀県鹿島市の大工の男(36)が、佐賀地裁武雄支部(奥野寿則裁判官)で開かれた初公判に泥酔状態で出廷し「ぶっ殺す」などと暴言をはき、佐賀少年刑務所に拘置されたことが27日、分かった。

刑訴法
第60条〔勾留〕
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
?勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号〔死刑、無期、短期一年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯したものであるとき〕、第三号〔常習として長期三年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯したものであるとき〕、第四号〔罪証隠滅の疑いに相当な理由があるとき〕又は第六号〔氏名又は住居が分からないとき〕にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
?三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。

法廷等の秩序維持に関する法律
第1条(この法律の目的)
この法律は、民主社会における法の権威を確保するため、法廷等の秩序を維持し、裁判の威信を保持することを目的とする。
第2条(制裁)
裁判所又は裁判官(以下「裁判所」という。)が法廷又は法廷外で事件につき審判その他の手続をするに際し、その面前その他直接に知ることができる場所で、秩序を維持するため裁判所が命じた事項を行わず若しくは執つた措置に従わず、又は暴言、暴行、けん騒その他不穏当な言動で裁判所の職務の執行を妨害し若しくは裁判の威信を著しく害した者は、二十日以下の監置若しくは三万円以下の過料に処し、又はこれを併科する。
2 監置は、監置場に留置する。
第3条(事件の審判)
前条第一項の規定による制裁は、裁判所が科する。
2 前条第一項にあたる行為があつたときは、裁判所は、その場で直ちに、裁判所職員又は警察官に行為者を拘束させることができる。この場合において、拘束の時から二十四時間以内に監置に処する裁判がなされないときは、裁判所は、直ちにその拘束を解かなければならない。

山梨県内初の被害者参加裁判で実刑判決 甲府地裁

 昔からですが、被害者対応を保険屋さん任せにしてるというのは、いい情状にはなりません。被害者と会うのは辛いでしょうが。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090328-00000054-san-l19
同裁判は県内で初めて被害者参加制度が用いられ、注目された。渡辺裁判官は判決理由で、制限速度を30キロ上回る時速70キロで走った危険性を挙げつつ、「被害者の妻は被告人のその後の対応から誠意が感じられないとして、厳重処罰を求めている」などと指摘。「犯情は悪く刑事責任は重い。執行猶予を付すべき事案と言えない」とした。

裁判例によると、「服や下着の上から触った痴漢」は迷惑防止条例違反、「下着の中に手を入れた痴漢」は強制わいせつ罪として立件される??

 素人向きに極めて大まかに言えばそうもいえないこともないですが、法律上は、保護法益も違うので、
  着衣の内外と問わず、卑猥行為があれば迷惑防止条例違反罪
  着衣の内外と問わず、強制わいせつ行為があれば強制わいせつ罪
  両罪は両立しうる
です。
 実際、着衣の上から触るとか、触っていない(非接触型)強制わいせつ事件の判決も見かけますので、思いがけず、重い刑になることもあります。注意しましょう。

http://news.goo.ne.jp/article/r25/life/r25-110000006501.html
「痴漢は東京都をはじめとする各都道府県の迷惑防止条例エスカレートしたら刑法の強制わいせつ罪によって取り締まります」(警視庁生活安全総務課)
法律による明確な定義はないため、統計では「強制わいせつ罪」「各都道府県の迷惑防止条例違反」に分けてまとめられている、とのこと。迷惑防止条例と強制わいせつ罪の「境界線」もあいまいですが、裁判例によると、「服や下着の上から触った痴漢」は迷惑防止条例違反、「下着の中に手を入れた痴漢」は強制わいせつ罪として立件されるようです。では、どのぐらいの量刑で処罰されるのでしょうか?
警視庁によると、東京都の迷惑防止条例に違反した者は「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」。強制わいせつ罪では「6カ月以上10年以下の懲役」 という処罰を受けます。決して軽い犯罪ではありませんね。しかも、人の尊厳を傷つける行為として、近年は重罰化の傾向にあるみたいです。

http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/ag10122121.html
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
第五条 何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

刑法
第176条(強制わいせつ)
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

Teen girl in child porn charge

 アメリカでも、自分の裸を公開した児童(14)が最長17年の刑と報道されています。
 アメリカ同様に犯罪化していくなら、自分で公開したり、売ったりしてるのは、犯罪となる可能性があります。

http://www.thesun.co.uk/sol/homepage/news/article2345616.ece?OTC-RSS&ATTR=News
A TEEN girl is set to attend court over child pornography charges after posting indecent images of HERSELF on MySpace.
And if she is convicted the 14-year-old from New Jersey, will be forced to register as a SEX OFFENDER under American law.
The unnamed girl told cops she had put more than 30 nude images of herself on the social ・・・・・networking site for her boyfriend's pleasure.

