児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童による児童ポルノ4項提供罪(不特定多数)・5項製造罪(不特定多数)

 これは児童が正犯で、男は共犯としか構成できない。
 撮って売ってるのは児童なのに、買った方は処罰されないという判例もあるのに。
 これを3項製造罪と評価するのは、単純所持罪を先取りしようとしてるようです。

少女に裸の画像送らせる 輪島署、男を書類送検
2008.06.07 北國新聞社
 調べでは、男性は昨年十一月から今年二月にかけて、携帯電話の出会い系サイトで知り合った千葉や岡山など県外に住む当時十五−十六歳の女子中高生に五千−一万五千円を送金する代わりに、携帯電話で女子中高生に自分の裸の写真などわいせつ画像を撮影、送信させ、携帯電話やパソコンなどに保存していた疑い。
 同署によると、石川県内の女子生徒が被害となる児童買春事件で摘発した男から押収した携帯電話に全国各地の女子中高生らから買い取ったとみられる児童ポルノが見つかったという。

 金沢支部判決によれば、児童に刑事責任が生じる余地はあって、有償でモデルになる程度では「被害者」だそうですが、自画撮りして販売している場合には製造犯人と言わざるを得ないですよ。

名古屋高裁金沢支部h17.6.9
(3)所論は,本件においては,被害児童が児童ポルノ製造に積極的に関与しており,共犯者であるのに,撮影者である被告人のみを処罰するのは不公平であり,憲法14条に違反するとする。しかし,本条の立法趣旨が,他人に提供する目的のない児童ポルノの製造でも,児童に児童ポルノに該当する姿態をとらせ,これを写真撮影等して児童ポルノを製造する行為については,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならず,かつ,流通の危険性を創出する点でも非難に値するというものであることからすると,児童は基本的には被害者と考えるべきである。そして,記録を検討しても,本件の被害児童が共犯者に当たるとすべきほどの事情は窺えず,また,被告人を処罰することが不公平で,憲法14条に違反するとも認められない。
2被害者の承諾による違法性が阻却されるとの所論について(控訴理由第6)
所論は,原判示第2の2の児童ポルノ製造罪について,被害児童の実勢な承諾・積極的関与があり,違法性を阻却するのに,児童ポルノ製造罪を認定したのは法令適用の誤りであるとする。しかし,法7条3項は,児童に法2条3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ,これを写真等に描写することにより児童ポルノを製造した者を罰する旨規定しており,その文言からしても,強制的に上記姿態をとらせることは要せず,被害児童が上記姿態をとること等に同意している場合を予定していると解されるし,上記の態様によって児童ポルノを製造することが,当該児童の心身に有害な影響を与える性的搾取行為にほかならないとして児童ポルノ製造罪が創設された趣旨からしても,被害児童の同意によって,違法性が阻却されるとは解されない。また,記録を検討しても,被害児童に,違法性を阻却するほどの真筆な承諾,積極的関与があったとも認められない。

処断刑期を間違えても量刑は正解

 原審は処断刑期決める前に、刑期決めてるんじゃないか?と思いますよね。勘で。
 破棄されると、法定通算で刑期がだいぶ短くなるんじゃないですか?
 こんなこともあるので、弁護人も、被告人に有利な法令適用にならないかという観点で法令適用までチェックしてほしいところです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080611-00000008-khk-l04
刑法の規定では、1つの犯罪行為が2つ以上の罪を構成する場合、刑罰が最も重い罪で刑を決めることになっており、地裁は1月の判決で無免許運転(1年以下の懲役または30万円以下の罰金)を適用していた。
 高裁の志田洋裁判長は「刑が最も重いのは『3年以下の懲役または50万円以下の罰金』の酒気帯び運転。法令適用の誤りは明らかで、一審判決は破棄を免れない」と述べた。弁護側は量刑不当と控訴していたが、懲役8月の量刑は妥当とした。
・・・・・・・・・・・
酒気帯び運転の罰則は、男が起訴される約2カ月前の昨年9月に施行された改正道交法で引き上げられていた。地裁判決は、改正前の罰則と取り違えたとみられる。
 地裁の阿部則之所長は「判決の言い渡しに誤りがないよう、機会あるごとに注意喚起しており、誠に遺憾。これまで以上に判決のチェックをきめ細かく行い、誤りがないよう、関係裁判官にあらためて徹底したい」とコメントした。

 仙台地裁児童ポルノ提供罪はあいかわらず包括一罪。判例がないと解釈までは徹底できない。そのうちこっそり併合罪に変わってるかもしれませんが。

最寄りの弁護士に相談して[自首]したら逮捕された事案

 奥村が受任した事件ではこういうことはありませんが、他の弁護士の話としてはこういうのはよく聞きますよね。そういう裁判例も見かけました。
 だいたい法律上の「自首」になってないかもしれません。
 そういうのを段取りするのが弁護士の仕事で、自分でやるのはなかなか難しいと思います。
 弁護士が準備とか事前折衝しないのなら、出頭しない方がよかったかもしれません。

