児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・強姦・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(強姦罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例違反)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑事法ジャーナルの次号に最決平成18年02月20日の評釈(上野先生)がでるようです。

 「姿態をとらせて」は実行行為なのか?
 まだ高裁でもめてるんですよ。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=24934&hanreiKbn=01
事件番号 平成17(あ)1342
事件名 わいせつ図画販売,同販売目的所持,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
裁判年月日 平成18年02月20日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 決定
結果 棄却
判例集巻・号・頁 第60巻2号216頁

原審裁判所名 名古屋高等裁判所 金沢支部
原審事件番号 平成17(う)12
原審裁判年月日 平成17年06月09日

裁判要旨 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる。

アグネス・チャン、児童ポルノや児童売春撲滅へ涙の訴え

 「児童売春」なんて書いているサンスポの記者とかデスクにも徹底を呼びかけないとね。

http://www.sanspo.com/geino/top/gt200803/gt2008031212.html
児童ポルノや児童売春に対する規制、法律の徹底を呼びかけ、署名を募るキャンペーン。アグネスはタイなどで実地取材した経験や、被害者のつづった手紙を披露。「被害者にはトラウマがずっと残るんです。これは人権侵害。まだ間に合います、署名してください」と涙ながらに力説した。

 ちなみに、大阪地裁では3項製造罪(姿態とらせて製造)も個人的法益の保護は従だとされています。アグネスは裁判所で涙ながらに力説してほしいものです。奥村は疲れました。

 姿態とらせない製造を製造罪から除外したからこういうことになるんですよ。

大阪地裁H17
 児童ポルノ法は、2項、3項5項において、児童ポルノ製造を禁止し、児童に対する性的搾取虐待を助長する児童ポルノについて、その流通の危険性の創出を禁圧しようとしているのであるから、その中にあって、7条3項の製造罪は2項の製造罪に比べて、他人に提供等する目的を欠く場合にも成立するところに特色がある。(法定刑は同じ)
 これは、本罪が上記のような製造罪全般に通じる趣旨に加えて 撮影対象となった個別の児童について不名誉な永続的画像などを作出されないという個人的法益をも保護対象とするものと解される。
しかし、本罪はそのような個別の児童のみだらな姿態にかかる撮影行為のすべてを処罰しているわけではない。すなわち、本罪の撮影には児童にみだらな姿態をとらせること、すなわち、犯人による児童に対する何らかの働きかけのあることが必要とされており、結局、本罪の罪質ないし処罰根拠という観点からすれば、上記個人的法益の保護は補助的なものと解される。
してみると、本罪の構成要件的行為のうち、その不法の中核を担い、処罰を積極的に基礎づけるのは、他の製造罪と同様に、撮影行為すなわち、みだらな姿態にかかる映像記録の作出であり、姿態をとらせる行為は、処罰範囲限定のために置かれているにすぎない。

奥村弁護人事件

 よその土地の弁護士から「児童ポルノ・児童買春事件の経験はあるのか?」と聞かれましたが、即答できませんでした。
 被告人ごとのフォルダーを開いていけば、60件を超えています。
 日付順にならべると、裁判所の判断が変遷しているのがわかります。

大阪地裁H19.7 東京都青少年の健全な育成に関する条例違反,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,大阪府青少年健全育成条例違反被告事件
阪高裁H19.12東京都青少年の健全な育成に関する条例違反,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,大阪府青少年健全育成条例違反被告事件
新潟地裁長岡支部h14.12 わいせつ図画頒布,わいせつ図画販売、わいせつ図画販売目的所持,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反
東京高裁h15.6 わいせつ図画頒布,わいせつ図画販売、わいせつ図画販売目的所持,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反
最高裁h18.5わいせつ図画頒布,わいせつ図画販売、わいせつ図画販売目的所持,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反
阪高裁h15.9児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件(破棄)
最高裁H16.1児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
大阪地裁h15.8 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
阪高裁h16.1児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
大阪地裁h12.3児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売目的所持被告事件
阪高裁h12.10児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売目的所持被告事件
最高裁h14.6児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売目的所持被告事件
大阪地裁h13.2児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売被告事件
阪高裁h14.9児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
大阪地裁h14.4 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
千葉地裁h17.9児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
大阪地裁h14.6児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
横浜地裁h15.12 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
東京高裁h16.6 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
最高裁h19.3児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
大阪地裁h19.12児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
京都地裁h14.4児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
阪高裁h14.9 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
最高裁h18.11 児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売被告事件
阪高裁h17.10 児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売被告事件
京都地裁h17.5  児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売被告事件
岡山地裁h19.5 児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売被告事件
名古屋高裁金沢支部h14.3児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売被告事件(破棄)
さいたま地裁h15.7児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、わいせつ図画販売,埼玉県青少年健全育成条例違反被告事件
東京高裁h18.1 児童福祉法違反被告事件(破棄)
最高裁h18.4 児童福祉法違反被告事件
東京高裁h17.12児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反(破棄)
最高裁h18.7児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反
阪高裁h18.10児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,わいせつ図画販売目的所持,わいせつ図画販売
大阪地裁h18.4 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,わいせつ図画販売目的所持,わいせつ図画販売(一部無罪)
鳥取地裁h13.8児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,わいせつ図画販売,同販売目的所持被告事件
名古屋高裁金沢支部h17.6わいせつ図画販売,同販売目的所持,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
最高裁h18.2わいせつ図画販売,同販売目的所持,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
岡山簡裁
東京簡裁
広島簡裁
東京簡裁
三条簡裁
長岡簡裁
小樽簡裁
大阪簡裁
東京簡裁
大阪簡裁
安城簡裁
大阪簡裁
京都簡裁
東京簡裁
仙台簡裁
一宮簡裁
大阪簡裁
大阪簡裁

