児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年をインターネット上の有害情報から守る為の法律案骨子について 2008年05月12日

 プロバイダの刑事責任法みたいな条項がありますよね。
 主務大臣からの命令違反罪とされている点で掲示板管理者が公然陳列罪とされた事例に比べると注意義務は後退しています。裁判所より児童ポルノに甘い。刑事責任も限定するつもりなんでしょうか?
 見つけたら削除しないと管理者も公然陳列罪の正犯か従犯になって逮捕されるというのが、刑法・児童ポルノ法の運用の現状です。未必の故意でもいい。

 また、この法律による削除義務が刑法・児童ポルノ法上の削除義務の根拠(不振政府作為犯)となる可能性があるので、大臣の命令を待っていれば処罰されないというわけでもないことに注意。裁判所はそんなに甘くない。
 反対派もその辺には気づかないようですが、
http://rep.sanae.gr.jp/tusin2/tusin2_contents.html?MID=35
 罰則があるというのが一番怖いんでしょうから、そこまで意識して議論してほしいものです。

http://rep.sanae.gr.jp/tusin2/tusin2_contents.html?MID=34
第四 ウェブサイト上の青少年有害情報が青少年に閲覧されないようにするための措置

 一 ウェブサイト管理者等の講ずべき措置
 ウェブサイトに書き込まれる情報について管理権限を有する者(以下「ウェブサイト管理者等」という。)は、自らウェブサイトに青少年有害情報を書き込もうとするとき又はウェブサイトに青少年有害情報が書き込まれたことを知ったときは、十八歳以上の者を会員とするサイトへの移行措置、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアによる青少年有害情報の選別に資するための措置、当該管理権限に基づく青少年有害情報の送信を防止する措置その他の青少年により青少年有害情報の閲覧がされないようにするための措置として政令で定めるもののうちいずれかを講じなければならないものとすること。

 二 インターネット接続プロバイダーの講ずべき措置
 インターネット接続プロバイダーは、その提供するインターネット接続役務を利用して開設されているウェブサイトに青少年有害情報が書き込まれたことを知ったときは、ウェブサイト管理者等に対し一の措置を講ずるよう要求することその他の青少年により青少年有害情報の閲覧がされないようにするための措置として政令で定めるもののうちいずれかを講じなければならないものとすること。
 
 三 損害賠償責任の制限

 一のウェブサイト管理者等及び二のインターネット接続プロバイダー(以下「特定電気通信役務提供者」という。)は、ウェブサイトに書き込まれた情報について青少年により閲覧がされないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)を講じた場合において、当該青少年閲覧防止措置により当該情報をウェブサイトに書き込んだ者(以下「情報の発信者」という。)に生じた損害については、当該青少年閲覧防止措置が必要な限度において行われた場合であって、次のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じないものとすること。

 1 特定電気通信役務提供者が当該ウェブサイトに書き込まれた情報が青少年有害情報であると信じるに足りる相当の理由があったとき。
 2 特定電気通信役務提供者が当該情報の発信者に対し、当該情報を示して当該青少年閲覧防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該情報の発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該情報の発信者から当該青少年閲覧防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

第十七 違反者に対する制裁措置等
一 インターネット接続プロバイダーが第四又は第五の一の規制を遵守していないときは主務大臣が、インターネットカフェが第十の規制を遵守していないときは知事が、それぞれこれを改善することを命ずることができるものとし、その命令違反に対しては、インターネット接続プロバイダーについては二百万円以下の罰金、インターネットカフェについては百万円以下の罰金に処すること。

二 携帯電話会社が第六の規制を遵守していないときに主務大臣がその規制を遵守するよう勧告することができることとし、その勧告に従わない場合はその旨を公表すること。

「誹謗中傷と責任」の後半参照。

インターネット上の誹謗中傷と責任

インターネット上の誹謗中傷と責任

弁護士の証券口座は監視される?