 同行しただけの弁護士に責任が生じることはないと思いますが、たいてい、余罪があるので、そこも弁護士が聞き取らないと無意味になりますから、後味悪いですね。

相談者:1/1の児童買春について、自首したい

中部地方の弁護士A:相談(1万円)+見積もり(同行するだけで5万円)
奥村弁護士    :相談(1万円)+見積もり(選任が前提なので刑事事件の着手金30万円〜)

地元の弁護士に依頼(日当5万円)
3/1 地元弁護士同行でB警察署に出頭。(事前事後の対応は依頼してない)
自首調書とってない。

4/1 B警察署 2/1の児童買春で逮捕。

1/1と2/1の両方で刑事処分

相談者:逮捕を回避できなかったことについてA弁護士に責任問えないか?

成人の刑事事件は、起訴日を基準に施行前なら家裁、施行後なら地裁になるようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080611-00000909-san-soci
改正少年法が成立 犯罪被害者の少年審判傍聴が可能に
6月11日11時20分配信 産経新聞
 原則非公開となっている少年審判の傍聴を、被害者や遺族のみ認める少年法改正案が11日、自民、公明、民主の3党による修正を経て参院本会議で可決、成立した。

 共犯で泣き別れということもあるでしょうね。
 仮に6/1施行だとして、5/1に数件の児童淫行罪(被害者A子)を家裁に起訴して、6/2に余罪の児童淫行罪(被害者B子)を追起訴しようとすると、地裁になりますね。
 施行の前後は混乱が予想されます。

少年法の一部を改正する法律案
http://www.moj.go.jp/HOUAN/SYOUNEN/refer02.pdf
附則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第五条の二第一項の改正規定(「この項及び第三十一条の二において」を削る部分に限る。)及び第九条の二の改正規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行の日前にこの法律による改正前の少年法第三十七条第一項の規定により公訴の提起があった成人の刑事事件については、この法律による改正後の少年法、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定にかかわらず、なお従前の例による。沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十九号)第二十六条第四項の規定により家庭裁判所が権限を有する成人の刑事事件についても、同様とする。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案

 これまでのところ、下々には、森山先生や野田先生のお声が聞こえませんでしたね。
 手段はともかく「子どもの権利擁護」に向けた熱意については評価していたんですが。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1DA43DA.htm
案名「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案」の審議経過情報 項目 内容
議案種類 衆法
議案提出回次 169
議案番号 32
議案件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案
議案提出者 森山 眞弓君外四名
衆議院予備審査議案受理年月日

不起訴処分告知書

 弁護人の請求で弁護人経由で被疑者にくれるのは易しい検察官。
 条文通り、被疑者にとりに来させたり、電話でしか告げない検察官は、普通の検察官。

不起訴処分告知書
平成○年○月○日
甲野太郎殿
地方検察庁
検察官検事B
貴殿の弁護人請求により下記のとおり告知します。
     記
貴殿に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童保護等に関する法律違反被疑事件については,平成○年○月○日公訴を提起しない処分をしました。

刑訴法第259条〔被疑者に対する不起訴処分の告知〕
検察官は、事件につき公訴を提起しない処分をした場合において、被疑者の請求があるときは、速やかにその旨をこれに告げなければならない。

被害児童にインタビューしたいので紹介してくれないか?という報道機関 

 だいたい、児童ポルノ・児童買春の被害というのは実感できるとは限らないし将来的な害悪かもしれないのに、本人に聞いてもわからないですよね。映像としては押さえておきたいのはわかりますが、それほどの意味はありません。
 さらに、法12条があるので、弁護人として扱った事件について、弁護人が教えるわけがありません。さらに傷つけば気の毒だし。
 法15条の関係行政機関である児童相談所は被害児童から求めない限り関与しませんから、無理。NGOの活動は聞いたことがない。
 結局、警察しかありません。
 援交シリーズの製造犯を検挙した県警の被害者担当に取材して下さい。被害児童のインタビューは無理でしょうが、エピソードくらい拾えるかもしれません。

第12条(捜査及び公判における配慮等)
第四条から第八条までの罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、児童の人権、特性等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとする。
第14条(教育、啓発及び調査研究)
国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。
第15条(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2 関係行政機関は、前項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。
第16条(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。

与党案6条の2と7条1項の不一致

 「みだりに所持」は違法だけど罰則なし。
 「自己の性的好奇心を満たす目的所持」は違法で罰則付。
 ちょっとずれてる。こんなのトラブルの元。他人の性的好奇心を満たす目的所持は適法になる。
 ものがものですから、実際、仕事でもないのに「法律上の児童ポルノ」を所持していたら、「みだりに所持」で「自己の性的好奇心を満たす目的所持」ですわな。
 そうなると、目的を否認するよりは、所持の認識で否認するしかないですね。弁解録取ですぐ言えるようにしておきましょう。

