児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

女子児童になりすまして「体を見せてくれ」と画像を要求、数枚受け取っていた

 間接正犯の道具にはなってないように思えますが、児童を正犯、被疑者を教唆犯と構成するんでしょうか?

http://mainichi.jp/area/yamaguchi/news/20080605ddlk35040565000c.html
山口・脅迫メール:児童ポルノ法違反容疑で被告再逮捕 /山口
 容疑者は女子児童になりすまして子ども向けのインターネットサイトを利用、同児童とメール交換していた。「体を見せてくれ」と画像を要求、数枚受け取っていた。気付いた母親がメールのやり取りをやめるよう通知していたところ、脅迫する内容のメールを数回送りつけ脅迫容疑で逮捕、起訴された。

奈良県子どもを犯罪の被害から守る条例の施行後、性犯罪は減少したのか?

 奈良県子どもを犯罪の被害から守る条例
http://www.police.pref.nara.jp/kodomojourei/050701.htm
の前後で件数に変化があるかを調べたいのです。

 数字を探してきます。
 奈良県だけが減ってるといいですね。

 困りましたね全国的に減っているようですね。

http://www.npa.go.jp/toukei/seianki6/h19hanzaizyousei.pdf
(3) 街頭における強姦
強姦の認知件数は、平成1 5年まで増加傾向にあったが、平成1 6年以降3年連続して減少し、平成19年にあっても1,766件と、前年に比べ182件(9.3%)減少している。うち街頭における認知は495件で、強姦全体の28.0%を占めており、前年に比べ117件(19.1%)減少している。
検挙件数、検挙人員は1,500件(人)前後で推移していたが、平成16年以降、検挙人員は千人前後に減少している。平成19年の検挙件数は1,394件で、前年に比べ66件(4.5%)、うち街頭における事件の検挙は329件で、前年に比べ79件(19.4%)ともに減少しており、検挙人員も1,013人で、前年に比べ45人(4.3%)減少している(図表2−1−(3)−1)。

(4) 街頭における強制わいせつ
強制わいせつの認知件数は、平成11年以降増加し、平成15年には1万件に達したが、平成16年以降3年連続して減少し、平成19年にあっても7,664件と、前年に比べ662件(8.0%)減少している。うち街頭における認知は4,640件で、強制わいせつ全体の60.5%を占めており、前年に比べ491件(9.6%)減少している。
検挙件数は3千件台、検挙人員は2千人前後で推移しており、平成19年の検挙件数は3,542件で、前年に比べ237件(6.3%)減少し、うち街頭における事件の検挙は1,853件で、前年に比べ98件(5.0%)とともに減少しており、検挙人員も2,240人で、前年に比べ14人(0.6%)減少している(図表2−1−(4)−1)。

エ子ども対象・暴力的性犯罪被害の状況
子ども対象・暴力的性犯罪(13歳未満の少年が被害者となった強姦、強制わいせつ、強盗強姦(いずれも致死又は致死傷及び未遂を含む。)及びわいせつ目的略取誘拐(未遂を含む。)をいう。)の認知件数は、平成1 5年まで増加傾向にあったが、平成1 6年以降減少し、平成1 9年にあっても1,012件と、前年に比べ102件(9.2%)減少している。
罪種別に見ると、前年に比べ強制わいせつは108件(10.6%)と大幅に減少しているが、強姦は14件(20.9%)増加している(図表4−10−(2)−6)。

児童ポルノを公然陳列・提供しても、個人的法益は重視されない↑→

 上図のように氏名不詳の児童の裸体写真を掲載して、
 1 「こいつらは、淫乱な少女である」
 2 「こいつらを殺します」
 3 「こいつらの児童ポルノをさらします」
と説明した。
 罪責については、

 1の書き込みについては、両児童に対する名誉毀損罪(2罪)が成立し、後は罪数処理。
 2の書き込みについては、両児童に対する脅迫罪(2罪)が成立し、後は罪数処理。
 3の書き込みについては、児童ポルノ公然陳列罪が成立し包括一罪。

となる。(判例
 氏名不詳でも処理は変わらない。

第230条(名誉毀損) 
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
第222条(脅迫) 
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

第7条(児童ポルノ提供等)
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

 裸体をさらすという同じ行為形態であっても、軽い名誉毀損や脅迫の関係では被害者として1人1罪になるのに、重い公然陳列罪では、被害者性は捨象されて、包括一罪になる。
 これは、児童ポルノの個人的法益性をあまりにも軽視しているのではないか。