 大阪の事件が少ないのがわかりますね。

行為一覧表

 弁護人向けのアイデアですが、たくさん起訴されると、混乱しますよね。
 検察官も混乱して、併合罪なのに訴因変更で追加してきたりします。
 エクセルで犯行日順に並べて、横に罪名を分けると、これとこれは牽連犯で、これは包括一罪で・・・という発想が出てきます。
 児童ポルノ罪の保護法益とか特別法であることを考えると、科刑上一罪という処理は、まず間違っているのですが、主張してみると採用されることもあるので、考えてみて下さい。

H21.3.1        わいせつ販売
H21.3.2児童買春 (撮影)
H21.3.3        わいせつ販売
H21.3.4        わいせつ販売
H21.3.5       児童ポルノ製造罪(複製)
H21.3.6児童買春 (撮影)
H21.3.7        わいせつ販売 児童ポルノ提供
H21.3.8       児童ポルノ製造罪(複製)
H21.3.9        わいせつ販売 児童ポルノ提供
H21.3.10        わいせつ販売 児童ポルノ提供
H21.3.11        わいせつ販売 児童ポルノ提供
H21.3.12      児童ポルノ製造罪(複製)
H21.3.13        わいせつ販売
H21.3.14        わいせつ販売 児童ポルノ提供
H21.3.15        わいせつ販売
H21.3.16        わいせつ販売 児童ポルノ提供
H21.3.17        わいせつ販売 児童ポルノ提供
H21.3.18        わいせつ販売 児童ポルノ提供
H21.3.19        わいせつ販売
H21.3.20        わいせつ販売
H21.3.21        仮装罪(振込)(販売・提供)
H21.3.22        仮装罪(振込)(販売・提供)

 わいせつ図画罪の包括一罪でかすがい一罪になると思いがちですが、そうなっていない裁判例もあります。

ユニセフ曰く「検察・裁判所はじめ全ての法曹・司法関係者に対し、子どもポルノが子どもの人権ならびに福祉に対する重大な侵害行為であるとの基本認識の下、児童買春・児童ポルノ等禁止法事犯に対し厳格に同法を適用し、刑を科すよう求めます」

って言われると、現場は困ります。一応法律があるので、わからないまま適当に運用して、有罪にしてるのに。厳しくというのなら、法文に書けと。

 裁判官、特に高裁判事クラスからすると、お金で体を売るとかビデオ撮らせるようなのは、やっぱり不良少女なんだと思います。大和撫子が理想だと信じてる。
 そういう人たちに、「売春少女=被害者」だという崇高な理念にもかかわらずわかりにくい法文だけ送りつけても、理解してくれるはずがない。
 一回、東京地裁か高裁で、アグネスに訴えてもらいましょうか?石のように保守的ですから。

 「検察・裁判所はじめ全ての法曹・司法関係者に対し、子どもポルノが子どもの人権ならびに福祉に対する重大な侵害行為であるとの基本認識の下、児童買春・児童ポルノ等禁止法事犯に対し厳格に同法を適用し、刑を科すよう求めます」なんて言われてますが、罰金の法定刑がある以上は、犯情軽いのは罰金ですよね。実刑は眼中にない。法定刑の下限を上げて罰金なくして、下限1年くらいにすれば、お望みの科刑が実現できると思いますが、検察官も裁判官も刑務所も足りなくなります。これは立法判断ですよ。議員さんにお言葉を返すようですが。