与党案
児童ポルノ所持等の禁止)
第六条の二 何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管してはならない。

 (児童ポルノ所持、提供等)
第七条 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者も、同様とする。

捜査の端緒がほしいのならば、自首減軽免除も入れてほしいですね。入手経路遡って製造犯人を検挙して被害児童を保護するんですよ。

http://www.pref.nara.jp/somu-so/jourei/reiki_honbun/k4011081001.html
子どもを犯罪の被害から守る条例
(子どもポルノの所持等の禁止)
十三条 何人も、正当な理由なく、子どもポルノを所持し、又は第二条第四号アからウまでのいずれかに掲げる子どもの姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管してはならない。
第十五条 
1第十二条又は第十三条の規定に違反した者は、三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
2 第十三条の規定に違反して前項の罪を犯した者が、自首したときは、同項の刑を減軽し、又は免除する。

 奈良県人は、必要的減軽免除を狙って条例15条2項で自首したら、法7条の罪は減軽免除されないんですから、自首するわけないですよね。

A子との児童淫行罪で逮捕して、A子に対する児童ポルノ製造罪で再逮捕することは、原則禁止。

 一応判例ですから。
 勾留手続だと致命的なミスになる可能性があるので、再逮捕が例外的に許される要件を備えて下さい。

札幌高裁H19.3.8
4違法収集証拠を証拠採用したとの控訴趣意について
論旨は,要するに,本件児童淫行罪と本件児童ポルノ製造罪が一罪であるとすると,上記青少年条例違反罪と本件児童淫行罪とは一罪であるから,被告人が上記条例違反罪により逮捕・勾留された後になされた本件児童ポルノ製造罪での逮捕・勾留,は,一罪一逮捕一勾留の原則に反する違法なものであって,この違法な逮捕勾留期間に作成された被告人の供述調書(はいずれも違法収集証拠として証拠能力がないのに,これを証拠として採用した原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反がある,というのである。
 なるほど,第一次勾留が執行された上記条例違反罪の被疑事実は「H20.4被害児童A(当16歳)が満18歳に満たない青少年であることを知りながら,単に自己の性的欲望を満たす目的で同女と性交し,もって満18歳に満たない青少年に対し淫行したものである。」というものであり,また,その後の第二次勾留が執行された児童ポルノ製造罪の被疑事実は「別表記載のとおりH20.6ころ15回にわたり,被害児童A(当16歳)が満18歳に満たない児童であることを知りながら,デジタルビデオカメラを使用し,同児童の被疑者との性交場面,同児童をして被疑者に口淫させた場面,同児童の陰部を露出させた姿態などを撮影して,児童を相手とする性交,性交類似行為に係る児富の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激する動画を電磁的記録媒体であるミニデジタルビデオカセットに描写し,もって同児童に係る児童ポルノを製造したものである。」というものである。
 そして,関係証拠によれば,被告人と児童との交際は,平成18年10月ころから同20年8月ころまで続いていたと認められ,本件児童淫行罪は上記条例違反罪の行為の日を含む期間における同一児童一の児童淫行罪であることからすると,上記のとおり,本件児童淫行罪と後の逮捕勾留事実である本件児童ポルノ製造罪とは観念的競合の関係にあり,また,本件児童淫行罪は先の逮捕勾留事実である上記条例違反罪とも一罪となり,結局,以上は実体法上一罪と解される余地がある。
しかし,一罪一逮捕一勾留の原則といえども例外を認めないものではなく,本件においては,上記条例違反罪の被疑事実は平成20年4月の行為であり,後の児童ポルノ製造罪の被疑事実は平成18年10月から同20年8月ころまでの行為であり,その間には時間的間隔がある別個の行為であり,しかも,児童ポルノ製造罪は異なる日あるいは時刻における15回の行為であり,各行為についての証拠の収集が必要であることなどに鑑みると,上記児童ポルノ製造罪の被疑事実による再逮捕・勾留は,一罪一逮捕一勾留の原則の例外として許容されるものと解される。
したがって,この逮捕・勾留期間中に作成された被告人供述調書は,いずれも違法収集証拠に該当しないから,これらを証拠に用いた原判決に違法はなく,論旨は理由がない。

<児童ポルノ禁止法>民主も改正案 与野党協議が焦点に

 所持についての処罰範囲は事実上変わらないと思いますが、罰則は重いようです。判例では買う人はそんなに悪くないって言ってますが。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080611-00000142-mai-pol
 民主案は有償や反復して取得することを禁止し、違反者には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」の罰則を設けている。児童買春も含めた罰則すべての厳格化なども盛り込んだ。

