児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

女子児童にわいせつ 神戸の元教諭、二審も有罪(大阪高裁H19.2.5)

 まるで無罪主張していたような見出しです。
 家裁管轄だという主張もあり得るでしょうね。

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000234364.shtml
女子児童にわいせつ 神戸の元教諭、二審も有罪 
2007/02/06
 教え子の女子児童にわいせつな行為をしたとして、強制わいせつの罪に問われた元神戸市立小学校教諭(56)=神戸市西区、懲戒免職=の控訴審判決が五日、大阪高裁であった。陶山博生裁判長は「教師にあるまじき背信行為」と述べ、懲役二年八月とした一審神戸地裁判決を支持、元教諭の控訴を棄却した。

 
原判決の報道。

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000168536.shtml
強制わいせつの元教諭に懲役2年8月 神戸地裁
2006/11/16
 教え子の女子児童にわいせつな行為を繰り返したとして、強制わいせつの罪に問われた元神戸市立小学校教諭の被告(55)=同市西区=の判決公判が十五日、神戸地裁であった。的場純男裁判官は「児童や父母の信頼を著しく裏切った言語道断な犯行」として、懲役二年八月(求刑・懲役四年)を言い渡した。

http://www.google.com/custom?q=%8B%AD%90%A7%82%ED%82%A2%82%B9%82%C2%81@%8B%B3%97@&domains=www.kobe-np.co.jp&sitesearch=www.kobe-np.co.jp&hl=ja
をたどると、教え子に強制わいせつというのも多いようです。

 学校が危ないんですよね。

裸撮影男に懲役6年 「幼女の人権無視」さいたま地裁h19.2.5

 強制わいせつと製造罪とは観念的競合か?という関心です。

http://www.saitama-np.co.jp/news02/06/24x.html
判決によると、被告は昨年一月二十八日、愛知県豊橋市のアパートの階段踊り場で、いずれも当時七歳の女児二人の下半身を裸にしてデジタルカメラに撮影するなど、二〇〇三年五月から昨年一月にかけて、当時四歳から八歳までの女児三人にわいせつな行為をした。

林正彦観念的競合における「一個の行為」について 小林充先生 佐藤文哉先生古稀祝賀刑事裁判論集 上巻

 最高裁は社会見解上1個かどうかというんですが、結局、a罪とb罪ではどうかという総当たりの組み合わせで、ケースごとに決めてるんですよね。
'①構成要件的行為の重なり合いが認められ'観念的競合にあたるとされたもの、
②構成要件的行為の重なり合いが認められないのに、観念的競合にあたるとされたもの、
③構成要件的行為の重なり合いが認められるのに'観念的競合の成立が否定されたもの
なんて言い出したら、構成要件の重なり合いがあってもなくても、観念的競合になったりならなかったりということになります。

最高裁S49.5.29
刑法五四条一項前段の規定は、一個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう一個の行為とは、法的評価をはなれ構成要
件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上一個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。

林正彦観念的競合における「一個の行為」について 
判例の分析
判例を整理・分析するに際し、いかなる基準・方法によるべきかは一つの問題である。そして観念的競合の成否については構成要件的行為の重なり合いの有無が重要な確認方法であると考えられるので'ここでは'①構成要件的行為の重なり合いが認められ'観念的競合にあたるとされたもの、②構成要件的行為の重なり合いが認められないのに、観念的競合にあたるとされたもの、③構成要件的行為の重なり合いが認められるのに'観念的競合の成立が否定されたもの'に分類して代表的なものを掲げ'判例の考え方に迫ってみたい

YouTubeのアップロード画面に日本語の警告文表示を約束

 刑事責任から見れば、警告文出して免責というわけにはいかないですね。内容チェックも求められるでしょう。
 それから、著作権法違反だけじゃなくて、わいせつとか、児童ポルノとか、名誉毀損などの問題もありますけど、著作権侵害のみの警告文だと、笑いますね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070206-00000032-imp-sci
著作権侵害防止について協議した結果、YouTubeは、動画のアップロード画面において、日本語で違法なコンテンツのアップロードを警告する文章を近日中に表記することを約束した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070206-00000028-imp-sci
なお、権利者団体が求めていた暫定措置のうち、アップロード時の住所、氏名登録については、YouTubeは「多くのコンテンツがアップロードされているなか、全ユーザーに求めるのは難しい」と回答。また、無許諾の映像をアップロードしたユーザーのアカウント停止については、「現在でも、デジタルミレニアム著作権法の削除手続き(Notice and Takedown)に基づき、同じユーザーが3回著作権侵害を働いた場合は、アカウントを止め、コンテンツも削除している」とYouTubeより説明されたという

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070206-00000022-reu-bus_all
ただ、技術が完成する具体的な時期などは明示されず、当面は従来どおり、ユーチューブのサイト上で違法コンテンツを発見し次第、JASRACなどが削除要請を行うことになる


 事後チェック型というのも刑法とは相容れませんね。
 upされたら、投稿者は既遂となって、管理者も遅くとも違法情報の存在を知ったときに正犯か共犯。チェックしていて見つけたら、もう刑事責任を免れないので、せいぜい警察に見つかる前に削除するしかない。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/06/news046.html
 テレビ局やJASRAC、日本映画製作者連盟などが頭を悩ませるのが米動画投稿サイトのYouTube(ユーチューブ)。サイトにアップされているテレビドラマや映画などのうち、かなりの割合が著作権法違反の動画だ。

 インターネットの世界では「問題コンテンツがあれば対応する」という事後チェック型が通常。昨秋も日本の権利者団体が約3万件の投稿削除を申し入れ、ユーチューブ側も削除に応じたが、削除するそばから同じ動画がアップされる。JASRACでは、2月上旬に来日予定のユーチューブの創業者、買収したグーグルの幹部に対し、「違法な投稿を防ぐシステム導入やユーザー管理、違法な投稿者の登録を無効にすることを求める」としているが、根本解決に至る可能性は低い。

 そもそも、既存メディア側と、ネット業界側では著作権に対する認識に違いがある。多くの著作権を抱える既存メディア側がその権利の維持に傾倒するのに対し、歴史が浅く、守るべきものが少ないネット側は、あるものを利用して皆んなで新しいものを作ろうという土壌があり、結果的に著作権を侵害することが少なくない。2つの世界は対立しがちだ。

 そういう刑法理論が、ネットの問題解決には合ってないような気もしますが、当分はそれで行くしかない。