If she is convicted, she will have to register as a sex offender under Megan's Law, which gives parents the right to know the identity of sex offenders in their area.
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She also could face up to 17 years in jail, though such a stiff sentence seems unlikely.

http://news.search.yahoo.com/search/news;_ylt=A9j8eu743M1JWmIBsgXQtDMD;_ylu=X3oDMTBhNjRqazhxBHNlYwNzZWFyY2g-?p=CHILD+PORN+herself&c=&x=wrt







 名古屋高裁金沢支部H17.6.9は被害児童が有償でモデルを演じた事案について、被害児童が共犯となる可能性に言及している。

名古屋高裁金沢支部H17.6.9
所論は,本件においては,被害児童が児童ポルノ製造に積極的に関与しており,共犯者であるのに,撮影者である被告人のみを処罰するのは不公平であり,憲法14条に違反するとする。しかし,本条の立法趣旨が,他人に提供する目的のない児童ポルノの製造でも,児童に児童ポルノに該当する姿態をとらせ,これを写真撮影等して児童ポルノを製造する行為については,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず,かつ,流通の危険性を創出する点でも非難に値するというものであることからすると,児童は基本的には被害者と考えるべきである。そして,記録を検討しても,本件の被害児童が共犯者に当たるとすべきほどの事情は窺えず,また,被告人を処罰することが不公平で,憲法14条に違反するとも認められない。

 島戸検事も被害児童が製造罪の主体となることを認めている。
島戸「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」警察学論集57-08

「姿態をとらせ」
「姿態をとらせ」とは、行為者の言動等により、当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいい、強制によることは要しない。
いわゆる盗撮については、本項の罪に当たらない(22)。一般的にそれ自体が軽犯罪法に触れるほか、盗撮した写真、ビデオ等を配布すれば名誉毀損の罪も成立し得るし、他人に提供する目的で児童ポルノを製造すれば、第7条第2項、第5項により処罰されることとなる。
22)盗撮された児童は、盗撮の事実に気付かず何ら特別の性的行為を強いられ・あるいは促されるわけではないから、直ちに性的虐待を受けたものとはいえないし、提供目的を欠く場合、盗撮の結果が児童の心身に悪影響を及ばす危険が具体化しているともいえないから、盗撮を手段とした単純製造の行為を直ちに児童ポルノに係る罪として処罰する必要はない。他人に提供する目的がある場合は、第7条第2項又は第5項の罪が成立する。
23)もっとも、例外的に、児童が他者に対して執拗、積極的に自身の児童ポルノを作成させるよう働きかけたような場合に、製造罪の共犯が成立することは理論上考えられる。

追記
 類似の事案が発生しているようです。

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2587978/3982021
 しかし、少女らを支援している米国自由人権協会(American Civil Liberties Union、ACLU)はスクマニック検事の行為は違憲で、起訴されれば少女たちが「性犯罪者」として登録され、就職に支障が出るおそれもあるとしている。
 米国では未成年が自分のヌード写真やセミヌード写真を携帯電話でやり取りする行為が増えている。こうした行為は携帯電話でメッセージを送るという意味の「テキスティング(texting)」という単語をもじってセクスティング(sexting)と呼ばれる。
 米国のある家族計画団体が前年12月に発表した調査によると、米国のティーンエージャーの20%がセクスティングをしたことがあるという

 ストックホルム宣言というのがあるんですが、手元の条文には書いてないので、実務家は気付きませんね。

児童の商業的性的搾取に反対する世界会議 「宣言」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/96/index.html
児童の商業的性的搾取及び他の形態の児童の性的搾取を犯罪とし、自国民であれ外国人であれ、これに関わった全ての犯人を有罪とするも、その際かかる行為の犠牲となった児童を処罰しないことを確保する。