児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「関西援交シリーズNo××」は児童ポルノですか?

 「関援」でも聞かれる。
 最近、これらが摘発されることが多いんですが、そこまで知らない。
 また、知っていても、諸般の事情でお答えできないものもある。

 また、そもそも後から誰かがつけた番号で、
   ヴォルフガング・アマデウスモーツァルトの作品のケッヘル○○番
みたいなものなんですよ。

 どうして、気になるのか不思議なんですが、
   「関西援交シリーズNo×× 15歳」は児童ポルノですか?
って、聞きに来た人が、後日逮捕されたという報道がありました。
 お願いですからこのシリーズのビデオ・DVDには触れないでください。
 

ヘルス系弁護士

 児童ポルノ・児童買春の法令適用関係の問題で児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)の裁判例を調べている。
 家裁がヘルス専門部となっていることは既報の通り。罪名で言えば児童買春周旋罪、児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)、売春防止法、風適法・・・。
 さらに家裁単位でまとめて判決を見ていると同じ私選弁護士が目立つ。その地方では風俗関連の事件ではその先生に決まっているわけだ。顧問弁護士なのかもしれない(顧問料を児童で受け取った弁護士もいましたね。)。
 1件摘発されると
   経営者
   店長(部長・課長・次長)
   従業員
などが共謀共同正犯で起訴される。
 福祉犯の経験が豊富なはずなんだが、家裁の判決を見る限りでは、争わないにしても、事実認定や法令適用にこだわった形跡がない。論点は多いのに。
 相変わらず被害児童を責め「執行猶予を賜りたい」という弁論。
 争わない事件で前科もないのにあっさり実刑になってることも。
 一審実刑の場合は必ず控訴するくせに、控訴理由は量刑不当だけ。新たな情状立証(示談・弁償)はない。これじゃ、判決は変わらない。
 この種の事件では、法令適用に誤りがあることが多いんだから、そこを攻撃しなきゃ。
 だから、この種の事件の判例では職権で法令適用の誤りを指摘されている事(職権破棄)が多い。みっともない。
 「専門」の弁護士だったらもっと勉強してほしい。

名古屋地裁で管轄違判決発見

 最高裁からの情報では
    名古屋地裁平成15年7月×日H14わ第xxxx号児童福祉法違反
という気になる判決がある。
 どうすりゃ、児福が地裁に係属するのか。

 これを閲覧請求したら出てきたのは
    名古屋家裁平成15年9月×日H14少イ第xx号児童福祉法違反
という判決書。実刑
 これは、違うよな。判決日と裁判所が違う。
 しかも
    名古屋家裁平成15年9月×日H14少イ第xx号児童福祉法違反
をみると、証拠の標目に
   被告人の公判供述調書(手続調書抄本添付のもの)
という見慣れない記載。普通は裁判所が生で聞いているので
   被告人の公判供述
のはず。
 別の裁判所の存在がうかがわれる。
 調べてもらうと、
    名古屋地裁平成15年7月×日H14わ第xxxx号児童福祉法違反
は管轄違判決。閲覧できず。
 記録係によれば児福のみを地裁に起訴したらしいよ。

児童ポルノ:タイから輸出 容疑の雑貨店経営者を逮捕−−県警 /愛知

 どっかで見たような事件です。
 前例では、関税法違反の罪(輸入禁制品の輸入)については、購入者との共謀で立件されています。買った人も捕まるというパターンです。医師・公務員が狙われます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060727-00000011-mailo-l23
 調べでは、容疑者は05年8月22日、インターネットオークションに出品した児童ポルノDVD6枚を、購入を希望した名古屋市守山区の男性に届けるため、タイから国際スピード郵便で輸出した疑い。