 法定刑の下限を上げるとてきめんです。


追記
 厚生労働大臣が児童保護を担当する点など、合目的的に直ってていいといいと思いますが、解釈として個人的法益重視を貫けるかどうかですね。
 法定刑については、下限を見直さないと、量刑相場は変わりません。ちょっと弱気ですね。重く処罰するという強い意思が裁判所に伝わらない。
 3項製造罪(姿態とらせて製造)が「みだりに製造」となったのは、これでいいでしょう。ダビングや盗撮を許す理由はないから。
 取得罪の「懲役3年」というのは、単純所持反対派にとってはショックでしょうね。しかし、「有償で又は反復して」に限定する必要もないと思います。提供の方は無償・一回性のも規制しているのだから、対向犯も押さえておく必要があると思います。高裁(那覇支部h17.3.1 大阪高裁h18.9.21)は取得者はそれほど悪くないというのだから、それも含めて「懲役1年程度」でいいと思います。

http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=13495
http://www.dpj.or.jp/news/files/080611shinkyu.pdf
第二条
3この法律において「児童性行為等姿態描写物」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二殊更に他人が児童の性器等を触り、若しくは児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態又は殊更に児童の性器等が露出され、若しくは強調されている児童の姿態
(削る)
(適用上の注意)
第三条この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。
(児童買春)
第四条児童買春をした者は、七年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。

(児童性行為等姿態描写物取得、提供等)
第七条みだりに、児童性行為等姿態描写物を有償で又は反復して取得した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
みだりに、電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を有償で又は反復して取得した者も、同様とする。
2児童性行為等姿態描写物を提供した者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童性行為等姿態描写物を製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、みだりに、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童性行為等姿態描写物を製造した者も、第二項と同様とする。
5児童性行為等姿態描写物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、七年以下の懲役若しくは七百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
6前項に掲げる行為の目的で、児童性行為等姿態描写物を製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
7第五項に掲げる行為の目的で、児童性行為等姿態描写物を外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

福岡高裁那覇支部平成17年3月1日
控訴趣意中児童買春法の憲法14条違反の主張について
所論は要するに,児童ポルノ販売罪は,買主との必要的共犯・対向犯であって,買主の買い受け行為の法益侵害,違法性は可罰的,当罰的であるにもかかわらず,売主のみを処罰するのは,法の下の平等憲法14条)に違反するから,児童買春法の児童ポルノ販売罪の規定は違憲,無効であり,同規定を適用して被告人を有罪とした原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというにある。
しかし,買主の買い受け行為にも法益侵害,違法性があるとはいえるが,売主の販売行為の違法性,法益侵害性が強度の可罰性,当罰性を有するのと比較して,前者の法益侵害,違法性の可罰性,当罰性は微弱であるから,販売行為のみを処罰の対象とし,買い受け行為を処罰の対象としないことが憲法14条に定める法の下の平等に反しないことは明らかである。論旨は理由がない。

阪高裁平成18年9月21日
第4控訴趣意中,児童ポルノ提供罪に関する法令の解釈適用の誤りの主張について(控訴理由第4)
論旨は,児童ポルノ提供罪は買い主との必要的共犯又は対向犯であって,買い主の買受行為にも法益侵害があるにもかかわらず,提供者のみを処罰するのは法の下の平等憲法14条)に反するものであり,同罪にかかる規定は無効である,したがって,同規定を本件に適用した原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の解釈適用の誤りがある,というのである。
しかしながら,児童ポルノを提供してこれを積極的に拡散した者と,これを購入したにすぎない者との間では,児童の権利の擁護という立法趣旨から見て,その当罰性に差があることは当然であり,児童ポルノの提供者のみを処罰する同罪の規定は合理的なものといえるから,これが法の下の平等憲法14条)に反するとは解されない。
この論旨も理由がない。

 大阪高裁のは、関西なんとかで、児童ポルノの中でも悪質な児童ポルノです。

強制わいせつ罪の既遂時期

 強制わいせつ罪って定型性が弱いので、性的傾向の発現として対人的行為に出れば、なんでもわいせつ行為。
 しかも、「性的傾向」も人それぞれ。
 だから、たとえば、「女性の顔を目掛けて物を投げつけ、命中すると満足する」という性的意図でそのような行為に出た場合、顔に当たれば既遂、顔面から外れれば未遂になります。傾向犯説の結論。
 とてつもない性的傾向を語れば、何でも未遂になりますよね。

条解刑法p457
7)着手・既遂  着手時期は、前段では手段となる暴行文は脅迫を開始した時点であり,暴行自体がわいせつ行為に該当する場合も,13歳未満の者に対し廉行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした場合(本条注8参照)も,同様である。後段ではわいせつな行為を開始した時点である。
わいせつな行為を行った時点で既遂となる。