白井万久判事「ある法改正の波紋」自由と正義2006.10
先日退官されました。
最後の事件は破棄してくれなかったなぁ。
○大阪高裁で職権破棄が続出
私のいる大阪高裁の刑事部では、月に一度、庁内用の破棄事件一覧表なるものが回覧される。その二〇〇六年六月分の一覧表を見て驚いた。破棄事件の総数が何と六三件もあるではないか。いつもの二倍から三倍に相当する数である。しかも、そのうちの三七件は日頃は見かけぬ「刑の変更」を理由とした職権破棄である。
もっとも、これは概数であるが、それにしても、私がこれまで見聞したことのない数の多きである。事の発端は、先頃施行された刑法及び刑訴法の1部を改正する法律(同年法律第三六号)にある。いささかお分かりにくい向きもあろうかと思うので、少しばかり説明をさせていただく。
白井さん、回顧録とか書いてくれませんか?
裁判官の量刑判断、「軽い」が8割…最高裁の意識調査
刑事裁判所って、事実認定と法令適用と量刑のことばっかり考えているという意味で、量刑のプロなんですよね。
言いたいこと全部言って、他の事件との釣り合いとか、被告人の事情とか、結構緻密に考えてもらっていると思うので、奥村が重すぎる・軽すぎると思うことはあまりありません。もうちょっと軽くならないのか?とか、ちょっと軽い=検察官控訴の心配ありという程度。
一般国民からみると、科刑状況に触れることもできないし、殺人事件も全部が全部判決まで報道されているわけじゃないから、ある判決を聞くと、「人を殺してもそんなもんか?」と思うんでしょう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061219-00000101-yom-soci
それによると、国民が刑事裁判に関する報道で知った量刑へのイメージは、「非常に軽い」「軽い」「やや軽い」が合わせて80%を占めた。ただ、10の殺人事件のシナリオについて妥当と思う懲役刑の年数を聞いたところ、3事件ではむしろ裁判官の方が重く、最終報告は「具体的な事件で国民に強い厳罰化傾向は見られない」と分析した。
平成18年度第2回総合セキュリティ対策会議
裁判所のいうことを聞かない管理人がいるそうです。
http://www.npa.go.jp/cyber/csmeeting/h18/youshi2.htm
平成18年度第2回総合セキュリティ対策会議(平成18年9月15日)発言要旨
【事務局説明】
(事務局より「平成18年上半期のサイバー犯罪の検挙及び相談受理状況」、「平成18年上半期の不正アクセス行為の発生状況等」及び「平成18年度上半期のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況」について説明。)
○出会い系サイトに関係した事件のうち、児童ポルノが急増しているが、具体的にはどのような被害なのか。
○事務局 出会い系サイトを通じて知り合った者に呼び出された後、性交しているところを写真に撮られたり、あるいは単に脱いだところを撮影されるといった形態の被害である。
・・・・・
【捜査上の観点から見たインターネット社会の匿名性の問題】
(事務局より資料に基づき説明)
○電子掲示板上の名誉毀損事案については犯人を特定する資料はアクセスログのみであり、このような事案がある大型電子掲示板で行われると、発信者情報開示を行おうが何をしようがその掲示板の管理人は対応を行ってくれない。この管理人は裁判所の言うことを聞かないため、もうそこから先はお手上げという状態になっている。
また、インターネットカフェ等の端末から犯罪を行われると犯人に辿り着くことが困難であるため、そこでの本人確認についての法制化や意図的にログを記録しない電子掲示板等にログの保存を義務付けるという方向もあるのではないかと思う。
○ログの保存を義務付ければ、確かに追跡性は上がるのだろうが、本当にそれがいいのかというと、必ずしもそうではない。
ログの保存を義務付けるということではなく、ユーザー側に選択の余地を与えるため、自分はログを保存している、この会社はログを保存しているといったことを表明するようにすればいいのではないだろうか。
○しかし、ログを保存しないことを売りにしている電子掲示板に、人が集まり、世の中を動かしていってしまっているという現実もあり、そこをどうするかが大きなポイントだと思う。
○今回の検討テーマは非常によいテーマであるのだが、論点が多岐にわたるため、次回からは論点を少し絞って進めていった方がいいのではないだろうか。特に、ログの保存の関係については、これまでの歴史と経緯があり、そう簡単に結論が出るものではないと思う。
論点を絞った上で、我々がホットラインを作ったようにもっと具体的で力のある提案をしていくべきだと思う。