 販売して発送した所が外国だっただけで、実質には提供罪なんですが、名古屋地裁は、迷わず併合罪にすると思います。
 6項輸出罪(外国から)は外国行きの航空機に積載した時に既遂。
 「日本にいる購入者A」に対する輸出行為の関税法違反の罪(輸入禁制品の輸入)の部分については、6項輸出罪(外国から)と併合罪。被告人自身の行為としては国際郵便のラベルに記載して、郵便局で発送するだけなんんですが、社会見解上は2個の行為だそうです。児童ポルノ犯は極悪だから、細かく分けて併合罪加重するというまさに奥村説がそのまま通っています。

 20人に売ったら40罪。処断刑期は最高7年6月。

wikipedia

 今朝の朝日新聞に、意外と頼りになるという紹介がありましたが、これはだめですね。
 信用したら捕まりますがな。
    wikipediaには大丈夫って書いてあった
違法性の意識がないという主張をするのもむなしいなぁ。
 捜査機関や児童ポルノ撲滅団体の罠かもしれんな。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%90%E7%AB%A5%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%8E
日本における基準
児童ポルノ処罰法については、性欲を興奮させ又は刺激するもの、という一文について、定義が曖昧で規制が大きくなりかねない、といった懸念が施行当時から存在した。よって、法律施行直後は各グラビア雑誌において、18歳未満を使わないといった事態が起きた。 しかし、2005年度においては、一般書店に流通しているアイドルのグラビア雑誌や写真集等においては、法律施行前と同等の肌の露出を含む写真や動画の流通が容認されているようである。具体的に言えば、18歳未満の
ビキニを含む水着
ブルマー等の体操着
乳房の間の肌
バスタオルをまとった姿
下着姿
といったものが摘発対象とされない一方、18歳未満の
乳首 (女子)
AV出演
といったものが摘発対象とされるといった具合である。現在、この法律は実質的に性行為とヌードを禁止していると言える。しかしわいせつ物頒布罪、児童福祉法、青少年条例等を根拠に未成年の性行為撮影物はそれ以前から違法性を認識されており、少年・少女ヌード写真集ないしビデオの流通が新たに禁止されたと言える。なお、わいせつ物頒布罪、公然わいせつ罪、児童福祉法、青少年条例などの従来の法律の適用は当然のことながら無くなったわけではなく、状況に応じて併合罪が適用されたり観念的競合や牽連犯が適用されたりする。

取締役会が法定回数未満 パロマ、年1回程度

 議事録がないと、存在と内容の証明は難しいでしょうね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060727-00000143-kyodo-soci
両社によると、議事録を作成した正規の取締役会は年に1回程度しか開いていなかった。パロマは「昼食時に取締役らが集まる会議は頻繁に行っていた」と主張しているが、議事録は残されていないという。

商法
第363条(取締役会設置会社の取締役の権限)
次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
一 代表取締役
二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。

第371条(議事録等)
取締役会設置会社は、取締役会の日(前条の規定により取締役会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第三百六十九条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその本店に備え置かなければならない。
2 株主は、その権利を行使するため必要があるときは、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

システム開発業者通じ情報流出=個人PCにウィニー−精神疾患患者1500人分

 こういうセンシティブ情報は悪用されなければいいという問題じゃないと思うんですが、1万円なんですか?訴訟しないと損害額は出ないんでしょうか?
 個人情報漏洩リスクのうち、賠償額は意外に少ないです。被害者が大人しいので。

 http://news.google.co.jp/news?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLG,GGLG:2005-48,GGLG:ja&q=%E9%AB%98%E5%B2%A1%E5%B8%82%E3%80%80%E5%80%8B%E4%BA%BA%E6%83%85%E5%A0%B1&sa=N&tab=wn

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060726-00000203-jij-soci
派遣されていた20代の男性社員の個人パソコンから、ファイル交換ソフトWinnyウィニー)」を通じて流出したことが26日、同市とインテックの調査で分かった。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060727-00000004-vgb-sci
流出した個人情報は氏名や障害の等級などで、同市がデータ処理を委託している会社の派遣社員がデータを自宅に持ち帰っており、自宅PCのWinnyウイルス感染で同情報が流出した。また同社では、富山県の3市においても合計19名の身体障害者の個人情報を流出していることも明らかにしている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060726-00000214-yom-soci
システムのチェック用に過去の本物のデータを使っていたことが26日、明らかになった

