児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

教え子の裸を撮影容疑 東京・台東区立中学教諭を再逮捕

 この製造罪をどこに起訴するんでしょうか?
 地裁か家裁かがわからないので、うやむやに不起訴になっていることがあります。
 東京地検は家裁に起訴してきたんですが、東京高裁H19.11.6を受けてどうするか?

教え子の裸を撮影容疑 東京・台東区立中学教諭を再逮捕
2008.06.03 朝日新聞社
 この少女の裸の写真も撮影していたとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(ポルノ製造)の疑いで警視庁に再逮捕されていたことが分かった。容疑を認めているという。

児童ポルノと性犯罪

 それは最初から保護法益に入ってないんですよ。見直しですか?
 調査については14条があるんですが、予算が付いてない。やる気がない。
 性犯罪との関係を調査してないことを認めるなら、単純所持で性犯罪防止になるという根拠もない。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080604ddm041040181000c.html
消せない:児童ポルノと性犯罪/3 画像買いあさった過去
 児童ポルノと性犯罪の因果関係について、米連邦刑務局は07年、児童ポルノ犯罪による受刑者を調査した。85%が過去に子供への性犯罪を起こしたと告白し、犯行は発覚すらしていなかった。
 日本ではこうしたデータも存在せず「ポルノは犯罪の抑止力」という意見も根強い。「机上の論争はもうやめて、まず調査をしてから対策を考えるべきだ」。児童買春・児童ポルノ禁止法の改正を論議する与党議員からはそんな声が上がる。
毎日新聞 2008年6月4日 東京朝刊

第14条(教育、啓発及び調査研究)
国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。

 性犯罪の原因調査って、研究員が刑務所に通ってやるんでしょうね。「児童ポルノを見たので性犯罪しました」というインタビュー。大変でしょうががんばってほしいものです。
 さらに、児童ポルノが性犯罪を誘発するかということになると、ボランティアの被験者に児童ポルノを見せて、性犯罪に走るか踏みとどまるかを実験しないとだめでしょうね。洗脳してしまう宗教もあるようなので、シャワーのようにポルノを浴びせれば、性犯罪者を養成できるかもしれませんが、そこまではできないから、明確な相関関係は結局よくわからないですよね。実験前後に「法律を犯してでも児童を強姦したいと思いました」という反応が増える程度。

札幌高裁H19.9.4は札幌高等裁判所刑事判決速報(h19第9号 通巻第172号)

 児童買春罪と製造罪は観念的競合だとも判示しています。
 上告棄却。

判示事項
同一犯人が犯意を継続して
1 児童に,児童ポルノ法2条3項所定の姿態をとらせ,
2 これを携帯電話内蔵カメラで撮影し,
3 そのデータをminiSDカードに保存した場合に,
2、3 の行為のそれぞれが同法7条3項所定の製造行為に当たり,123の行為が一体として同項の罪の実行行為となり,包括一罪となるとした事例
2 児童ポルノ法7条3項の罪の訴因の特定につき,包括一罪となる一連の製造行為のうち,最初の製造行為の着手時期.場所を記載すれば,その後の製造行為の時期.場所を記載しなくとも,訴因は特定されているとした事例

なぜ? 公認会計士が児童ポルノを販売(東京地裁h20.6.17)

 最近求刑重いなあ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080604-00000918-san-soci
起訴状によると、被告は平成20年4月3日、東京都内の自宅で、児童ポルノを記録したDVD計33枚を販売する目的で所持したとされ、罪状認否で起訴事実を認めた。
・・・・・・
被告は型通りの反省の弁を述べたが、検察官の厳しい追及によって、金銭目的だったことが誰の目にも明らかになった。
 検察側は「自己の経営する会社の売り上げのために、もうかるからと禁制品を販売した動機にくむべき事情は皆無」として懲役2年6月、罰金50万円を求刑した。

 提供関係は売れるから売ってるだけですから、きっちり学習すれば再犯しませんよね。学習材料は弁護人が用意して被告人質問で成果を発表するようにしないと、検察官にいじめられることになり印象下がります。
 児童ポルノの複製や販売は動機さえあれば容易ですので、情状証人立ててもそれほど効果ありません。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080604/trl0806041108001-n2.htm
被告「(被害児童が)映像が出回っていると知ったら不安と恐怖におびえて生きなければならない」
 検察官「裸の映像をばらまかれる前提として、乱暴されている。それに匹敵する犯罪ですよ?」
 被告「そうかもしれません」
 検察官「そうかもしれませんじゃなくてね。そんな認識?」
 被告「…」

 検察官も、被害児童に謝らせているわりには、包括一罪で起訴してるだろ。
 個人的法益重視なら包括一罪の訴因は訴因不特定になるはずで、

弁護人「裸の映像をばらまかれる前提として、乱暴されている。それに匹敵する犯罪ですよ? なら複数児童で包括一罪はおかしいでしょう。」
検察官「そうかもしれません」
弁護人「そうかもしれませんじゃなくてね。そんな認識?」
検察官「…」
弁護人「そんな認識で起訴してるのかよ!」

とやり込めたいところです。

2罪で罰金100万円(いわき簡裁H20.6.3)

 罰金実刑(払わないと労役場留置)ですから公判請求(懲役執行猶予)されるよりもきついですよね。そういう処分を選択したんですね。
 持ち込まれる案件でも執行猶予中とか執行猶予経過直後の再犯が目立ちます。
  07.10 児童買春
  08.03 児童買春
  08.05.14 逮捕
  08.06.03 略式命令

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080604-00000120-mailo-l07
被告は07年10月下旬と08年3月に同市内で、ともに当時16歳の女子高生にそれぞれ5000円と2万円を渡す約束をし買春した。市側は今後処分する方針。