 奥村は株やってませんが。

http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20080517-567-OYT1T00548.html
野村証券の元社員らによるインサイダー取引事件を受けて、日証協は、国内証券会社のすべての役員と社員の名前や年齢などをデータベースに登録して、口座の開設時に照合できるようにする。
 このデータベースに、大手銀行など約220の金融機関の役職員のうち、取引先企業の重要情報を知りうる立場の人を加える方針。
 日本公認会計士協会や日本弁護士連合会、日本新聞協会などへも、インサイダー防止への協力を要請する必要があるかどうか検討している。

海保:東京湾で観閲式と総合訓練を実施↑→

 海事補佐人とか海事代理士だったりするので、見物してきました。毎年券をもらうんですが、5年に1回くらい行きます。
 訓練展示なので、今年はサミット粉砕を叫ぶ船が登場して、海自の護衛艦とかしきしまに追われてました。

海保:東京湾で観閲式と総合訓練を実施(毎日新聞) - 2008年5月18日(日)
 海上保安庁は17日、羽田沖の東京湾で観閲式と総合訓練を実施した。海上自衛隊や警視庁、ロシア国境警備局なども加わり、艦船艇67隻と航空機18機が訓練。7月の北海道洞爺湖サミットを想定した海上警備も披露した。
 日本水難救済会名誉総裁の高円宮妃久子さまが皇族としては初めて臨席した。総合訓練では不審船に対する空砲による射撃、抗議船の制圧活動などを展開。巡視船に分乗した見学者約4000人は熱心に見入っていた。

誤って執行猶予判決 地裁北見支部、適用外の罰金額

 だいたい、罰金に執行猶予がつくことは滅多にないですから。弁護人も気づきます。
 検察官が控訴するしかないですよね。

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/93337.html
誤って執行猶予判決 地裁北見支部、適用外の罰金額(05/17 15:41)
 【北見】釧路地裁北見支部が言い渡した刑事裁判の有罪判決で、刑法では適用できないケースなのに執行猶予を付けていたことが、十七日までに分かった。同地裁は誤りを認め、「あってはならないミス。おわびし、再発防止に努める」としている。
 同支部の裁判官は十五日の判決公判で、出資法違反などに問われた被告三人に実刑を含む有罪判決を下した。このうち一人に「懲役二年、罰金百五十万円、執行猶予五年」を言い渡した。
同地裁によると、判決後に地裁内で判決内容を精査した結果、誤りが分かった。判決は言い渡し時点で効力が生じるため、変更には控訴が必要。同地裁は十六日に釧路地検と弁護人に事情説明しており、「今後の対応を待ちたい」としている。

 紹介記事もありました。

<横顔>さん*釧路地裁北見支部の新しい支部長判事
2008.05.10 北海道新聞朝刊地方
 大阪地裁民事部判事から初めての道内勤務について一カ月余り。支部のトップとして重責を担う。任官以来、民事畑を歩み、「北見では刑事事件も扱う。裁判官を志した『世の中のため、人のため』の初心を大事にしたい」と気を引き締める。

第25条(執行猶予) 
次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその執行を猶予された者が一年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがあるときも、前項と同様とする。ただし、次条第一項の規定により保護観察に付せられ、その期間内に更に罪を犯した者については、この限りでない。

 判決書って後日、検討しているんですね。
 某地裁H17は、訴因変更許可の罪数処理と判決の法令適用が矛盾しています。

7/1ころ起訴 
 1/1の児童買春罪で起訴

7/29 訴因変更請求
 1/1 児童に対して、対償供与し性交し、これをデジタルビデオカメラ等で撮影し、もって 児童買春するとともに、児童にかかる児童ポルノを製造したものである。

罰条に
7条3項 1項 2条3項を加える

某地裁H17判決
 1/1 児童に対して、対償供与し性交し、これをデジタルビデオカメラ等で撮影し、もって 児童買春するとともに、児童にかかる児童ポルノを製造したものである。
法令適用
児童ポルノ法4条 7条3項 1項 2条3項
45条前段(併合罪) 47条本文 10条