高岡市等は沈黙
http://www.city.takaoka.toyama.jp/index_navi/shisei_info.html
http://www.pref.toyama.jp/branches/1281/1281.htm

このインテックですか?

http://www.intec.co.jp/kojin/index.html
個人情報保護方針
 当社は、コンピュータと情報通信ネットワークを基盤に、お客さまの業務のコンサルテーションから設備の保守・運用まで、総合情報システム業として多様なトータル・ソリューション事業を展開しております。
 総合情報システム業を展開するにあたり、当社は、情報安全対策を最も重要な課題のひとつとして位置づけ、経済産業省による「情報システム安全対策基準」に準拠し、厳格な情報管理の体制を整備して業務を推進してまいりました。
 平成11年3月個人情報保護に関する日本工業規格JIS Q 15001が制定されましたが、このたび当社は、当規格が規定するコンプライアンス・プログラムに従い、関連規程を制定しその実践・遵守の体制を整備しました。これにより、当社における個人情報の重要性の認識を高め、役員・従業員による個人情報保護の全社努力を推進するものであります。
4.安全対策
 個人情報の正確性及び安全性を確保するため、技術面及び組織面において安全対策を講じ個人情報への不正なアクセス、紛失、破壊、改ざん、漏洩等の予防に努めます。

追記
 ネット上から削除するとのことです。
 具体的な対策というのは、事故のカタログになるんでしょうね。
 安衛法と一緒ですね。

http://www.intec.co.jp/news/pdf/060727_1.pdf
平成18年7月27日
各 位
株式会社インテック
システム検証用データの流出について
本年7月25日夕刻、弊社が富山県高岡市様ほかより受託して開発しておりました福祉系システムの個人情報を含むデータがインターネット上に流出したことが判明いたしました。今回の事故は、弊社の不十分な取扱管理体制によるものであり、弊社は責任の重大さを痛感いたしております。
このような事態が発生し皆様に多大なご迷惑をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。
<流出した情報>
高岡市など富山県内4市のシステム検証用データ 1,653 件
<流出経緯>
弊社の借上要員が所有する自宅のパソコンからWinny ネットワーク上に流出したものです。当該個人が、テストのため個人の判断で、当該データを自宅パソコンにて使用しましたが、このパソコンにはWinny がインストールされており、かつウィルスに感染したためにデータが流出いたしました。原因のパソコンは流出が判明した当日のうちに特定し、ネットワークから切り離しております。
また、流出情報の拡散防止に努めるため、特定されたファイルの削除について、現在まで対応を進めています。
<再発防止策>
全社員ならびに借上要員に対しお客さま個人情報の管理教育を再度徹底いたします。また、それに先立ち、全社に下記のような緊急再点検を指示いたしました。
① 実データを利用したシステムテストの原則禁止の徹底
② 自宅パソコンでのWinny を含むPtoPソフト利用の原則禁止の徹底
③ 業務データの個人所有パソコンでの利用禁止の徹底
以 上

 行政が、ソフトの開発やテスト用に、ダミーではなく本物を使う正当性があったかも疑問です。
  富山太郎
  富山花子
でいいんでしょ。

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
第8条(利用及び提供の制限)
行政機関の長は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。
一 本人の同意があるとき、又は本人に提供するとき。
二 行政機関が法令の定める所掌事務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。
三 他の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体又は地方独立行政法人保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき、本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるとき。
3 前項の規定は、保有個人情報の利用又は提供を制限する他の法令の規定の適用を妨げるものではない。
4 行政機関の長は、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、保有個人情報の利用目的以外の目的のための行政機関の内部における利用を特定の部局又は機関に限るものとする。