 しかも、法文の規定からして、実務家が法文読んでも、「被害者」の姿はよほど目をこらさないと見えませんよね。特に児童ポルノ罪。それは、立法技術の問題だと思うんですよ。議員さんにお言葉を返すようですが。
 ちゃんと児童ポルノ・児童買春が被害児童に対する罪であるということが、津々浦々の関係者(駐在さんとか)に、一目で分かるような法律にしてほしいものです。
 普通、特別法というのは施行後も現場の反応を見て、ちょこちょこ改正して手直しするんですよ。ひごろ現場見てないのに、3年に1回、大王のように現れて、「単純所持罪じゃ〜っ」って言われてもですね、その前に、こことこことこことここ直してよと言われて対応できないでしょう。それが児童の権利擁護に向けての強い姿勢に見えるでしょうか?3年経つと救済されないうちに児童でなくなる被害者もいますから、必要があればすぐ改正しないとだめなんですよ。議員さんにお言葉を返すようですが。

https://www2.unicef.or.jp/jcuApp/websign/websign_input.jsp
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(以下「児童買春・児童ポルノ等禁止法」または「現行法」)の成立から9年。しかし、子どもポルノ問題は一向に解決される兆しが見られません。

児童ポルノ製造犯逮捕などのニュースは毎日のように伝えられます。現行法の施行以来、毎年数百件の児童ポルノ事件が摘発され、氷山の一角であるこの数も増加の一途を辿っています。また、現行法では取り締まられない、水着姿の子どもに性的ポーズをとらせ撮影した映像が「アダルトビデオ」として販売され、欧米各国では法律等で禁じられている子どもへの性的虐待を描いたアニメ・漫画やゲームソフト、また「児童ポルノ」を作品タイトルとするビデオが、大通りに面した有名量販店やインターネットの書籍・DVDショップで堂々と販売されるなど、「子どもの性」が明らかに成人向けの「商品」として取引されている状況が存在します。こうした状況の改善を求める声が国内外から届けられていますが、現行法の下では、法執行機関である警察も有効な打つ手を持ちえません。

本年11月、ブラジルで第3回「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」が開催されます。1996年の第1回会議で、日本は、子どもポルノの一大生産国・輸出国であるばかりでなく、そうした状況になんら取り組んでいない「加害国」として非難されました。その後、政府・市民一丸となって取り組んだ反子ども買春・ポルノ・人身売買キャンペーンの成果として現行法が成立し、2001年、第2回会議が横浜で開催され、その取り組みと成果が国際的に評価されました。しかし、昨今のインターネットや携帯電話の驚異的な発達や普及は、子どものポルノ問題を取り巻く環境を激変させています。IT大国であり、コンテンツ大国でもある日本国内のこうした現状が放置されているために、日本のみならず、世界の子どもたちも「子どもポルノ」という名の性的虐待の被害に晒され続けています。

私たちは、こうした現状を変えてゆくため、以下の4点を訴えます:

(1) 児童買春・児童ポルノ等禁止法の処罰対象となるか否かを問わず、子どもに対する性的虐待を性目的で描写した写真、動画、漫画、アニメーションなどを製造、譲渡、貸与、広告・宣伝する行為に反対します。
(2) 政府・国会に対し、児童買春・児童ポルノ等禁止法の改正を含め、下記各点に対する早急な対応を求めます。
(ア) 他人への提供を目的としない児童ポルノの入手・保有(単純所持)を禁止し処罰の対象とする(第7条)
(イ) 被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的な姿態や虐待などを写実的に描写したものを、「準児童ポルノ」として違法化する(第2条)。具体的には、アニメ、漫画、ゲームソフトおよび18歳以上の人物が児童を演じる場合もこれに含む。
(ウ) 国及び地方公共団体による児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発を「義務」づける(第14条)
(エ) 「児童ポルノ」等の被害から、心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制を整備する。そのために具体的な計画の策定を国に義務付け、担当省庁に実施結果を国会に報告する義務を課す(第16条)

(3) メディア、各種通信事業、IT事業、ソフト・コンテンツ製造・制作・販売等の各業者、業界、ならびに関連団体による上記(1)に示す著作物等の流布・販売を自主的に規制・コントロールする官民を挙げた取り組みを応援するとともに、より一層の取り組みを求めます。
(4) 検察・裁判所はじめ全ての法曹・司法関係者に対し、子どもポルノが子どもの人権ならびに福祉に対する重大な侵害行為であるとの基本認識の下、児童買春・児童ポルノ等禁止法事犯に対し厳格に同法を適用し、刑を科すよう求めます。

※「子どもポルノ」と「児童ポルノ
本文では、現行法が触法物として規定し一般に「児童ポルノ」と称される写真・動画等以外に、子どもの性を「商品」として取引するもの(漫画、アニメ、児童ポルノ広告など)が存在することの問題点を指摘するため、現行法が規定するものを含めた総称として「子どもポルノ」という表現も使用しています。