第53条
行政機関の職員若しくは職員であった者又は第六条第二項の受託業務に従事している者若しくは従事していた者が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された第二条第四項第一号に係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

パロマ判例

札幌地方裁判所判決平成10年7月28日
判例タイムズ1040号247頁
二 被告らの責任原因
 前記一で認定した事実を前提に被告らの責任原因を検討する。
1 被告パロマの責任
(一) 原告らは、本件湯沸器には、はんだ割れにより強制排気装置が作動しない 疵と追加配線を施して安全装置が機能することなく点火燃焼する瑕疵があった旨主張する。
 しかし、原告主張の瑕疵を認めることはできない。その理由は、次のとおりである。
(1) 本件湯沸器て使用されたはんだが通常のガス器具で使用されるはんだより耐久性に劣っていたとか、湯沸器では通常より耐久性の勝るはんだを使用することが可能でありそうすべきてあったとかの事情を認めるに足りる証拠はないし、もともと、本件湯沸器は、強制排気装置が作動しなければ排気あふれ防止装置によって燃焼が停止される仕組みになっていたから、本件湯沸器のはんだつけ部分にはんだ割れか生じたことをもって、本件湯沸器の販売時の瑕疵である、と認めることはできない。
(2) また、追加配線により安全装置が作動することなく点火燃焼するようになった点については、販売当時に追加配線が施されたものではないし、販売当時に右のような追加配線が施工されることが予想できた、とも認められないから、追加配線がされたことをもって、本件湯沸器の販売当時の瑕疵である、と認めることはできない。
(二) とすれば、被告パロマが原告主張のような内容の瑕疵のある欠陥商品を販売提供したことを前提にする被告パロマの賠償責任は肯定できない。また、右のような危険な追加 線をする修理が実施されることをあらかじめ予測できた、との事情を認めるに足りる証拠もないから、本件のような追加配線の危険やその実施を禁止する説明をする義務が生じていた、と認めることもできない。商品の欠陥を原因とする事故が生じた場合にその情報を提供する義務についても、本件事故の発生を阻止できる時期に本件のような事故が発生するおそれのあることを知らせる情報が提供できた、と認めるに足りる証拠はない。
(三) したがって、原告の被告パ口マに対する請求は理由がない。

札幌高等裁判所平成14年2月7日
  そこで,本件湯沸器につき,製品としての瑕疵(欠陥)の有無を検討するに,まず,本件湯沸器が出荷・販売された当時に,そのコントロールボックスの制御基盤にはんだ割れが生じていたことを認めるに足りる証拠はない。また,その後,経年使用することにより制御基盤にはんだ割れが発生すること自体は,温度変化のあるところでは,ある程度不可避的に生じる現象であるから(I証言),そのことをもって瑕疵ということもできない(本件湯沸器で使用されたはんだが通常のガス器具で使用されるはんだより耐久性に劣っていたとか,湯沸器では通常より耐久性の勝るはんだを使用すべきであったとかの事情を認めるに足りる証拠もない。)。なお,もともと,本件湯沸器は,強制排気装置が作動しなければ排気あふれ防止装置によって燃焼が停止される仕組みになっていたから,本件湯沸器のはんだ付け部分にはんだ割れが生じたことをもって,本件湯沸器の販売時の瑕疵であると認めることはできない。
また,本件改造による追加配線により安全装置が作動することなく点火燃焼するようになっていたことについては,そもそも販売当時に追加配線が施されたものとは認められず,販売当時に右のような追加配線が施工されることが予見できたとも認められないから,追加配線がされたことをもって,本件湯沸器の販売当時の瑕疵であるということはできない。
したがって,第一審被告パロマが瑕疵のある湯沸器を販売したことを前提とする損害賠償請求は理由がない。(なお,これらを瑕疵と認めることができないから,製造者に準じる責任(請求原因(3)ア(ウ))の有無も問題にならない。)